冒頭から終わりまでこころをつかまれました。自分の体験ではないのに、まるで自分の体験のように思ってしまう。目から涙があふれてくる。これこそ筆のちからなんだな。
胸が詰まるほどに重く、理不尽で、切なく、哀しい顛末。それをここまで丁寧に、緻密に描きあげた筆致に、痛ましいほどの戦慄を感じます。
もうすでに、彼の心は私に向いていないと、わかっていても。相手と自分の環境の違い、そこから生まれるすれ違い、自分の環境と合う人との出会い、ちょっとした相手のしぐさや態度。もう終わっているとわかっていても、心がついていけないどうしようもなさに、胸が締め付けられる物語です。
主人公と苦学生の彼、まだまだ幼く淡い気持ちとすれ違い。1話完結の短編ながら凝縮された文章とその心理描写に心打たれました。環境の変化、身に付けている物、時間の流れ、その全てが彼女の『想い』を語っているようで美しく切ない。現役の学生、社会人、男女のどちらが読んでも引き込まれること間違いなし。是非とも一読してほしい作品です。
若い二人の、別れの物語。普通の、どこにでも居そうな二人の、ごく短い期間を切り抜いた短編。ですが、何ですかねこの切なさは。強くない。恋の続きを諦めてしまえるほどの弱さに、魅力を感じてしまう。そんな物語です。夏の終わり。秋の始まりに相応しい、狂おしいほどではなく、少しだけ胸が痛む小説でした。
あらすじの通り主人公が振られるというシンプルな展開ですが、そこに至る物語、特に夏の蒸し暑さや楽しい予感を裏切られた故の心理描写が丁寧で引き込まれます。夏の暑さの鬱陶しさが作品に見事マッチしてて、読み応えもあります。読後感も良かったです。
本作の流れはあらすじに書かれている通りです。大学生の女の子が彼氏にフラれる話です。なのに、それが選び抜かれた言葉で、自分の記憶にもあるかのようなリアルさで描かれることで、こんなにも読み手の胸に刺さるのか……。もう一度読みたい、でもせつない、だけど読みたい。そんな破壊力抜群の作品です。
終わりの予感に必死で蓋をし途切れた心を繋ぎ止めようともがくあまりに痛々しく、不憫であるのにだれもが結末を疑わない重ねた想いの分だけ自らを苛むこの痛みは遥か昔からきっと変わることがなかったのだろう終わってみれば、ありふれた話でも、この痛みの透明感と輪郭は誰の心にも突き刺さるものであろう
失恋した(しようとしている)女の子のお話です。大好きな彼から送信された、別れて欲しいのお願い。予感はあったけれど、もう現実から目を逸らせなくなる、そんな文字です。女の子の精一杯の強がりとか、抱く思い出の美しさとか、とても切なくて、でも、とても愛おしい。読み終わった後、心が瑞々しくなった気がしました。お薦めします(^^)!
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