第20話

<*韓国語>


部屋を出るとテソンが近づく。


*「遅かったな。どうした?」


*「少し参っているようで愚痴を聞いていたので。」


するとテソンがライトの部屋のドアをじっと見つめ改めてウジンに確認した。


*「大丈夫なのか?」


*「あぁ。はい、多分。」


濁す言葉に何かを感じたのかウジンの肩に手を置き二度ほど軽く叩いた。


*「何かあったら言えよ。」


*「えぇ。…少し風に当たって来ます。」


そう言ってホテルの外に出た。

ホテルの外を見回りがてら一週し、道路を挟んだ反対側にある自販機でコーヒーを買い飲みながらゆっくり戻った。

するとホテルの外にも関わらず目の前にテヘが立っている。

早足で近づき強めの口調で問いただす。


*「一人か?何をしている?」


*「聞きたいことがあります。」


今にも殴りかかりそうなほどの真剣な眼差しで話しかけてくるが気にならなかった。

*「もう一度聞く。1何をしている。戻るぞ。」


*「ライトの部屋で長い間何を話していたんですか?ライトの事で何か…」


*「質問責めだな。こっちの質問には答えないのに。」


*「答えてください。」


* 「君に答える気はない。そんなに知りたければ彼に直接聞いてこい。」


*「僕はあなたに…」


話を遮るかのようにウジンはテヘの腕を掴み無理やり引っ張りホテルへと歩き出した。


*「放せよ!答えを聞くまで戻らない!あんたいったいライトの…」


ウジンの頭の中にからすの言葉が流れ込んだ。


"後ろ!"


その言葉に反応して振り返ると一台の車がヘッドライトをハイビームにした。


*「走れ!」


ウジンの声と後ろから車がアクセルを吹かしながらタイヤが空回りする音が重なる。


ウジンはテヘの腕を掴み走り出した。


テヘは引っ張られた拍子に前のめりになりながら走る。と同時に振り返ると車が猛スピードでこちらに向かってくるのが見えた。


(ホテルまでもう少し、中にさえ入れば!)


*「なんなんだよ!あれ!」


*「いいから走れ!!」


すぐそこまで近づく車に意識を向けながらも全速力でテヘを引っ張る。


ホテルの入口は直ぐそこ。


その場所からテヘを探しているであろうジフが出てきた。

ジフはこっちを見るなり驚き大きな声を挙げながら走ってくる。


"危ない!"


からすの声と供にテヘを自分に引き寄せ、道路側に転げながら避ける。


間一髪、


だが、車は急ブレーキをかけ止まり二人めがけてバックしてくる。


テヘが思わず目を閉じた。


(ダメだ!)



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