第14話

* 「めっちゃ怖かった。」


ジェイが独り言のように呟くと、テヘがライトの手を強く握りながら、


*「死ぬかと思った…。」


話が終わったのかヒョヌとテソンがこちらに歩いてくるのが見えた。


テヘは二人に話を聞こうと車から降りて驚いた。


*「うわっ!ボッコボコ…。」


その言葉に反応して残りの二人も車を降りた。

今になってテヘは自分が震えているのに気づいてごまかすように拳を作った。

ヒョヌが三人の荷物を車からだし、自分の乗ってきた車に移している。


*「大丈夫か。今からあっちの車に乗り換える。家までは警察も警護に当たってくれるそうだ。」


*「ハイ。」

3人はヒョヌの車に移動しようとしたそのとき。


*「しかし、言い迷惑だよな。お前達も。日本人がいるせいで巻き込まれて怖い思いまでさせられて!」


これ見よがしに大きな声で聞こえるように一人の警察官が言った。


*「何て言ったの?」


ジェイが車に乗ろうとした足を止めて声のした方へ振り向く。


ジェイが珍しく怒った口調で警察官に近寄っていく。


*「ね。今何て言ったの?」


ライトがあわててジェイの肩に手を置いて引き留めた。


*「やめろよ。僕ならいいから。」


*「良くないよ。ねぇ、何て言った。日本人のせい?巻きぞい?何言ってるの?誰が狙われたかなんて解んないじゃん!」


*「ジェイ、やめろよ。僕は大丈夫だから。」


警察官に少しずつ近寄っていくジェイをライトはなんとか止めようとするが話も歩みも一向に止める気配がない。


*「大丈夫じゃない。!」


後ろからテヘが声を荒げた。


*「確かに今ニュースで日本人が狙われてるって聞きます。でも、ライトは日本人である前に僕たちの仲間です!家族です!その大事な人を傷つけるのなら例え警察のかたでも僕は絶対に許さない!」


そう言ってテヘとジェイはライトの前に立ちはだかった。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る