「つばきさん、悪いんだけどさ」
「あら、なにかしらマスター」
マスターはカウンター越しに、わたくしに頭を下げられました。
今日は町内にございます焼き鳥の名店、 “ 鶏っく ” にてワインを傾けながら焼き鳥をいただいております。
マスターは真っ白なウイングカラーのシャツに、鶏をあしらった蝶ネクタイを結び、黒いソムリエエプロンを巻いておられます。
ええ、シャツの胸元には金色の葡萄型バッジをお付けになっておられる、ワインのエキスパートでいらっしゃるの。
ワインがお好きなのに、焼き鳥はもっと大好き。
ということで、自ら焼き場にて腕をふるっておられます。
ちなみに三十歳独身で、俳優の賀来賢人さまによく似ておられます。ちょっぴり好みかも。
「今日ね、テレビの取材が入ることになっちゃって」
「あらま! さすがはマスターね。イケメン焼き鳥店オーナー、もしくはワインの番組?」
「それがねえ」
そのときです。
お店のドアが開けられ、いかにも業界人っぽい黄色いカーディガンの袖を首から巻いた、薄いサングラスをかけた殿方が入って来られました。
「いやあん、マスター。じゃあ今から撮影しちゃうからさあ。普段通りでヨロシクねえ」
ちょっと言葉がオネエっぽいおかた。
どうやらディレクターさまみたいね。
その後ろからカメラマンさまと、マイクの竿を持った音声さまが入って来られました。
「じゃあ先生、ここから本番いきまぁす。はい、三、二」
一の代わりにディレクターさまは指を入口に向かって差しだされました。
どなたか外で待機なさってらっしゃるのね。
ディレクターさまは、ナレーションも兼ねておられるみたいです。
「はい、皆さま。今夜もこの時間がやって参りました。 “ ヨハネスブルク・勝割氷(かちわりごおり)と歩く、つきだし百景 ” です。
本日は、ここ “ 鶏っく ” さんにお邪魔しております」
そのセリフの後、ゆっくりとひとりの殿方が入ってらっしゃいました。
もうすでに出来上がっておられるような赤ら顔、寝起きのような寝癖のついた頭髪、肘宛てのついたジャケット姿で少し足元がふらついておられます。五、六十歳代に見受けられます。
このおかたが、ヨハネスブルク・勝割氷さまとおっしゃるのね。
ええっと、居酒屋評論家でいらっしゃるのかしら。
「全国津々浦々、数ある居酒屋や焼き鳥店を巡り、すでに七千件以上を食べ歩いた先生が今宵は何を語ってくれるのでしょうか」
ナレーションのディレクターさまはカメラに姿が入らぬよう下がられ、その先生が千鳥足で、わたくしの座るカウンター席によろけて座る姿をカメラが追っております。
先生は赤らんだ顔をマスターに向けられ、指を一本立てられました。
「ウ、ウーロン茶。ストレートでね」
え? もしやこの先生……
ということで、次回はこの続きをばこっそりと。
さあってと、カクヨムさまをここでチェックです。
あ、「その家だけは、やめておけ!」にレビューをいただいております!
銀鏡 怜尚 さま、
いつも大変お世話になっております。ご多忙の中にも関わらずご覧くださり、またレビューまでいただきまして誠にありがとうございます!
安定の高尾小説だなんて、嬉しい♡ 今回のキャラはお口に合いましたかしら。お仕事に絡めるために、付け焼刃ではございますがちょっぴりリアルな部分も挿入いたしました♪ でもこの会社は紛れもなく、ブラックでございます。実際に存在しているやもしれませぬけど、うふふ♡
心より御礼申し上げます♬
鶯ノエル さま、
ノエル先生~、お忙しい中お時間を割いてくださり、またレビューまで頂戴いたしまして誠にありがとうございます!
上質なコメディだなんてお褒めくださり、嬉しい♡ テレビでゴミ屋敷を片付けるかたがたを拝見し、ピンときましたの。もちろん悪役はフィクションでございます。現代ドラマゆえ、今回は妖怪はなしでした♪
働くヒトとして、表現は出来ておりましたでしょうかしら?
心より御礼申し上げます♬
あ、「トリック・トリップ 無限大」にレビューをいただいております!
村岡真介 さま、
どうも初めまして! 遥か銀河の彼方に浮んでおりました今作。わざわざご覧くださり、またレビューまで頂戴し誠にありがとうございます!
読み応え充分だなんておっしゃってくださり、嬉しい♡
元々、拙作「魔陣幻戯」に登場する陳式太極拳とヌンチャクの遣い手、レイに弟子が出来たらどうなるか、ということから描きましたの。
中国武術はわたくしも大好きなんですのよ♪ 蟷螂拳が好みです☆
心より御礼申し上げます♬
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます!
あ、「カクヨム・パラレル・ワールド」にレビューを頂戴しております!
村岡真介 さま、
二作もお目通しくださるなんて、本当にありがとうございます!
レビューまでいただけて嬉しい♡
今作は、盟友藤田アシシさまの企画なさったテーマで描いてみましたの。
わたくしなど、ほぼ三十分おきにカクヨムさまをチェックしてしまう、ヘビーな中毒者でございます☆
心より御礼申し上げます♬