生きている。死んでいる。生きていたい。死なねばならない。痛み、苦しみ、傷と火傷。薫る風、透き通る故郷の空、揺れる秋桜。敵艦を正面に捉え。送ったあのひとの横顔を正面に見据え。万歳三唱。静かな涙。轟音。夕景。道を、手に手をとって。もういちど、あの道を。作者さまの提示した時間の、空の、ゆく道の遠さの。なんて広大なことだろう。ねえ、手をとって。
頭をからっぽにして読みました。花言葉と作品のテーマと、うまく絡めてあって、そこが技巧的に素敵だなと思いました。それから、575をわざと崩しているところも。でも、そういう技術面の素晴らしさよりも、胸の奥にすいっと入ってきて、じわりと悲しみを広げる感じが好きでした。深い悲しみなんだけれど、わたしはとても静かなものを感じたのです。激しい情動のあと、時が止まり音が消え失せる。そういう瞬間であるように思いました。