第33話

数人のスタッフが手助けに入り膝から落ちるライトを支えながらゆっくりと床に寝かせた。


女性スタッフの一人が甲高い声で悲鳴を上げる。


その声に回りのスタッフも異常に気が付いた。


ライトの白い服の脇腹は既に真っ赤な血でそまっていた。呼吸も荒く顔色も悪い。


ジョハンが服を脱いでライトの脇腹を押さえている。ドユンとソングンがスタッフに救急車やら警察を呼ぶように話している。


ライトはジョハンの腕をつかみ息切れ切れに聞いた。


「ジフンは?」


「大丈夫。人の心配してる場合じゃない。ライトの方がヒドイ。」


そう答えながらジョハンがジフンを見た。


ジョハンの目線の先に壁にもたれ掛かって座っているジフンを見つけると少し微笑み安堵した。


「よかった。」


「良くない。」


シオンが初めて怒った様な口調で諌める。

シオンは近づくと自分のひざにライトの頭をおいてソングンはライトの手を握りしめた。


"今、見つけた!サジャが追っている。"

頭の中にカラスの声が響くが意識が朦朧としてきたため返答の言葉が浮かばない。


"アゲハ?聞いてる?…えっ?…はっ?

ウソ!撃たれたの?!えっ?…アッ!ツバメが行く。アゲハ!"


誰かがアゲハの状況を伝えたのかカラスが焦って話す。その言葉すらアゲハは虚ろに聞いた。


「ちょっと、退いて。応急措置をするから!」


スタッフの一人だろうか、女性が割って入ってくる。


「怪我見せて?」


そういうとジョハンの服を除けた。

血は止まらず出続けているのを確認すると鞄からハサミを取り出し衣装を切り裂いた。






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