流星に願い事をする風習を元に発展した星降祭《アストラ》。
そこへ向かうため馬車に乗っていたテオとネージェだったが、テオがある人たちに席を譲ってしまう。
「『記憶がないのに』病的なほどお人好しで利他的な性格は健在か――!」
実はテオは記憶喪失。無くした記憶を取り戻すため、星降祭《アストラ》に向かっていた。
自分が犠牲になることで、誰かが救われることに安堵するテオと、それに怒るネージェ。
様々な風景、様々な人と巡り会う彼らの行先は。
本作の魅力は、まるで自分も旅をしているかのような、五感に訴える風景描写。
そして、軽快で破天荒でありながら、そこから滲み出る一筋縄ではいかない過去を持つキャラクターの掛け合いとエモそうな関係性。ぜひ!
オープンニングはゲーム風に始まる物語。
しかし、第1話を読み進めると、それはゲームではなく青年2人の旅のはじまりだった。
記憶喪失の主人公テオは、自己犠牲主義者だ。そしてテオの自己犠牲主義に真っ向から反する、もう1人の主人公・魔法使いネージェ。
テオの記憶を取り戻すため【星詠みの旅】を始める2人は、似ていない様で、どこか似た者同士だ。
何だかんだと息があった2人の掛け合いは、リズミカルで読んでいて楽しい。ひとつひとつの描写も美しく、夜空に煌めく星々が、この物語の世界へ導いてくれるかの様に先へ先へと読者を誘う。
魔王を復活させようとする大魔法使いとは何者か? テオは一体、何の記憶を失っているのか?
忘れなくてはいけない何か。もしくは、忘れてはいけない何かなのか。
謎の多いテオの記憶を紐解きながら、どこか俺様的でありながら優しさもある魔法使いネージェの2人の旅。
あなたも彼らの旅仲間として、一緒に【星詠みの旅】をしてみませんか。