第4話 クリエイター達
次もネット出身のクリエイター。ピンクのインナーカラーが目立つ小柄な女性。
「ふらみんです。フラミンゴが好きでそう名乗ってます。二十一歳で、インフルエンサーデザイナーやってます」
明るく堂々とした名乗りに完璧な笑顔。トレードマークのフラミンゴっぽい色が絶対入っている服やメイクも似合っている。
ふらみんさんはさすが日頃から目立つ事に慣れているからか、周囲のスタッフの反応も良かった。
なにしろ彼女はインフルエンサー。元ショップ店員で、紹介したものやコラボなど関わったものは絶対売れるという。芸術家というにはちょっと違うかもしれないけれど、それでもこの番組企画としては絶対呼びたい人物だろう。
「ふらみんさんは推せば必ずヒットするインフルエンサーで、数々のブランドとコラボしているそうですね」
「はい! 皆みたいに描いたりするのは得意ではないけれど、良いものを見抜くことには自信があります!」
さすが、自分をどう見せればいいかわかっている人の言葉だ。この場で最もメディア慣れしていると言ってもいいだろう。
次はツナギ姿の男性。足取りがとても軽い。
「赤城太陽です! 二十二歳! 大学留年したりしてる彫刻専攻です。あ、あとさっきの結城真白の従兄弟です! 結城と赤城で城っぽくてややこしいので太陽って呼んでください!」
もじゃっとした長いうねった前髪で目元はよく見えないけれど、はっきり大きく動く口元のせいで陽気な印象がある。小学生のような元気いっぱいの自己紹介。さっきの結城君とは従兄弟だというのにまるで真逆だ。
「赤城さんは元気ですね。大学の方は大丈夫ですか?」
「まぁ夏休みなんで。本当は旅に出たいところだけど、頼むから国内にいてくれと言われてここにいますー」
なんというか、太陽さんはとてもふらふらした人なのだろう。発言にまるで気を使ったかんじがない。ほっとくとどこに行くかわからないから、そして進級も危ういから、ここに来るよう言われたのだろう。彼は従兄弟の結城君とは違う意味で芸術家っぽい。
そして最後。一番年上の男性。泣きぼくろがやたら似合う大人の男性だ。
「日本画専攻の青柳涼です。年はこの中で一番年上の二十八歳。王崎先生の指導を受けた事があって、売れないけれど作品を売ってます。高校生達からしてみればおじさんだろうけど、よろしくね」
背の高いのに威圧感のない、ふんわりしたお兄さんだった。彼も穏やかな雰囲気の美形。この企画見た目で選んでいないか? いやでも今時売れなくても日本画だけで食べていくのはすごい才能だと思うけれども。
「青柳さんは数々の美人画を描く事で有名ですね。いつもタイプの違う美人にときめいています」
「はは、モデルがいいんですよ」
いや、やっぱり話題性で出してるな、これ。
青柳さんについては、事前にちょっとネットで調べただけで異性関係に問題を抱えていることがよくわかった。モデルとなってくれる女性と付き合っている、または付き合った女性をモデルにしているのか。だからタイプの違う美人画をいっぱい描いているということで、つまり女たらしだ。
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