2024/04/26(金)_ヴレア・ボール

 空いた時間にミラーからの課題に取り組む。(いかにも忙しそうな書きっぷりだが、今は空き時間の方が多い!)

 

 魔法陣の選定課題か…。

 

 雨季の討伐会〝トライ・ブルー〟で宣伝用に貸し出す魔法陣を選ぶ課題だ。魔法陣はワークツリーの戦闘用魔法陣、六種類の中から選ぶ。


【ヴレア・ボール_火球を放つ魔法】

【ウォータン・ボール_水球を放つ魔法】

【サンディア・ボール_雷球を放つ魔法】

【サンディア・ランス_雷槍を放つ魔法】

【アーズ・ランス_土槍を放つ魔法】

【ウィンディン・ナイフ_風刃を放つ魔法】

【ヴィルディイ_肉体強化の魔法】


 ちなみに何種類貸し出すかも自分で決めるそうだ。これはなかなか奥の深い課題である。貸し出しの種類が少なすぎるとアピールにならん。だが宣伝なので多過ぎるのも望ましくないよなあ。そういえばアキニレが「ユーザは魔法に詳しくない。魔法陣の候補が多いと、どれを使って良いか混乱するかもね~」とも言ってたし…。

 

 要するに何も決まっていなかった。一先ずリストにあった戦闘用魔法陣を実際に見てみよう。アセロラと資料室を訪れる。魔法陣を保存した共用魔導書はすぐに見つかった。ミラーに一言声をかけて、屋上でテストする。


「ヴレア・ボール!」


 【ヴレア・ボール_火球を放つ魔法】である。

 手元に三つの火球が生成された。そして魔力を流した方向に火球が一つずつ打ち出される。うん、なかなか悪くない。

 一通りの魔法を試し打ちした。

 ワークツリー製品の魔法は全て初心者向けに改良されているようだ。

 例えば【ヴレア・ボール_火球を放つ魔法】である。これは火属性の魔法使いが最初に習得する攻撃魔法である。私も一応出来る。(火球の形は綺麗じゃないし、コントロールもいまいちだが…)私はこの魔法があまり好きではない。

 

 何故ならシンプルに熱いからだ!

 たまに火の粉が跳ねるし…!

 

 料理する際、私は揚げ物どころか、炒め物の油跳ねにもビビる女だ。私だってフライパンの油跳ねが、実際そこまで熱くないのは分かってる。

 

 だが〝いつ跳ねるか分からない感じ〟が本当に嫌。

 

 不意打ちはずるいのだ。フライパンの上でバチバチ音がする度に「や、野菜の分際で、ビビらせやがってェ…」と三下盗賊団のようなセリフを吐いてしまう。だから私は絶対に長袖で料理する。油は少なめが安心安全である。

 そんな私だから、魔法で火球を作っても、あまり手元に置いておきたくない。いつ火の粉が跳ねるのかが気になる。よって魔力のコントロールどころではないっ。

 

 しかしワークツリーで魔法陣として販売されている【ヴレア・ボール_火球を放つ魔法】は別だ。そこまで熱くないし、火が跳ねることも少ない。恐らく風魔法や水魔法を組み合わせ、火の流れや火力をコントロールしている。呪文を複雑に組める事も魔法陣のメリットだ。ただしデメリットもある。普通に【ヴレア・ボール_火球を放つ魔法】を使う時と比べて、三倍近い魔力を消費した感覚がある…。やはり護身用なのだろう。

 一通りの魔法をテストしてみた。どれも初心者が扱いやすい魔法である事を再認識する事が出来たが…特に魔法を選定する手掛かりにはならなかった。こうなると別の角度から検証する必要がありそうだ。



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