第35話 共鳴
サジャは観客席の警備に着いていた。
二階席の後ろからステージ全体を見渡せる所だ。
日本支部の仲間とは常に交信してるが今のところ何もない。コンサートは盛り上がりを見せていたが突然ライトがメンバーを突飛ばした。
[狙撃有り!]
ボディーガードのイヤホンから入ってくる。
サジャはすぐにカラスに伝え能力の千里眼を使いサーチを始めた。だがかなりの広さだそう簡単にはいかない。
メンバーの叫び声を皮切りに、観客席からの悲鳴、メンバーの逃げる姿、観客達の逃げ惑う様子でうまく見付けられないでいた。
サジャは集中しあらゆる場所をサーチした。
一人の男が目につく。
黒のロングコートにサングラス、大きめのバッグに革靴。
この場所ではやけに浮いている。
サジャはすぐにその男を追った。追いかけた。
だが、突然全身に力が入りふらつく。
頭の中に入ってくる。
あのときと同じだ。
共鳴…。
サジャは頭を押さえ壁にもたれ掛かった。
キーンッ!という耳鳴りのようで頭の中をなにかが暴れまわるような痛みと身体中を電気が走るような痺れに体が悲鳴を上げる。
(サジャ、アゲハが撃たれた!)
カラスの言葉にくそッと毒を吐き、体を無理やり動かす。
再度、千里眼でサーチする。
"見つけた!"
サジャは目標に向かって走り出した。
「逃すか!」
肉眼でとらえたその時猛烈な痛みが全身に流れた。
「くそッ。」
こめかみを押さえながら片ヒザを付く。
その間に男は人混みの中へと入っていく。
(誰でもいいからアゲハを気絶させろ!)
どこかにいるであろう仲間に伝える。
するとフッと軽くなった。
"アゲハ、すまない。"
再度、千里眼で追うが見失ってしまった。
「くそッ!」
壁を拳で叩きつけた。
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