2024/05/05(日)_猫グッズ
午前十一時、繁華街の雑貨屋。
母の日の贈り物をとして、早速猫グッズを買った。猫の栞とマグカップ。母は読書も好きだから万全の布陣である。大まかに当たりが付くとこんなに早く買い終わるとは。昼前には一通りの買い物が済んでしまった。私はリュックにマグカップと栞をしまい込んだ。このリュックは実家から持ってきたものだ。実はこれにも猫の刺?が入っている。母が付けてくれたやつだ。ずっと気が付かなかったけど、本当に猫が好きなんだなあ。
昼は喫茶でアップルパイと紅茶を頼んだ。日記が一ヶ月続いたご褒美も兼ねている。日記は毎日書けたとは言い難い…が、継続することに意味がある!そう思いたい。自家製のアップルパイはアツアツで美味しかった。林檎はシャキシャキだけど瑞々しくて、バターの味もよく染みていた。小さい頃、家族で焼きリンゴをした時のことを思い出した。いい一日だった。
寮に戻るとアセロラと鉢合わせた。彼女は実家に顔を出した帰りである。
「お母さんへの贈り物決まった?」とアセロラ。
「うん、実はうちの母は猫が好きみたいだから、猫グッズにしたよ」
そう言って私は自分のリュックをアセロラに見せた。アセロラが猫の刺?を覗き込む。彼女は暫くの間、刺繍とにらめっこしていた。どうしたのだろうか? アセロラは私の方に視線を戻すと、次のように告げた。
「これ、フェネックじゃない?」
!?
フェネック!?
私は慌ててカバンを引き寄せた。言われてみれば…猫にしては耳が尖っている、かも。まさかウチにあったのも全部フェネック? てかフェネックって何? 何となく知ってるけど、いまいちどんな奴か思い出せんのだが。でも言われてみれば、うちの猫グッズ?たちは皆耳が尖っていたような気がしてきた。開いた口が塞がらない…。アセロラが乾いた笑い声を出した。私もそれに合わせて笑った。
あははははははは…
「フェネックが好きって事はそれに似た猫も好きな可能性高いと思うよ」とアセロラ。
「そ、そうだよね!」
流石アセロラはどんな時でも冴えている。彼女が言うのだ、そうに違いない。私はこれらの猫グッズを母に送りつけることに決めた。きっと母は「何故猫?」と思うだろう。私もである。今となってはこれらの猫要素には何の意味もない。だが送るのだ。母の喜んだ顔が目に浮かぶようであった。
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