イリアママと一緒にネオン街を帰途についている時です。
「あらっ!」
路地裏に何気なく目を向けたイリアママが声を上げました。
そのまま肘から先だけを左右にふりながら、内またで駆けだしたのです。いわゆる、オネエ走りでございます。
「ママ、どうなさったの?」
わたくしも後を追います。
光がさえぎられたビルの間に入って行くイリアママ。
その先に、なんとひとりの殿方が数人に囲まれ、ボコられているではありませんか。
派手なスーツやサングラス、剃りあげたスキンヘッドの、いかにもな感じの男たちが、アスファルトに尻餅をついている殿方を締め上げています。
くたびれたスーツ姿の、中年サラリーマンが頭を抱えている姿が見えます。
「おっさんよう、きっちり払わねえから痛い目にあうんだぜ」
「カードでも取り上げとこうぜ」
どうやら法外な料金でお酒を飲ませる、ボッタクリ・バーとやらに引っかかったご様子です。
久しぶりにわたくしの蟷螂拳の華麗なる技をば、と思った矢先です。
「ちょっと、なにしていらっしゃるのかしら、あなたたち」
ずいっとイリアママが、男たちの前に進んでしまいました。
「なんだぁ?」
「ウワッ、気味悪いオカマだぜ」
「俺たちが誰だか知って声を掛けてんのかよ、オカマ野郎!」
あ、これはマジでまずいわ。
わたくしはイリアママを止めようとしました。
オカマと二回も言われたイリアママの眉間に、ピキッと青筋が入ります。
「どなたかしらね、このアタクシのことを――」
イリアママの形相が、みるみる憤怒の表情に変わっていきます。
ああ、もうダメ!
「オカマなどと申したのは、キサマかあっ!」
周囲の空気が瞬間に蒸発するような目に見えぬ炎が、グワッとイリアママ、いえ、閻魔大王さまを包みます。
知~らないっと。
閻魔大王さまを怒らせちゃったわよ。
百六十センチくらいだったお身体が、ゾワゾワッと三メートルを遥かに超える元のお姿に。
「キサマたち、全員を今すぐ地獄へ送ってくれるわあっ!」
天地を揺るがす大音量で、閻魔大王さまが怒声をお上げになりました。
チンケな男たちは失禁をしているのも気が付かず、全員が恐れおののいています。
それはそうですわね。だって三途の川を越えなければ、まあお会いすることのないおかたが目の前におわすのですから。
「ふんっ」
閻魔大王さまが片手をふると、そこにいた全員がかき消すようにいなくなりました。
「馬鹿め。全員地獄へ送ってやったわ。しばらくは頭を冷やすがよい」
「あのう、イリア、じゃなくって、閻魔大王さま」
「なあに、心配はいらぬ。死なぬ程度に本物の地獄を見せるだけじゃ」
「いえいえ、そうではなく。えーっと、ボッタくられていた殿方のお
姿も消えましたけど」
「え? ええ~!」
「まさか、いっしょに地獄へ?」
シュンシュンシュン、と背丈が縮み、イリアママにもどった閻魔大王さま。
「あ~ん、どうしようどうしよう、ねえ、つばきちゃん、どうしよう!」
イリアママは両手を口元に当てたまま、オロオロするばかりでございました。
しょんぼりと肩を落とされ、地獄へお帰りになるイリアママを見送りまして、わたくしはリビングにてカクヨムさまをチェックです。
あ、「カクヨム・パラレル・ワールド」にお★さまをいただいております!
あおいしょうさま、
どうも初めまして! ご多忙の中ご覧くださり、またお★さままで頂戴でき誠にありがとうございます!
こんな世界、いかがでございますでしょうかしら。
心より御礼申し上げます♬
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます♡
あ、「面妖な金属男」にレビューを頂戴しております!
春川晴人 さま、
いつも大変お世話になっております。お忙しい中、わざわざお目通しくださり、またレビューまでいただきまして誠にありがとうございます! 本編の中でも異彩を放つ男、タマサブだぜ、だぜえっ。お褒めいただき嬉しい♡ 外伝「千年魍魎」でもさらにエゲツなくなっております。と宣伝を怠らない、狡猾なわたくし♪
心より御礼申し上げます♬
里宇都 志緒 さま、
大変ご無沙汰いたしております! 超ご多忙にも関わらずご覧くださり、またレビューまで頂戴し誠にありがとうございます!
カレーはもはや調味料、でございますわね。かっ飛ばしなどとお褒めくださり、嬉しい♡ 「覚悟」など拙作には不要でございます。鼻をほじりながらでけっこうでございますわよ♪
心より御礼申し上げます♬
あ、「魔陣幻戯」にレビューをいただいております!
鶯ノエル さま、
ノエル先生~! お目通しくだすったのですわね、しかもレビューまで頂戴し、誠にありがとうございます!
流行に媚びないなどと、嬉しい♡ ただ流行に乗れないだけでございます、シクシク。みやび(あくまでも主人公)を取り上げてくださるなって感激です♪ サブキャラが濃すぎましたわねえ。でもポジティブなわたくし、我が道を行く、でございます♪
心より御礼申し上げます♬
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白亜紀の地層に眠っておりました、つばきの長編物語。
コンテストなるものに出せば、少しは陽が当たるかしらと思いながら厚顔無恥を承知で参加させていただきました。
お蔭さまで、ご覧くださるおかたが少し増え、ホッといたしております。
脚光を浴びることのないわたくしでございますが、こうしてお目通しくださるだけでも大感激でございます!
書き手には、持ち味がございます。
つばきはつばきの色を精一杯絞り出し、おひとりさまでもご覧くださる奇特な読み手さまがいらっしゃれば、今後も紡いで参ります。
皆さま、どうぞよろしくお願い申し上げます。
高尾つばき