第14話 新たな刺激
「真白はね、すごい奴だからもっと才能を伸ばそうと一族皆で勉強させすぎちゃったんだ。この子ならすごい絵が描けるって」
太陽さんは頭の葉っぱを取り図鑑と見比べる。何の木の葉っぱか調べながら私達に説明する。そうだ、従兄弟の太陽さんなら結城君をどう関わればいいか教えてくれる。
想像していた通り、結城君は絵しかなかった。美術の一族である周りにそう育てていたから、らしい。
「でもさ、そんなの俺達、真白をAIにしようとしていたもんだし、何の面白みもないよ。だから今親戚皆で色んなことさせてるとこ。Crystalもその一環で、俺はそのお目付け役みたいなかんじ」
一週間前にした会話がばちりと繋がった。
そして答えも出る。AIはどんどんすごくなるけど所詮人間の持つ知識を総合したものだ。それは無難なものならできるかもしれないけど、こちらが想像する以上のものはできない。面白みがないのだ。
人間の描く絵に面白みがあるとしたら、その人の知識から生まれるところが大きい。だから結城君の両親は是非Crystalに出ろと言ったのだろう。そういうふうに、一見絵とは関係なさそうなものを自分で選んで学習する必要がある。
だから何か新しい事をして、結城君に新たな刺激を与えないと。
「あ、じゃあ街に出て、買い物するとかはどうでしょう?」
また私が提案する。それにふらみんさんは立ち上がって頷いた。
「それなら私が担当する! 服とか選ぶなら専門だし。で、hikariちゃんが絵のこと教えてもらうとかの計画進めといてくれる?」
「わかりました。やっときます」
番組を理解している私達で企画を立てる。番組の企画を考えるのはスタッフだけど、交流方法に関してこちらで考えるのがリアリティーショーだ。
それが番組に使われるかわからない。でもどこかで使われるかもしれないし、企画次第でスタッフも協力してくれる。
太陽さんの口元はにんまり笑った。
「ふらみんちゃんとhikariちゃん、真白を助けてくれんだね。ありがと」
「いえいえ、私みたいな絵もろくに描かなかった人間、結構場違いなかんじするんで、こう、皆と番組を繋ぐっていうか。そういう存在でありたいのよ」
「私もです。この企画、多分一番活躍するのは結城君だと思うのに、今のままじゃもったいないですから」
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