「ささっ、レディたち、じゃんじゃん持ってきてちょうだいな!」
「しゃちょ~、アタシィ、ワインがいいなぁ」
「ワイン、いいんでないのぅ。よっしゃあ、こうなったらお店にあるワインを、ぜんぶひっくるめて持ってきてさ、朝まで飲み明かそうではありまんか」
男は、『キャバクラ☆ぽいずんはにい』でやけに調子のいい声で騒いでいた。
「ねえねえ、フルーツもたのんでいいかしら」
「おっ、出ましたよぉ、定番のフルーツ盛り合わせ。
メロンに見せかけたウリだろうと、いつが賞味期限かわからない缶詰のミカンなんかを、いかにも美しくインスタ用に飾り立てたお皿で、ガツーンとテーブルに乗っけてちょうだいな」
そこへ黒服のマネージャーが寄ってきて、男の横に片膝をついた。
剃り込みの入った角刈り頭に、眉のない顔はちょっとコワい。
「お客さま、追加のご注文前に、いったんここまでの代金をいただいてもよろしいでしょうか」
「いやだなあ、マネちゃ~ん。大丈夫、大丈夫だってえの。
ほら、これをご覧あれ」
男は財布から、束になった優待券を取り出す。
「ほう、失礼いたしました。これは当店のギャルたちが、お得意さま専用にお渡ししている優待券ですね。もちろんご使用いただ……んん?」
「そうよぅ、わたしはビップ、って言うのかなあ。超お得意さま、えっ? どうかなさっちゃたかしらねえ」
マネージャーはその優待券から、視線を男へ移動した。
「お客さま、あいにくこの優待券は、とうに期限切れですなあ。
それにこの優待券をお渡しした熊子っちは、店の売り上げをくすねてトンズラこきましてねえ。今も配下が行方を追っているところなんですわ。
ちょっと熊子っちのことで、うかがいたいことがありますんで」
マネージャーはいかつい顔を男に向けたまま、片腕を上げて指を鳴らした。
すると店の奥から、いかにも、な風体の男たちが姿を現した。
「えっ、ちょ、ちょっと待ってちょうだいな! いやいや、わたしは熊子っちの居所なんてしりませんよっ。
とてつもなくイヤな予感がしてるんだけど、もしかして、わたしって最大のピンチに陥っちゃったりなんかしてる?」
男は引きづられるように、奥へ連れ込まれていった。
~~♡♡~~
「だからあ、聴いてますう? わたくしのお話を。守護霊さま」
「聴いてる、聴いてるってえ、つばきちゃん。
だけどね、せっかくこうして繁華街へ出向いてるわけだから、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ覗いていこうよう」
「何度も申し上げますけど、わたくしは乙女、でございますのよ。
なぜそのうら若き乙女が、デヘヘッと目尻を下げてキャバクラなんぞへ行かねばならないのです?」
「冷たいこと言うなよう。
俺だってさ、たまにはさ、キレイどころとドンチャン騒ぎしてストレス発散したいわけ。
これでもさあ、守護霊なんかやってるとね、結構肩や腰にきたりするのよ。歳はとりたくねえなあって感じぃ」
「いやいや、守護霊さまはとうにあの世においでなのですから」
そのとき、わたしの耳に男の悲鳴が聞こえました。
すかさず壁越しに路地裏を確認します。
暗くてはっきりとは見えませんが、土下座している殿方を数人の男たちがボカスカと殴る蹴るとリンチの真っ最中。
「ほら、ご覧なさいな、守護霊さま。変な店に入ってボッタクリにでもあえば、ああして痛い目を見ますのよ。
ささ、帰りますわよ」
わたくしは、あえてその殿方を助ける気もなく帰途につきました。
ああいう殿方は、イヤな目にあいませんと懲りないですから。
帰宅したわたくし。いつものようにリビングのソファに身を委ねまして、アイスティをかたむかながらカクヨムさまをチェックいたします。
あ、「二十歳のおばあちゃんへ」にレビューをいただいております!
しる さま、
大変ご無沙汰いたしております。この度はお忙しい時間をぬってくださり、またレビューまで頂戴いたしまして誠にありがとうございます!
心に響くだなんて、嬉しい♡ まともな恋愛モノなど、よう描かないわたくしが、あえてチャレンジいたしました。いつまでも一緒にいたいと思っていても、いずれは一度結んだ心の糸をほどかねばなりませぬ。
心より御礼申し上げます♬
詩音 さま、
詩音ちゃん、いつもお世話になっております。ご多忙の中お目通しくださり、またレビューまでいただきまして誠にありがとうございます!
まるで一編の詩のようなレビュー、嬉しい♡ 時の流れには逆らえませぬけど、相手を想う気持ちはいつまでも色褪せぬ。そうありたいな、などと思います。桜は散れど、また来年には美しい花を咲かせてくれます。
心より御礼申し上げます♬
月花 さま、
どうも初めまして! この度はわざわざご覧くださり、またレビューまで頂戴いたしまして、誠にありがとうございます! タイトルに気づいてくだすって、嬉しい♡ タイトルからどんな想像をなさったのかしら。結構ない知恵を振り絞りました。好いた惚れたの世界を描くのは、やはり難しゅうございます。たまにはこのようなお話にもチャレンジしようかな♪
心より御礼申し上げます♬
今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます!
あ、「みかんをのせた、もっちん」にレビューをいただいております!
桜井今日子 さま、
今日子ちゃん、つばきの童話をご覧くださりありがとうございます!
その上、応援コメントにレビューまで頂戴いたしまして、誠にありがとうございます! 紙の絵本だなんて、照れてしまいますわ。今日子ちゃんのような巧者にお褒めいただけて、嬉しい♡ 戦争で泣く子どもたちだけは、絶対につくってはダメ。それが大人の責務だと思います。
心より御礼申し上げます♬
あ、「THE☆騎士MEN」にお★さまをいただいております!
村岡真介さま、
いつも大変お世話になっております。お時間を頂戴し、またお★さままでいただきまして、誠にありがとうございます! ここまで名古屋に固執するヒーロー物を、一度描いてみとうございましたの♪
心より御礼申し上げます♬
あ、「ひねもす漫研、オタクかな」にレビューを頂戴しております!
まとりくれあ さま、
いつも大変お世話になっておりま~す♪ ご多忙の中お目通しくださり、またレビューまでいただきまして、誠にありがとうございます!
素敵な物語だなんて、嬉しい♡ 本当はこのシリーズは続けとうございましたの。ところが第三話で描いた「猟奇なガール」を独立させたため、一度完結にいたしました。わたくしは特に収集癖はございませぬ☆
心より御礼申し上げます♬