第19話

「はじめは反日から来るものかと思ったけどどうも違う気がする。それにアイドルばかりが標的だったから嫉妬や逆恨みかとも思った。でも、ミスティが狙われ始めたら他のアイドル達が狙われなくなった。」


「日本人襲撃ではないな。犠牲者には日本人以外も居るしな。」


「けどミスティが本命だとして抹殺するつもりなら小細工もいらないだろ?わざわざ一人づつ襲ってるのも可笑しいし。」


「何より致命傷を与える行為がひとつもないのも気になる。」


「そうなんだ。子供だましみたいな?ただ1度、ブロックが落ちてきたときは危なかったけどね。でもあれは…。」


「マネージャーを狙っていた。」


「そう。だと思う。」


二人の違和感は一致していた。

明らかにおかしかった。

空港ではまわりのファンが、

ブロックはマネージャーを、


薬混入事件も全員の水に入っていたからだ。しかもジフンとソングンが飲んでしまい病院ヘ運ばれたが検査の結果、薬の正体は摧淫薬だった。幸い少量だったのと中毒性の無いものとのことで事なきを得た。


スタジオ入りの時もライトではなくドユンが狙われた。


「日本人を狙うと見せかけて別の目的があるならしっくり来るんだよね。なんだか試してるような…。」


「だがなんのお試しだ?致命傷でないなら殺す気はないだろ。会社への恨みか?グループ解散とか?」


ライトはうつむきながら頭を振った。


突然頭の中に声が入ってきた。


"ハロー、アゲハ、聞いてたよ!"


からすが割り込んできた。


"ね、整理していい?日本人がターゲットではない。しかも今までの被害者は事務所が違うから事務所絡みでもない…。命が狙いでもない。共通点はアイドルってことだけだよね。"


ウジンはため息を着きコーヒーを勝手に入れ始めた。


ライトはウジン(サジャ)の行動を見ながらクスッと笑った。


「誘拐」


ウジンはコーヒーを吹き出しそうになる。

カラスは大きな声でハッ~?と叫んでいる。


「共通点はもうひとつ、男なんだよね。それが本当に分からない。でも、練習している気がしてる。」


「誘拐の練習…。他の事件は目眩まし…。」


真剣な眼差しでライトをみた。


ライトは返すように視線をウジンに向けた。


「日本でも何か起こる気がする。」


ライトは窓をみた。


そこにはネオンとガラスに映ったライトの姿。


ウジンはコーヒーをおき、ライトを自分の方に向かせた。


「任務なのは分かっている。だが、無理はするな。俺もついている。」


そう言うとライトの顎を少し持ち上げ、頬に指を滑らせた。


ライトは不思議そうにウジンを見ていたがほんの少し微笑み照れ臭そうに目を伏せた。


「分かってる。いざッて時は助けてくれるんだろ。」

そう言ってウジンの胸に手を当てた。

ウジンはクスッと笑い部屋を出た。





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