君のためなら、世界すら変えてみせる。

奪うか、奪われるか。国同士で争うことが日常である世界。
奪う側へ居続けるため、『クラルスの戦乙女』であるエルを、兄のレオンハルトはアウレア王国に売り飛ばす。
そして気づいた時には、エルはアウレア王国のユリウス王の寝室で、頭を撫でられていた。

「頼むからこちらを見ないでくれ。一目惚れなんだ」

顔を真っ赤にしてそういうのは、冷酷非道の王と呼ばれていたはずのユリウス。
家族に疎まれ、家族の望む生き方のまま、自分を殺して生きてきたエル。
その相手が変わっただけ。相手の思う通りに従う、と申し出たエルに、ユリウス王はいう。

「エルには、俺のことを好きになってもらう」
「それは、難しいですね」

エルがいると顔を真っ赤にする青年の顔と、冷酷非道と呼ばれる王の顔を持つユリウス。
その差に戸惑いながらも、エルはユリウスに望みを口にする。

「わたしには『好き』という感情がわかりません。――わたしに、好きという感情を教えていただけませんか」

その言葉に、ユリウスは「世界の改革」そのものに手をつける。
やがてエルは、ユリウスの「本当」を見つけていく。
果たして、エルは、世界は、人は、変われるのか。

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