目利きレビュワーは誰だ!? 復活のカクヨムgoodレビュワー"大"表彰式!【第一回】



第3回カクヨムWeb小説コンテスト後半戦! ……ということで、以前実施して大好評を頂いたイベントの復刻版であるカクヨムgoodレビュワー"大"発掘会が開催中です!

この企画では、応募作に寄せられたおすすめレビューより、運営が選出した秀逸なレビューを毎週10本ずつ紹介します。紹介された方には、カクヨムgoodレビュワーの称号を授与。さらに2,000円分の図書カードをプレゼントいたします。

第一回目の発表となる今回は、12月28日〜1月4日の間に投稿されたおすすめレビューが対象です。


今週のgoodレビュワー (期間:12月28日〜1月4日)


goodレビュワー No.1: ゆうけん
触ってはいけない。こんなに愛しているのに。
本作は恋愛小説です。しかし、恋愛描写だけではなく動きのあるアクションや民族学を練りこんだ妖怪物語でもあります。

主人公は鬼の末裔の男子高校生。人離れした身体能力を持つものの、現代社会に順応するために力を抑えて生きています。性格も鬼の血が入っているとは思えないほど内向的。いえ、人間にあまり感心がないと言った方がいいのかもしれません。
そんな彼が金の瞳の女性と出会ってしまい恋に落ちる物語です。

学園生活もそうですが、日常の描写がとてもナチュラルで主人公が鬼である事や非現実な出来事が、違和感無く入り込んでいます。
どのキャラクターも個性的ですが、物語の背景に溶け込むように活き活きと活躍する様は読み手を引き込むでしょう。

恋愛小説好きには勿論読んで欲しい作品ですが、それ以上に妖怪やもののけ等を題材にした作品が好きな方には是非拝読を薦めます。

物語の構成力が圧巻ですので、飽きる事なくワクワクドキドキしながら読み進める事、間違いなしの作品。

本編を読み終わると番外編が用意されており、その番外編を読むと最初からもう一度読みたくなる。それほど魅力的な物語でした。

ドラマチックな演出や幻想的な文章。
一癖も二癖もある登場人物たちの掛け合い。
どれをとっても一級品の作品。

最後に作者様。
時には楽しく、時には切なく、そして温かい物語を紡いで下さり感謝致します。
清々しい読後感でした。ありがとうございました。
── レビュー対象作品: 『金の瞳の彼女に、恋をした』作者:武州青嵐


goodレビュワー No.2: 斉賀 朗数
奇抜な構図の破壊と再構築。そして、新たな破壊。
第十四話までを読んでのレビューとなります。

「ごめんなさい。逃げます。探さないでください」という手紙から始まる物語は、昨今主流になりつつあるファンタジー作品の様に奇をてらったものの様に思えるが(とは言っても、自分があまりファンタジーを読まないので流行について行けているかは不明だが)、話を読み進めていく内に、昔ながらの丁寧なファンタジー作品の上に成り立っているコメディー作品である事に気付く。

そんな始まりなので、東の魔王ことアレフィオスを追う物語になるのかと思ったが、そうではない。アレフィオスは序盤ですぐに姿を現わすのだ。
そして勇者のリュースとその御一行の中の一員に取り込まれる。

作品の構造がステレオタイプな「魔王という敵を倒す」ではなく、「魔王を助ける勇者」という構造になる様に思えるのだが、作品内の王族の動きや、リュースとその姉的存在エリシアの過去、魔王という存在の秘密など散りばめられた伏線によってはストーリーはまた構造を新たにする予感がしてならない。

物語のジャンルにあるコメディーすら最後はひっくり返してしまうのではないかと思える作品で、これからの展開にも目が離せない。

最後に、文体や描写が丁寧で大変読みやすいのが良い。
しかしながら、一つの話内での視点の変更などがある所が、昔気質なもしくはライトノベルに慣れてない層には違和感を覚える可能性がある様に思う。
── レビュー対象作品: 『へたれ魔王は倒せない!』作者:綾坂 キョウ


goodレビュワー No.3: 夷也荊
死者との婚姻、計略の果てに――、姫は真の愛を知る。
 死者との婚姻を「冥婚」という。その冥婚を果たした一人の姫の物語。姫が身を寄せていたその国には「落し物を拾ってはいけない」という言い伝えがあった。しかし、何でも良い方に捉える姫は、落し物を拾ってしまう。その落し物こそ冥婚の印しだった。しかも、死者との婚姻のはずが男性はあることをきっかけに生き返る。
 姫の夫は皇太子の一人だった。夫の許婚との確執も、夫の呪詛も、次々と明らかになって行き、読者を飽きさせない。さらに、夫の父親を狙う敵国や、その首謀者との争いに、主人公夫婦は巻き込まれていく。  果たして敵の正体は? 呪詛の犯人は? 首謀者は?
 天真爛漫な姫が、死にかけ夫と繰り広げる宮廷恋愛譚!
 歴史小説という事で敷居が高いと思いきや、全くそんなことを感じさせずに最後まで引っ張って行かれました。一気読み必至の作品です。是非、ご一読ください。
── レビュー対象作品: 『死にかけ皇子と冥婚の后』作者:ココナッツ


goodレビュワー No.4: 南 伽耶子
真っすぐということの愛しさと難しさ
性は個性に優先するものではない。そんな結論に達する前の段階を、手探りで歩いている二人の高校生と友人たちの物語。
私事になって恐縮だが、今思い出すと母校の文学部は不思議な空間で、性自認が世間一般とやらとずれていた学生や教員が、普通に過ごしていた。
日文専攻クラスで一番おしとやかでなよやかなのは、小柄でポニーテールにワンピースの似合う「○○君」と呼ばれる戸籍の性別男子。だが男子にも女子にも受け入れられ、あるがままに過ごしていた。だから性別というのは自認によるものが一番強く、戸籍は便宜上、と、ずっと思ってきた。

世間ではどうやら違うらしい、と思い知ったのは就職してからだ。

いくつものお面をかぶり分け、危ういところで高校生活を送っている朧君と、朧君を好きになったことで自分を必死に見つめることにもなる小春ちゃん。
小春ちゃんの動きを心の的確に表すユーモラスな言葉遣いは、単なる「アイドル(偶像)に過ぎなかった朧君の様々な面をとらえていく。
年上のお兄ちゃんと親友の恋、自分の中の潔癖さと、朧君の現実への理解不足。そしてなにより「自分の考えを伝えること、受け取ることの難しさ」が過不足なく描写されている。
特筆すべきは空の描写。朧君と小春ちゃんの変わりゆく心持を実にさわやかに映していく。作者の筆力の確かさである。

中でも感動的なのはメイクボックスを手にした朧君がメイクをするのが、自分ではなく小春ちゃんなことだ。その筆致。二人の間の息遣いと脆い緊張感は実にエロティックで、愛しい。
ここがあるからこそ、セーラー服を着たいと願う朧君の強さが際立つ。

インターネットの掲示板で「女装したい男子のための着付けとメイク募集」という書き込みを見て、旦那と一緒に出掛けたことを思い出した。そのとき嬉々としてブロウをされ、頬や爪、唇を彩られていた大勢の少年たちは、今どうしているだろうか。

男も女も、若い人も年齢と人生経験を経た人も、みんなに広く読んでほしい作品。
カクヨムという場が生んだ鮮やかな傑作です。
── レビュー対象作品: 『はんぶんこの、おぼろくん』作者:犬飼鯛音


goodレビュワー No.5: 狼煙
創作には無限の方法があることを教えてくれる作品
読む前の俺
あれ? ダークファンタジーなのに、『暴力描写』や『残酷描写』なし……? ダークファンタジーってベルセルクみたいなもののイメージだけど、それ無しでダークファンタジーなんて書けるの……?(カチカチ)

ある程度読み進めた俺
確かに嘘はついてない……嘘は! 戦闘シーンはあるけど! 内臓が出てくるとか、相手をいたぶりつくすとか……それはない! でもこれは……! その制約がある中で何でこんなむごく作れるんだ……! 詳しくは見てほしいけど、ダークファンタジーの名に偽りなし! 見事だ!

驚きました。
この作品、先にあげた通り『暴力描写』や『残酷描写』の指定がありません。では生ぬるい内容なのか、それには即NOと答えられるくらい、この作品はヘビー級のダークファンタジーで満ち溢れています。恐怖におののく姿、不気味な敵、ドライなまでの命のやり取り。創作には無限の方法があることを教えてくれる作品であると言えます。
── レビュー対象作品: 『ボクの纏う巫女装束《バトルドレス》』作者:へぼあざらし


goodレビュワー No.6: タカテン
相手への思いやりを持てなければ死ぬデスゲーム
なんとなく最近、他人への思いやりを持たない人が増えてきたような気がする。
そんなことをここ数年、感じていた。
僕は長年商売をやっているが、自分を神様だと信じ込んでいるお客は増える一方だし、街に出てもなんだかちょっとやれやれって感じの人が多くて困ってしまう。
みんなが少しずつでも他人への思いやりを持てるようになれば、今よりずっと生きやすい社会になるのに……そう思わずにはいられなかった。

だから今作のあらすじを見た時、強く惹かれた。
思いやりを持てないと死んでしまうとは物騒だが、「相手を思いやる気持ち」という、今の競争社会では忘れられがちな人間性で生死を決めるのは、実に小説らしくて魅力的な設定である。
なによりそうして生まれ変わった世界を見てみたいと思った。

そして僕は今作をのめりこむようにして読んだ。
サイコゲームによって作られた思いやり社会、同時に生まれた矛盾と不安。やがて思いやりとは逆の感情に支配されていく世界に、「思いやり」というのは強いられるとむしろ毒薬になるものだと知った。
それはサイコゲームのような過激なシステムのせいだけではない。
きっと「思いやり」は他人に強制したり、そのように仕向けたり、教育する類のものではなく、まずはひとりひとり自分自身がそれを意識する事でしか始められないからだろう。

今作をカフェで読み終えた後、外に出ると自転車置き場が満車になっていて、ひとりの女性が自転車から降りて困っていた。
「あ、今出ますからちょっと待ってて」
慌てて自分の自転車を出してスペースを空けると、女の人は笑顔を浮かべて「ありがとうございます」とお礼を言った。
それだけでほんの少し世界が良くなった気がした。
多分、そういうものなんだろう。
── レビュー対象作品: 『サイコゲーム』作者:丸山弌


goodレビュワー No.7: 高梨 千加
平安時代と聞いて尻込みする人にも読んでもらいたい
冒頭、清少納言をオバさん呼ばわりする主人公に、「あ、きっとこの小説は好きだ」と思いました。
平安らしくとか、そんなイメージに捉われない主人公。読んでいて、楽しいに決まってるじゃないですか。
それでいて平安時代の描写はリアリティを感じます。
でも、上述したような主人公ですから、時代小説として堅苦しくもなく、とても読みやすかったです。
時代小説が苦手な方にもオススメです。
大人しい主人公ではないので、時にはドキドキハラハラさせられながらも、一気に読んでしまいますよ。
── レビュー対象作品: 『都の空の朧月』作者:帆乃風 総持


goodレビュワー No.8: すずひめ
美丈夫(イケメン)たちの熱き戦い! 血潮のたぎる中国史スペクタクル
様々な氏族が群雄割拠する宋の時代。
地形や戦略にまつわることや、各氏族の勢力や文化など、丁寧に分かりやすく書かれており、歴史に詳しくなくてもすんなりと物語に入っていくことができます。

何より素晴らしいのは、「人間」の姿が活き活きと描かれていること。

主人公の趙萬年は18歳のイケメン。
彼は兄と慕う趙淳(精悍な顔立ちの熱い男)や趙淏(シュッとした感じの美形)と共に、宋国の領土を守る戦いに参加しています。
まだまだ若さが目立つ趙萬年は、割といつも突っ走り気味。主人公らしい熱い心と行動力を持ち合わせた人物です。
一方で、弟分の王才に体格で劣っていることをちょっと引け目に感じていたり(これ重要な尊みポイント)、仲間になった旅翠(すごい美人でめちゃ強い)が気になるのに素直になれなかったり、それまで敵対していた茶族と共闘することをうまく割り切れずに葛藤したりと、ちょっと可愛らしいところもある男子なのです。
今後の戦いで彼がどのように成長し、どんな活躍を見せるのかが、この作品の一つの注目ポイントではないでしょうか。

また、宋国と対立する金国側のお話も同時進行で語られており、それぞれの思惑や人間関係を両側から見られるのも非常に興味深いです。
金国側も、実直な人柄の道僧(イケメン)やその幼馴染の多保真と徳寿の姉弟(すごい美形)、そして老獪かつラスボスみ溢れる撒速(たぶん渋い感じのおじさま)など、魅力的な登場人物がいっぱいで要注目です。

なお、私の推しは趙淳です。

これから徐々に緊迫した戦況へ向かっていくと思われる本作。固唾を呑んで見守りたいと思います。
── レビュー対象作品: 『守城のタクティクス』作者:氷月あや


goodレビュワー No.9: aoiaoi
美貌の女子大生が底抜けのパワーで奮闘する、痛快なお仕事コメディ!!
誰もが振り返る美貌を持つ元気な女子大生、むつみ。彼女がちょっとした勘違いで応募してしまったアルバイト先は、なんともショボい清掃会社で……!?そんなアルバイト先で、彼女がヘタレな社長やなんとも風変わりな同僚と協力しつつ(?)ハードな仕事に立ち向かう、痛快なお仕事コメディです。

登場するキャラクターたちは、みんな強烈な個性の持ち主。思考回路がそれぞれあっちこっちを向いていて、どうにもまとまりそうには思えない。それが、苦しい会社の経営という一つの目標に取り組むことでデコボコながらも動き出していく。それぞれの持ち味をうまく生かしながら努力を重ねる彼らの姿は、この上なくコミカルでありながら、諦めずに前進する大切さをじんわりと教えてくれます。
そして、泥まみれの努力の末に、彼らが手にするものは——?

個性がぶつかり合う面白さと暖かさ。常に心に活気を絶やさず進むこと。そんなジワリと暖かなものが底抜けに明るく濃縮された、ホカホカと体の芯が温まる素敵な物語です。
── レビュー対象作品: 『絶対に、その家だけはやめておけ!』作者:高尾つばき


goodレビュワー No.10: 純太
リミットは24時間。大学生プロファイラーたちの戦い!
富永蒼、黒崎健、真壁朱里は同じ大学の心理学部、法律学部、理工学部に属する3人組。その蒼の恋人である鳴海橙花が「新種の毒物」による連続殺人事件に巻き込まれてしまう。被害者たちは発症から24時間以内に死亡している。解毒の方法は犯人と接触しなければ分からない。「待ってろ、橙花――俺が必ず、お前を助ける」。蒼たちはそれぞれの専門知識を生かし、かすかな手がかりから犯人のプロファイリングに挑んでいく。

24時間というタイムリミットがあるクライム・サスペンスです。

最後まで読んで、犯人のトリック、動機、アリバイ工作、それを読み解いていく大学生プロファイラーたちのロジックにとても納得感がありました。また、最後まで緊張感を途切れさせない工夫がなされています。

登場人物たちの関係も魅力的です。真っ直ぐな性格で、恋人の命がかかっているがゆえに崩れそうになる蒼、お調子者ながらも土壇場に強い性格で、蒼を支える健。その2人をハッカーとしての能力も持つ朱里がサポートする。さらに、登場機会は少ないですが、印象深いキャラクターが登場して作品に変化を与えています。

3人は犯人に辿り着き、橙花の命を救うことができるのか……!?

ミステリーを読み慣れない人にもおすすめできる作品です。
── レビュー対象作品: 『殺人珈琲店の怪~大学生プロファイラー・蒼の事件簿~』作者:貴堂水樹

(※レビュー本文を対象としたピックアップ企画のため、同じ作品に対する複数のレビューが掲載される場合があります)


今回選出されたレビュワーのみなさまには、これからも素晴らしい作品の発掘と紹介を期待しています!

カクヨムgoodレビュワー大発掘会は、コンテスト終了直前の1月25日(木)投稿分まで受け付けています。気になる作品を見つけた方は、ぜひその感想を言葉にして伝えてみてください。第3回カクヨムWeb小説コンテストは、1月31日(水)まで開催中です。