第34話

ライトの腰にあるタトゥの少し上に弾痕が見える。そこに女性は鞄から出した液体の容器の蓋を開けた。


「これ噛んで。」


女性の声に反応するがライトの口からは声が漏れる。


「ジフンの…先に…おねが」


「黙りなさい!」


と叱られ言われた通り虚ろになりながらも口を開けると布を咥えさせられた。


「皆、彼を押さえて、早く!」


男性スタッフとメンバーの二人が女性の指示にしたがってライトの手足を押さえると液体を傷口にかけた。


「ん~!!ッ!」


声にならない声を上げるライトをメンバー達は見ていられないのか顔をしかめたり背けていた。


女性は常にライトに声をかけた。


「弾は貫通してる。きつく縛るから。」

そう言って包帯を巻き傷口を押さえた


(温かい。痛みが和らいでいく…。)


ライトは口から布と意識を落とした。


『ライト!!』


メンバーが焦ってライトを呼んだが反応はない。


「大丈夫。気を失ってるだけよ。まだ血が止まってないから押さえておいて。」


女性の言葉に皆はホッと息を吐いた。


そして、ドユンが新しいタオルをスタッフから受け取りライトの脇腹を押さえた。


「救急車が来るまでは押さえておいて。」


ジフンの手当てをしながらドユンに伝えるとドユンはうなずき日本語で答えてくれた。


「解りました。」


ジフンの手当てが終わると女性は他に怪我人がいないか見てくるといってその場を去って行った。






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