『村一番の正直者で、仕事熱心な珠三郎。
老いた両親を養うために昼間は田畑を耕し、夕暮れ時になると山へ入って薪用の枯枝を毎日集めておりました。
超貧乏な割に、でっぷりと肥えた珠三郎。
枝をはらう愛用の鎌を手に、今日も山へ向かいます。
つぎはぎだらけの上着。編んだ藁を突き出たお腹回りに結んでおります。
「フフ~ン~、フンフンフ~ン」
珠三郎は都で流行っている唄を口づさみ、起きていても寝ているような細い目で木々の間を見ながら奥へ進んでいきました。
「ついでに山芋でも掘っていくかな、かな。おっとうの好物だからだぴょーん」
問われもしていないのに、大きな独り言。
珠三郎は山奥にある沼のほとりで、必要以上に鎌を振り回し、バッサバッサと枝を刈っておりました。
「あっ!」
勢いをつけすぎた鎌が、スッポリと手をすり抜けて、ヒューンと弧を描きながら沼に向かって飛んで行ってしまいました。
「ありゃりゃ、チョーショックなんですけど、けど」
大事な鎌はポッチャンと音を立てて沼に沈んでしまいました。
鎌がなければ薪用の枝が集められません。
珠三郎は沼のほとりに短い脚を投げ出し、鼻くそをほじりながら途方にくれておりました。
ザザザッ、ザッパーン!
水が吹き上がる音とともに、いきなり水面に人影が現れました。
呆けたような顔つきで珠三郎は見つめます。
沼の水面に、三つの鎌を携えた巨大なヒグマが立っているではありませんか。
「ク、熊! いやいや,化けモノだぴょーん!」
珠三郎は腰を抜かします。
「失礼ね、ちょっとアンタ。ワタクシはこの沼に棲む聖なる女神、ナーティさまよ」
ヒグマでも化け物でもなく、自ら女神を名乗る巨漢ナーティ。
元は純白のドレスであったと思われる衣装は、沼の藻や苔、泥で変色し、長い髪には魚の死骸や水草が巻きついております。巨大な顔面からは泥水が滴り、どこをどう見ても女神ではなく妖怪です。
「ワタクシはアンタが落とした鎌を、水底から拾ってきて差し上げたの。ちょっとは感謝なさい。
はい、ここで質問よ。アンタが落とした鎌は、この黄金の鎌? それとも純銀の鎌? もしくはこの錆びた安物の鎌?
正直に言いなさいな」
妖怪、いえ、女神は手にした鎌を差し出しました。
「あら? ちょ、ちょっとぉ、どこへ逃げたの? ねえってばあ、ワタクシの好意を無駄になさるおつもりかしら。
おーい、どこへ行ったぁ! この野郎!」
臭ってきそうな女神はドスの効いた太い声で、そそくさと逃げた珠三郎を呼ぶのでした。 おしまい』
今回は、拙作「魔陣幻戯」より、珠三郎とナーティ嬢出演の昔話をお送りいたしました♡
わたくしは人一倍恥ずかしがり屋さんゆえ、第二回webコンに、この「魔陣幻戯」及び「THE☆騎士MEN」をエントリーしておりますのはあえて宣伝はしておりませんの。
なかなか長編はお読みいただけない(でも面白い長編は、やはり読まれておりますれど……)ため、エントリーしておけば少しはお目にとまるやも、などと姑息な考えでございます。
あらためまして、カクヨムさまをチェックです。
あ、「カクヨム・パラレル・ワールド」にレビューとお★さまをいただいております!
ふぁいたー。 さま、
平素は大変お世話になっております。ご執筆でお忙しい中、わざわざご覧くださり、またレビューまで頂戴いたしまして誠にありがとうございます!
さようでございますわねえ。今作のように読者の皆さまがもっともっと増えるとよございますわねえ。ながらスマホは本当に危のうございますゆえ、けしてされぬよう願います。ふぁいたー。さまからレビューをいただけるなんて、嬉しい♡
心より御礼申し上げます♬
秋葉夏木 さま、
どうも初めまして! この度はわざわざお目通しくださり、またレビューまで頂戴いたしまして誠にありがとうございます!
カクヨム界にも今後お歳を召されたかたがたが、こぞってご参加くださるようになれば、さらににぎわいますわね。ゲートボールに気づいてくだすって嬉しい♡
水戸黄門や鬼平犯科帳みたいな物語、わたくしも読んでみとうございますわ。
心より御礼申し上げます♬
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます!
よろしくま・ぺこり さま、
どうも初めまして! ご多忙にも関わらずご覧くださり、またレビューまでいただきまして誠にありがとうございます!
夢。やはりわたくしたち書き手は、この夢を失のうてはなりませんわね。たとえバッド・エンドの物語であろうと、どこかに夢を描いたほうが楽しゅうございます。お褒めくださり、嬉しい♡
心より御礼申し上げます♬
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます!
MARIKOさま、
この度はわざわざご覧くださり、またお★さままで頂戴いたしまして誠にありがとうございます!
お★さまは本当に嬉しい♡
心より御礼申し上げます♬
あら、「魔陣幻戯」にお★さまをいただいております!
安動直樹さま、
どうも初めまして! この度はこのような長編をご覧くださり、またお★さままでいただきまして誠にありがとうございます!
お初のかたに、あの物語を読んでいただけるなんて嬉しい♡
心より御礼申し上げます♬
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます!