肥前ロンズ

僕は名前を呼んだ。頭の中に浮かんだ、けっしてこちらを振り向くことのない人の名前を。 夏の暑さと気だるさ。不自由さと、一瞬のきらめき。貪欲さと未解消。 相容れないものがぐちゃぐちゃ…続きを読む

可哀想な女は綺麗に見える。 彼は今、可哀想な女を助けるヒーローである自分に酔っているだけだ。 心が死に、体に欲がなくなっていく主人公。 閉ざされた周りの色は、とても青い。それは嘘…続きを読む

好きな人が、自分とは別の人と結婚する。 梅芳は不老不死をめざす仙道士。自尊心が高く、尊大な態度を取り続けていた梅芳は、柳毅に自分の心を素直に打ち明けることが出来なかった。 ところが…続きを読む

もうすでに、彼の心は私に向いていないと、わかっていても。 相手と自分の環境の違い、そこから生まれるすれ違い、自分の環境と合う人との出会い、ちょっとした相手のしぐさや態度。 もう…続きを読む

なるほどな…と思いました。 ちなみに我が校では鏡がめっちゃ置かれていました。 理由は「常に身だしなみに気をつけろ」という学校からの圧力でした。その割には先生たちはジャージだった…続きを読む

怖いけど、主人公が悲しい目に遭わない作品なので、ホラーが怖い人でも楽しめます！
でもこういうのが、一番リアルな気もする…

叔父一家に虐げられるイズのもとに現れたのは、美しい天族。 彼に一目惚れされ、婚約者にされたイズは、しかし自分で何かを選ぶことも拒絶することも出来なかった。 「天族様の婚約者なんて…続きを読む

浦島太郎の原型と言われる、浦島子のお話。 その乙姫さまのその後のお話。 情熱的に愛する人と過ごす日を語り、愛する人の嘘を見抜き、気付かないふりをして玉櫛笥を渡した。 乙姫さまは…続きを読む

実物とはなにか。
芸術とはなにか。

そのような討議は、その絵の前では無意味だろう。
ただそこには、作者が描きたいものと、観るものの心だけがある。

とても美しい作品でした。

多分この作品は、とっても仏教的です。
見えている恐怖や不幸なんて、自分が作り出した幻。そういう事を、身をもって教えてくれる作品ですね。

え、怒られるって？

『【公式自主企画】怖そうで怖くない少し怖いカクヨム百物語』
……オチが怖かったです。
ええ。恐らく多くの人が、恐怖と背中合わせで執筆していることでしょう…

なぜそんなミスチョイスをしてしまったのだ、幽霊。 ホラー的には怖くないけれど、それを選んだセンスが怖い。 そしてその上で起きるミスも怖い。 もしかすると、「話を聞いてもらうなら、怖…続きを読む

幼稚園の時、仲が良かった姉弟――香織と伊織。 二人に6年ぶりに会える。 華恋はとても楽しみにしていましたが…… 　 「ふふっ、なに言ってるの？　そんなこと無いよ。名の通り可憐で、可…続きを読む

小学生に必ず挨拶をするおじいさん、『挨拶ジジィ』。 私の近所だとフツーなのですが、都会だと「不審者では？」と怖く思う人もいるかもしれません。 ある日『私』は、ジジィに、「どうして…続きを読む

好奇心旺盛でおしゃまな黒猫ディアナ。 ディアナをレディとして扱う、骨董屋店主の柳都さん。 そんな一匹と一人の日常は、いつだって新たな発見に満ちています。 読んでいて思わず笑みがこ…続きを読む

「自由研究かぁ……めんどくさいなぁ」 悩んでいた勇真の前に現れたのは、『謎タマゴ』の飼育キッド。 何が生まれるのか、生まれてみないと分からない。 『謎タマゴ』を選んだ勇真のもとに、…続きを読む

聴覚や嗅覚が人間より優れており、地震などの危険も察知すると言われる犬。
そんな中、犬たちが一斉に吠えた理由とは…

人間には見えない何かを、犬は察知できるのかもしれませんね。

雨の中、助六は女の悲鳴を聞きました。 見ると、痩せた男が女を襲っていたのです。 助けに入った助六は、お礼にということで、女の家に案内されました。 助六は何を食べさせられたのか。 …続きを読む

20年という、決して短くない時間を掛けて存在した恐怖…
ホラー・サスペンス的にも怖かったし、日常的にも怖かったです……

あなたのお部屋も、ジメジメする理由は、もしかして……

この社会には、藁にもすがる思いの人を騙し、操り、搾取する人たちが少なくない。
本当に、よくご無事でした。

で、本当にこの人は何者で、紹介した方はその後どうなったんでしょうね…

野菜を切る音、ジュワジュワした音、カリカリの感触。香ばしい香り、天つゆの味。
その中に、母の言葉を思い出す。

その天ぷらは、しょっぱい。

アイスクリームを食べてみたい！ そういう娘の願い事を叶えてあげたいけど、アイスクリームは売ってないし、氷もない。 輸送技術や科学技術で氷魔法は廃れたものの、一般庶民には届かない。 …続きを読む

奪うか、奪われるか。国同士で争うことが日常である世界。 奪う側へ居続けるため、『クラルスの戦乙女』であるエルを、兄のレオンハルトはアウレア王国に売り飛ばす。 そして気づいた時には、…続きを読む

睡蓮は誘拐された。第二皇子との結婚を理由に。 妖魔が出る嵩天山に一人取り残された睡蓮は、恐怖に震える。しかし、同時に諦めてもいた。――かつて天上聖母と同じ力を持ち、そして失ったこと…続きを読む

アートを選んだものの、有名になれず、アーティストでもない道を選ぶこともなかった星野レイは、さりとて不幸でもなかった。 ……はずなのに、なぜか『別世界』に行っていた。 しかもハイパー…続きを読む

4月8日は花祭り。 お釈迦様の誕生を祝うこの日は、なぜか仏教国の日本で忘れ去られている。 けれど、それぐらいがいいのかもしれない。誰にも知らない日に、イルミネーションを見に行くので…続きを読む

甘い蜜の味に潜む、おぞましい毒におかされる。さぞかし恐ろしい展開が待っている…のかと思いきや!?
いや、彼らにとってはおそらくこんな感じなのでしょうが……意外な展開が待っています！

自分が心地よく過ごせる相手には微笑み。 自分を害する人に対しては嘲笑する。 誰に対しても態度を変えず、周りから「冷たい人」と言われ続けていた武藤玲子は、ある日神様に出会う。 「…続きを読む

生き物を飼うと、その生き物に対する思い込みに気づくことがあります。 私もトイプードルを買うまでは、犬に服を着せるものではないと思い込んでいましたし…(トイプードルは寒さに弱いので、…続きを読む

ごはんをテーマにした連作ですが、何やら物語が始まりそうで、とてもワクワクしました。

『魔女だって～』に、思わずクスリ。

様々なシーンを詠う俳句。 夜の中に昼の匂いを感じさせ、物音のそばに静寂があり、今いないものや人はかつていたことを示唆させる。 そして改めてタイトルを見る。『プラスチックの夜』。連…続きを読む

――あぁ、このきれいさが正しいんだろうな 琴の泡を見て、詩子は思った。 物心から、人の口から零れる泡を見た。誰にも信じてもらえない中、信じてくれたのは、幼なじみの男の子誉だった……続きを読む

『ドラゴン討伐のお知らせ』 そんな張り紙が国中に張り巡らされてから十日。 たくさんの人間が受付に来て、ようやく順番が回って来たトビーだったが…『申し込みは四人か五人のグループ』とい…続きを読む

思考の輪郭を溶かすような、けれどもそこに意志がある、素敵な歌です。

嘘ばかり言うゴン。 そんな嘘を一つ一つ素直に受け入れた僕。 全部を信じたわけじゃない。だが、自分の薄膜を守れるなら、他は些事だ。 そして、同じ嘘を二度とつかないのが、ゴンの薄膜だっ…続きを読む

腐らない死体にはマガモノが憑いている。 特務零課は、そのマガモノを見つけ、適切に処理する警察の組織である。 今回、異動して初めて「マガモノ」を担当する水原は、先輩の夏目とともに現場…続きを読む

人間関係も、時間やお金のかけ方も、自由の使い方だって、上手くいくかいかないかは運次第。 そして世の中には、「見通しが甘い」とか、「自己責任」では片付けられない理不尽が降り掛かってく…続きを読む

このエッセイが、今は亡き愛鳥たちへの愛で詰まっているのは言うことなく。

最後の一文に、思わずこの言葉が出てきました。

これはまさにオシグルイ。
あまりにもてぃてぃすぎて、語彙力が消えてしまうことすら、音で完璧に表現しています。うん、テンションの高さまでリアルに想像できた。

君が何者でも構わない。
だから、ずっと。

とても短いのに、完成された物語。
不思議な存在と、匂いや体温を感じる日常が、読んだものに強烈な印象を与えます。

けれど、約束を守るのは、もっと難しい。
それは、誰かの願いや祈りを背負っているから。

きっと、とても素敵なドレスだったことでしょう。
そんなことを想像しました。

そんな兄が、不器用に卵を混ぜる。 私は隣で、しなしなの葱を小さく切る。 即席麺で作る、お気入りの西紅柿雞蛋麵。 「何も間違ってないんだ、僕たちは」 葱が嫌いでも、スカートを履い…続きを読む

なお私は答えられないし、なんなら金次郎のとあるセリフが全く頭に入りませんでした!!

金次郎!!　スマホでカンニングさせてください!!

目に見えるものの、その奥にある感情や祈りを占う、こそばゆくもかわいい歌五首です。

花畑がない世界などごめんだと、
戦争を知らず、平和をこの世界で誰よりも知る私たちは、突きつけたっていいはずだ。

私たちは、花の名前を知り、花に想いを込め、種をまく。

――時計のない町がある、たった一つの大きな鐘楼。 その鐘楼守のリゲルは、街に時を知らせていました。 寒くて暗くて一人で時を知らせなければならない仕事。 そんなリゲルの元に、現れた…続きを読む

流星に願い事をする風習を元に発展した星降祭《アストラ》。 そこへ向かうため馬車に乗っていたテオとネージェだったが、テオがある人たちに席を譲ってしまう。 「『記憶がないのに』病的な…続きを読む