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レビュー御礼~「時計塔 2」

大きな満月をバックに、まるで巨人のように建つ時計塔。

わたくしはタッタッタッと足音を響かせながら、そこを目指して駆けていきます。

時計塔が目前に立ちはだかっております。

上ばかり気にして走っておりましたわたしくしは、道路にあったそれに危うく足を引っ掛けて転がりそうになりました。

日ごろから鍛えた身体能力。
サッと宙で一回転して、片膝をついてその異物を確認しました。

梯子……えっ?

なにゆえこんなところに梯子が?

しかもあのB・Dバッジが大量に撒き散らかされているではありませぬか。そのそばには古いリュックサックがございます。

鋭い視線を感じ、素早く切れ長二重の目を時計塔に向けました。

はっ!

なんと、時計塔のテッペンに取り付けられた巨大な時計盤に、ボウッと燐光が。
しかもその青白い光は、人の形なのです。

「ふっふっふ、さすがは明智くん。よくぞこの “ 夜光人間 ” の元までたどりついたな」

「や、“ 夜光人間 ”?」

「よもや忘れたとは言わせんぞ。以前はきみに苦渋を飲まされたが、今回はこの “ 夜光人間 ” さまが祝杯を上げさせていただく番だ」

「ちょっと待って。はあぁっ……
少々お尋ねいたします。“ 夜光人間 ” の前は、よもや “ 妖人ゴング ” 。その前は “ 魔法博士 ” とか “ 青銅の魔人 ” などとふざけたキャラを演じていなさった?」

「おふざけキャラなどとは、不届き千万じゃな! わしはいつだって大真面目に変装しておるんじゃ」

わたくしは、どっと疲れました。

「えーっと、ぶっちゃけ、怪人二十面相さまですわね」

「ふっふっふっ、さすがは明智くん。このわしの真の正体を見破るとは。あっぱれ! わが生涯の好敵手よ」

「あのう、わたくし、多忙な身ゆえ、これで失礼いたします」

「あっ、ちょ、ちょっと待つのじゃ、明智くん」

わたくしはこれみよがしに、再度大きくため息をついてやりました。

「B・Dバッジなんて、よくもまあ大量に持ち歩けたものですわね。この背負ってらっしゃったリュックもさぞかし重かったのでしょう。よく考えれば、小林団長も隠居されて、少年探偵団はとうの昔に解散しておりますもの。
あなたのお遊びに付き合う義理もございませぬゆえ、マジに帰りますわね」

「いや、帰る前に頼みがあるんじゃ」

はは~ん、わたくしはピンときました。

「梯子ですわね。そこへ登ったとたんリュックが引っかかって、梯子が倒れたのでございましょう。
自業自得ですわね。そこで朝日を拝んだらいかがですか、怪人二十面相さま」

「いや、梯子もそうなんじゃが。この夜光塗料を塗った上着が、ほれ、この長針に引っかかってしもうてな。
はずそうにもはずせんのじゃ。すまんがここまで登ってきて、はずすのを手伝おうてはくれんかの」

憐れ、怪人二十面相さまは、時計盤の長針が時を刻むごとに身体がカックン、カックンと持っていかれていおります。現在は宙ぶらりんで、青白く発光している脚がブ~ラブラ揺れております。

なにゆえわたくしがお手伝いせねばならぬのか、そうは申しましても相手はご高齢の身。

わたくしは重い梯子を立てかけて、怪人二十面相さまを救出に向かいました。

やはりあの時、確認などせずに、さっさと放り投げれば良かったのですわ、B・Dバッジを。



疲れて帰宅したわたくしは、唯一の楽しみであるカクヨムさまをチェックいたします。腕が筋肉痛だわ。


あ、「明日へ奏でる草笛の音」にレビューをいただいております!

黄間友香 さま、
どうも初めまして! この度はご多忙の中にも関わらずお目通しくださり、またレビューまで頂戴いたしまして誠にありがとうございます!
SFの定義ってなかなか難しゅうございます。それゆえ初心者のおかたにも楽しんでいただいたなどとおっしゃってくだすって、嬉しい♡
わたくしも現在はハードSFは、ちと遠ざかっておりますの。あくまでもライトで♪
心より御礼申し上げます♬
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます!

7件のコメント

  • 「遠藤さ~ん。遠藤平吉さ~ん。
    お入りくださーい」

    診察室からカルテを片手に私が呼ぶと、カラカラと引き戸を開けて一人のかくしゃくとした老人が入ってきた。

    「今日はどうしました?」
    「ちょっとねぇ、背中から吊られるような体勢で長時間ぶら下がってたもんで、体の節々が痛くって」

    上着もズボンも夜光塗料のようなものを塗りたくっているこの老人を不審に思った私はカルテをもう一度よく見た。

    「平吉さん、あなた大正生まれなんですね。
    もうお歳がお歳なんですから、ご自分の健康を過信してはいけませんよ?」

    私のその言葉に、老人は突如眼光を鋭くして私を睨みつけた。

    「かいじん…? 今、おぬしは怪人と言ったな?」
    「いえ、私は過信と…」

    どうやらお耳も遠くなってる様子。

    「わしの正体を見破るとは、さてはおぬしも少年探偵団の一味だな!」
    「は? 一体何を…
    あっ! ダメです!遠藤さん!
    窓から飛び降りるなんて無茶な真似は…!」

    ビルの2階に構える整形外科である我がクリニックから飛び降りた遠藤さんは、幸いにも両足骨折だけですみ、救急車で運ばれた先の市民総合病院に入院した。

    それにしてもなぜ遠藤さんは突然血相を変えて窓から飛び降りたのだろう。

    遠藤さんが飛び降りた窓際には、B・Dと書かれたバッヂが一つ落ちていた。


    …という感じで遊ばせていただきました~(´∀`*)
    乱歩先生の怪人二十面相シリーズは小学生の頃に何か一冊読んだだけの記憶しかない私がパロディさせていただくのは恐縮ですが、いくらかでもノートの賑やかしになれば幸いです♬
  • ひまわりちゃん、おはようございます♩

    遠藤平吉!
    よくご存知でいらしっしゃいますのね。
    怪人二十面相の本名でございます。

    エンドゥ、ではなく、エンドウ♡

    元サーカス団員ですから、本来は二階から飛び降りても猫のようにヒラリと着地できたのよね。

    ああ、よる年波には、さしもの二十面相も……

    ところで、明智先生や小林少年(あ、現在は小林老人ですね)はお元気かしら?
    一度、明智小五郎探偵をトリビュートしたいものでございます♬
  • おはようございます、黄間さま♩

    ま!
    早速ノート・ジャックしてくだすって、ありがとうございます♡

    ご登場なさったかたがたは、黄間さまのキャラでございましょうかしら?
    拝読しに参ります☆

    高尾と苗字で呼ばれますと、なにやら病院で順番待ちしておるような錯覚に陥りますゆえ、どうぞ、つばきとお呼びくださいな。

    つばきち、つばっきー、はたまた、つばきんぐでも、お好きにどうぞ♩

    ノート・ジャックは、いつでもお気軽にご遠慮なくしちゃってくださいな♬
  • 高尾山……それは幕下付出しの、あのタカオヤマ関のことかしら?
    わ、わたくし、けして角界に身を置いてはおりませぬ!

    などと独りツッコミをいたします。

    黄間さま、こんにちは♩

    呼び名はどうぞお好きになさってネ♡

    つばきの近況ノートは、いつでも乱入してくだすってもOKでございます。

    あ、もちろんわたくしも、こっそりと天井裏もしくは床下からお邪魔させていただきま〜す♬
  • つばきちゃんのノートでの横レス、失礼いたします。

    黄間さま、はじめまして(^^)
    ノートジャックの続きを書いてくださりありがとうございました✨
    タマコちゃんと怪人二十面相の会話、なんだかほっこりとしてしまいました(笑)
    私や関川二尋さまは時々(しょっちゅう?)こうしてつばきちゃんのノートで遊ばせていただいております♬
    つばきちゃんの類まれなるセンスとユーモア、そして広いお心のおかげでノートジャックさせていただいております。
    またお会いできますことを楽しみにしております(*^^*)
  • ひまわりちゃん、こんにちは♩

    そうなのよ、黄間さまが参戦してくだすったの♡

    どうか猟奇色に染まらないでネ。
    あ、ひまわりちゃんや関川さまは、しごくまともな語り部でいらっしゃいますから、単にわたくしに合わせていただいているだけ。もし黄間さまがこのページをご覧になったら、誤解なさらないでくださいまし。

    ノート・ジャックはお勉強のため。
    いつでもどなたでも参戦をお待ちいたしております。
    あ、くれぐれも運営さまにイレイザーで消されぬ内容でお願い申し上げます♬
  • こんにちは、黄間さま♩

    あい、承知いたしました。
    それでは友香りん、とお呼びしてもかまわないかしら?

    猟奇の世界は、一度踏み込んだら最後。もう後戻りはけしてできませぬ。

    ああ、またひとり、人外魔鏡のトリコになられてしまいました……

    でも、とっても楽しくってよ♬
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