天上聖母のそばにいる龍はどちらか?

睡蓮は誘拐された。第二皇子との結婚を理由に。
妖魔が出る嵩天山に一人取り残された睡蓮は、恐怖に震える。しかし、同時に諦めてもいた。――かつて天上聖母と同じ力を持ち、そして失ったことで全てを失った彼女は、期待そのものを失っていたからだ。
しかし彼女が目がさめると、そこは明月城の敷地内にある離宮。そこには、友人である天擂(てんらん)がいた。
白家預かりになった彼女は、白秋雪という男と出会う。

「十年前、私は睡蓮様に救われたのです」

そこは白い龍が暮らす土地。優しく接する白秋雪と、ずっと守ってくれた天擂の愛に、落ちぶれ仙女は癒されていく。だが数々の裏切りを受けた彼女の心の傷は、とても深かった。

「私の意志なんて罷り通らない。多分、今度も勝手に決まるの」

そんな中、皇太子は第一皇子に決定したという報せが届く。
今後のことを考えなくてはならなくなった睡蓮。

「どうか、ご自身を卑下なさらず。あなたの人生はあなただけのものです」
「睡蓮、今度は必ず守ってやる。だから、好きに生きろ」

二人に背中を押される睡蓮。
私は何になりたいのか。どこへ行きたいのか。どうしたいのか。

「どうせ、私には何も出来ないんです。だからこそ、出来る範囲で反抗してやるって決めてるんです」

 睡蓮は、今度こそ自分の人生を選ぶことができるのか。

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