第15話

警察官はばつが悪そうに頭をかきむしりながらハイハイと言って署内に戻っていく。


回りの警察官達が近づいてきてはテヘの肩に2回手を置いたり、ジェイに声をかけている。


一人の警察官がライトの横に立ち優しく話しかけた。


*「あいつも悪気はないんだ。ここのところ署内に缶詰でね。悪かった。」


警察官が今回の事件でせけんから叩かれているのは知っている。

だから今は仕方がないのかもしれない。と思うしかない。


*「よろしくお願いします」


ライトは丁寧に頭を下げた。


それに続くように、テヘとジェイもお辞儀する。


反応は様々だ。


大丈夫だと声をかけてくれる人。

一別だけして何も言わない人。

笑顔を見せてくれる人。


*「帰ろう。」

マネージャーのヒョヌの声掛けで車に乗った。


ライトは無言のまま窓の外を見ていた。

複雑な気持ちだった。

ジェイの言葉もテヘの言葉も脳裏から離れない。

本物のライトなら素直に喜ぶのだろう。でも偽者の自分には…。

それでも

嬉しかった。

でも…

悲しく苦しい…。


ー罪悪感ー


思わず苦笑いが出る。

今さらだろ。と自分に言い聞かせ直ぐに表情を戻した。


テヘはそんなライトをずっと横から見ていた。


ー違和感ー


テヘは葛藤していた。

ライトとは苦楽をともに過ごしてきた親友のような存在だ。

目の前の友は紛れもなくライトだった。

でも、なぜか分からないが感じる違和感に戸惑っている自分がいる。

その気持ちに今は蓋をする。

そしてライトの手をしっかりと握った。


ジェイは怒りが収まらず、腕と足を組んで一言もしゃべらない。


ー憤慨ー


ジェイはライトに怒っていた。いつも自分が悪くないのに引いてしまう。我慢している。

それがライトの優しさなのだろう。

分かっていても言い返さないライトがもどかしくて仕方ない。


それぞれの思いを胸に帰路についた。


その姿をバックミラー越しにウジンが見つめていた。少し悲しげに、だが気づくものはいない。


いつも通り物静かな夜の街だった。

先程の恐怖のカーチェイスが嘘のように静まり返っている。

何事もなかったかのように彼らをのせた車が走り去る。


その姿を後ろから怪しく見つめる陰か居ることに誰も気づいていない。

獲物を見つめるその目は怪しく光ながら闇夜に消えていった。










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