可哀想な女は綺麗に見える。彼は今、可哀想な女を助けるヒーローである自分に酔っているだけだ。心が死に、体に欲がなくなっていく主人公。閉ざされた周りの色は、とても青い。それは嘘の色なのか、頑なにそう思う自分の問題なのか。それでも惰性に生きていくために、委ねていくのです。例えそれで誰かを傷つけるとしても。
特に色に例えた表現は秀逸また短編ながら主人公の心情や周囲の反応などからさまざまな想像を膨らませることもできて非常に知的な作品と感じましたいっそ文学的といっても言い過ぎではないでしょう
言葉と色が折重なったきれいなお話でした。少し大人で儚げで…とても好きです!
ぁ~そうなのだ。悲しみに支配され、堕ちていく主人公。それは痛いくらいだ。そして色。そう、きっとそうなのだ。孤独と悲しさと、たぶん怒りを抱え闇の中で救いを求めてる。そんな感情が痛いほど伝わる表現に、鳥肌が立ちました!
ここで白を持ってくるのか、という作者様の感性に惚れ惚れしてしまいます。そして、とどめの青。どこまでも幼く、ピュアに見える矢島がこの作品の中で生々しく、鳥肌がたつ存在でした。だからこそ、主人公の痛みが強調されるようで、胸が痛かったです。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(288文字)
にわ冬莉さんの、作家としての奥行きや幅の広さを感じる作品でした。心の描き方がとても好きです。そして、色で表現しているところもとても好き。読み始めたら引き込まれて、最後まで一気にいきます。そういう引力も感じました。