第28話
ホテルの前でテヘが襲われてから、
この数日間、何も起こっていない。
気持ち悪いほどに何もない。それが逆に緊張感を押し上げていた。ウジンは日本支部の仲間と常に交信していた。がその仲間からも有力な情報がなかった。
今までの経験からしてこの静寂は嵐の予兆でしかない。
そう思いながらガードを固めていたウジンにテソンが話しかけてきた。
*「少し休んでもいいぞ。気を張詰めすぎるなよ。」
ハイとだけ答えたとき視線を感じふとその先を見るとライトと目があった。
ライトが慌てて顔を反らしたのを見て自然と笑みがこぼれる。
"可愛いやつ"
ライト、いや、アゲハと初めての会ったのはある任務の帰りだった。
中東に任務で出向いた。仕事が終わり、帰路に着くはずだったが突然、頭の中で激しい痛みに襲われた。
事もあろうか叫び声までが頭の中で暴れていた。
パニック。
何が起こっているか分からなかった。
仲間のコンヤイが共鳴していることに気付きアゲハを見つけた。
本当ならば他チームに関わることはしない。だが、このときは本能的に助けなければと思った。
共鳴はますます激しくなっていた。自分のチームを使いドバイの仲間達にも協力してもらった。
彼らはあまり協力的ではないはずだったがアゲハの共鳴は近くに留まらず彼らにも影響を及ぼしていた。
誰もがこの共鳴を止めるため動いた。
当然、上もその能力に興味を持ったことは言うまでもない。
自分の能力である千里眼で居場所をみつけ近くに飛んだ。
"頭が割れそうだ!"
共鳴を止めないとおかしくなりそうだった。
サジャの見た映像は、アゲハが大富豪の地下牢に鎖で繋がれている姿。
何人かの男達に囲まれていて鎖にぶら下がるかのように項垂れていた。
一人の男が何か言いながら手に持っている鞭を振り上げた。
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