もともと興味のあった中華風ファンタジーBLですが、読んだのは本作が初めて。
十五年まえに失踪した兄弟子の柳毅を捜しつづける、弟弟子の方士梅芳。
彼の一途さがまず、胸を打ちます。
ですが、梅芳は弟の梅靖の頼みによって、また、柳毅の行方がわかるかもしれないという期待もあって、何と女装して皇子武俊煕の花嫁になることに!
これもまた、男の娘も大好きな私にはたまりません。
しかも武俊煕は優しくて正義感も強い美青年で、梅芳は柳毅を想いながら武俊煕にも惹かれてしまうのです……お、おいしい、おいしすぎる!
調子は良いが娘思いの梅靖も憎めませんし、梅芳に想いを寄せていて武俊煕にツンツンする、梅芳の妹弟子葉香も可愛いです。武俊煕に熱烈にアプローチする従妹の曲蘭も、はじめはちょっと面倒くさいと思ってしまいますが、だんだん可愛く見えてきます。
もちろん、方士や方術や妖怪が存在する中華風ファンタジー世界も丁寧に、かつわかりやすく描かれていますし、ミステリとしても完成度が高いです。
何度も騙されましたし、伏線も見事に張られて回収されています。
梅芳の想いはどこへ行き着くのか、“事件”の黒幕は誰で動機は何なのか……「BLは読まない」「世界観になじみがない」なんて読まずぎらいはなさらず、どうぞご自身の目で見届けてください!
中華ファンタジー、仙侠BLもの。
主人公(男)、方士である梅芳《ばいほう》は、兄弟子である柳毅《りゅうき》に片思い中。
プライドが高い彼は、ぐずぐず、兄弟子に恋心を伝えられないまま、兄弟子は行方不明になってしまった───。
ミステリ、仙術バトル、きらびやかな中華後宮もの。かっこよくて、優しくて、忍耐強くて、主人公をラブ目線で見てくる、皇子さま。
んも〜、美味しい要素がてんこもり!
皇子さまは魅力的な人なんだけど、行方不明の兄弟子を忘れられない主人公は、簡単に皇子さまに心がよろめいたりしない。
主人公の揺らぐ心が繊細に描かれ、どきどき。きゅんきゅんします。
あ〜、良い。良いよね!
BLをふだん読みなれない読者さまにもおすすめ。
BLって面白いんだ、って、目覚めちゃいますよ。
ミステリとしてもよく練られていて、伏線があちこちに。伏線を見逃すな!
おすすめです。
本作は、
「煦煦たる皇子殿下の寵妃は絶佳の呪術師 ~失踪した初恋の人を探し求める美貌の方士は、偽りの花嫁を演じるうちに二度目の恋に落ちる~」
(https://kakuyomu.jp/works/16817330658236485660)
の主人公男女逆転BL版中華風恋愛ファンタジーです。全54話。
なお、女性主人公版のレビューはこちら。
(https://kakuyomu.jp/works/16817330658236485660/reviews/16818023212593353819)
被っているところは活愛させていただきますが、
両作品に共通するオススメポイントは、
(1)魅力的な登場人物たち
(2)仕掛けられた謎と、展開の巧みさ
(3)揺れ動く恋の行方
です。
いずれも、丁寧な筆致で繊細に登場人物たちの心が活写されていて、味わい深いです。
結構ムキになりやすい梅芳と、おおらかな、ただ意外とぐいぐいな武俊煕のやり取りが楽しいです。
片方だけでも勿論楽しめるのですが、是非、女性主人公版と男性主人公版、両方を読んでほしいです。
どちらから読むかは、好み次第、というところですが、
もし迷われるのでしたら、個人的には【女性主人公版】から読まれることをオススメします。
その方が、恐らく梅芳の抱えている思いの切なさが、より深く味わえると思います。
因みに、こちらの方が、恋愛描写は濃密です……///
大筋は同じながら、細部が異なるので、両者の違いを探すのも楽しいです。
主人公・梅芳をはじめ、サブキャラ達の見え方が変わってくるのも面白いです!
また、再読することで、作者様が緻密に張り巡らした伏線に気付くことも多く、
女性主人公版の解像度も上がったように思います。
併せて読むことで、何倍も楽しめること請け合い!
■こんな方に
☑切なく揺れ動く恋心を味わいたい方
☑武侠・仙侠ファンタジーがお好きな方
☑中華BLファンタジーがお好きな方
是非書籍化して欲しいと思う大好きな作品です。
どのキャラクターも魅力的なのですが、やはり梅芳(弟弟子)、柳毅(兄弟子)、武俊煕(偽りの花嫁として梅芳が嫁ぐ相手の皇子)の三人が見目麗しく、人柄も最高なのです。
そんな彼らの想いが複雑に交差し合っている様子が丁寧に描写されているので、読者はすんなりと感情移入できて、ドキドキさせられてしまいます。
また、設定も素晴らしいです。
失った恋、追い求める恋、いくつもの三角関係、身代わり結婚、後宮の陰謀に、仙道(呪術)の力。
絡まり合った事情が解けていく時の、驚きとすっきり感、キュンキュンと切ない想い。
全てが完璧なハーモニーとなっています。
皆さんも、是非味わってみてください。
お勧めです!
実は、本作は男主人公版と言える存在で、その対になる女主人公版が先にあります。babibuさんの発想力に脱帽です。その女主人公版も同じタイトルです:
『煦煦たる皇子殿下の寵妃は絶佳の呪術師 ~失踪した初恋の人を探し求める美貌の方士は、偽りの花嫁を演じるうちに二度目の恋に落ちる~』
もちろん、単純に主人公の性を入れ替えただけでは成立しない点があり、それがbabibuさんの工夫のしどころ、かつ読者の見どころです。読者は女主人公版を思い出しながら、もしくは照らし合わせながら男主人公版を読むともっと楽しめるでしょう。
女主人公版の時もそうだったんですが、主人公の梅芳が長年の想い人柳師兄への想いを諦めきれないのに、偽装結婚相手の孝王殿下(武俊煕)に絆されつつあって迷いに迷って罪悪感も覚えて梅芳の気持ちは千々に乱れます。そういう気持ちがせめぎ合う様子がよく描写されていて胸がドキュンと射抜かれました。しかも武俊煕は梅芳にすごく優しくて人助けもするとてもいい人で好感が持てるキャラです。
好きな人が、自分とは別の人と結婚する。
梅芳は不老不死をめざす仙道士。自尊心が高く、尊大な態度を取り続けていた梅芳は、柳毅に自分の心を素直に打ち明けることが出来なかった。
ところがその直前、柳毅は失踪してしまう…。
それから十五年。
柳毅の生存を信じ探し続ける梅芳のもとに現れたのは、『殿下』と呼ばれた謎の男。
さらに腹違いの弟が「皇族に嫁いでくれないか?」と頼んで来た。
「その皇族の花嫁候補は全員、原因不明の奇病にかかる。しかも、奇病は妖怪のしわざだと、貴族のあいだでうわさになっている」
なので自分の娘の代わりに嫁いで欲しいということだった。
しかし梅芳は男、それも今年で三十八。そんな無理が通るとは思えない。
だが、柳毅が行方不明になった場所は王府。そのことを思い出した梅芳は、「花婿公認の身代わり」として引き受けることに。
しかもその相手は、梅芳の前に現れた謎の男――『殿下』と呼ばれた、「煦々たる皇子殿下」こと武俊煕だった。
「女だろうと男だろうと、ましてや年齢など関係ない。あなたは、神仙かと見まがうほどに美しい」
「あなたがここにいる間に、その床術とやらをご教授願えないだろうか?」
「夫」に真正面からそう言われる梅芳。
はたして梅芳は、無事「王妃」として、柳毅の失踪の謎を解き明かすことができるのか?
陳情令のような武侠ジャンルがお好きな方にオススメします。
仙人の修行者である美貌の方士・梅芳には初恋の師兄がいた。
けれど結婚も決まっていた師兄・柳毅は15年前、妖怪退治の時に行方不明となる。
時は流れ。仙人としての修行を積んでいる梅芳には、15年という時間も問題ではない。(羨ましい)
美貌は変わらず、師兄への想いは薄らぐことなく、寧ろ消息を知りたいという気持ちが募っていく。
その時、後宮内で皇子の花嫁ばかりが襲撃される事件が起きる。
奇しくもそれは柳毅が失踪した事件と関連があった。
梅芳は、後宮と繋がりのある弟の策略に乗せられて(?)、偽の花嫁として後宮に乗り込むのであった。
梅芳は初恋の柳毅を想いながらも、皇子・武俊煕に惹かれていく。
スパダリ皇子様の看板に偽りなし。何をやっても絵になるような美しさと妖艶さもあり、積極的に梅芳に迫ります。花嫁襲撃事件の真相を探るため、お互いの事情は事前に了解ずみという状況なので、普通はバレたらどうしようって焦る場面が、実は……という別の意味でドキドキしてしまう。
ここはぜひ読んでいただいて、楽しんでほしいです。
梅芳は修行中の方士である。そんな梅芳が密かに恋愛感情をいだいていたのは、師兄である柳毅。師兄と一生一緒にいるのは自分である!と思っていたのに、ある日その師兄に結婚話が・・・。どうやってもその結婚を阻止することはできないと知った梅芳は、
「彼の結婚相手は普通の人間。誰よりも長い時間を柳毅と過ごすのは自分だ」
と自分に言い聞かせて、師兄を送り出す。
しかし、妖怪退治のために皇族の邸宅にむかった柳毅は以降、消息不明に。
それから十五年の時が過ぎて―――。
この作品は以前同タイトルで発表され、一度読ませていただいた作品なのですが、今回主人公がまさかの男性に変更され、BL作品として生まれ変わった異色の作品なのです。だがしかし、成り立っている。
そう、成り立っているのですΣ(・ω・ノ)ノ!
物語の流れはすでに知っているのですが、微妙に男女逆転していたり、やり取りが男性として描かれているのにも関わらず、違和感なく読めております。そもそも私はBLが好きなので、これはこれであり・・・という個人的な意見もあり。
はじめて読む方は、女性主人公版もぜひ読んで欲しい気持ちですが、まずはこの男性主人公版を存分に楽しんで欲しいですね。
中華BLといえば、イケメン、悲劇、強いという三大要素が重要。
この作品はもちろんその要素があり、好きなひとは間違いなく好き!
興味のある方も、食わず嫌いなしで読んでいただきたい。
一緒に中華BL沼にハマりましょう♪