2024/04/19(金)_魔法陣テスト
本日は肥料を混ぜる魔法陣のテストを行う日だ。
先日私たちが更新したところと、アキニレが更新したところの内容を合体させ完成版の魔法陣が出来上がっていた。
公園で花壇の端に肥料を撒く。この肥料が土と均等に混ざれば成功だ。そして私たちの担当した改修は〝魔法の効果範囲を五メートルから七メートルに変更する事〟だ。今日のテストで効果範囲が七メートルになっていれば課題は達成である。今回はアセロラだけでなく、アキニレも一緒だ。
「ブート(起動)」
いよいよ魔法を発動させる。私が携わった魔法陣である。私はたっぷりと間をおいた。そして世界を救う大魔導士のように強くしなやかに魔法の発動を宣言した。
「…ミクミーヌア!」
あれ、発動しない…。
「リン、全然違うページ開いてるよ!」とアセロラ。
ハッとした。魔導書のページを間違えている。何をやってるんだ私は!(アキニレにはウケた)私は慌てて【ミクミーヌア】を保存したページを開き直す。そして魔法陣を撫でた。
「ブート(起動)」
今度こそオレンジ色の魔法陣が空中に浮かび上がった。今度こそ、大丈夫。
「すみません、もう一度行きます! ミクミーヌァ!!」
余韻もひったくれもないが、魔法陣が輝きを増した。地面がふつふつと音を立て始める。明らかに五メートル先の肥料も振動を始めている。やった、成功だ!私はホッと胸をなでおろした。
「おめでとう」
拍手を送ってくれるアキニレ。さっきまで私のミスにツボっていたが、笑いの渦から解放されたようでなによりである。
「だがテストの工程はまだ完了じゃあないぞ?」
「へ?」
「製品として使えるかどうかをテストするわけだからね。〝ユーザが使いそうな操作パターンを再現する〟とか〝ユーザが問題ある使い方をした場合、ちゃんとエラーが出るか確認する〟みたいなテストも必要になってくる。あと、本来は〝魔法陣内部の各処理が正常に動いているか〟も機能毎にチェックもするかな」
「なるほど…」
「いつもは評価観点を洗い出して、テストの仕様書を作る。今回は俺が予め作ったものを持ってきたから、これに沿ってテストしよう」
製品を作るというのは、私が思う以上に手のかかるようだ。今回テストの手順は全てアキニレが用意してくれた。それに実際にテストを行うのにも二時間近くかかった。
緊張も相まって、テストが終わる頃にはクタクタに疲れていた。私もアセロラも何とか全てのテストを合格する事が出来た。「今回は省略したけど、本来は耐久テストもするからねー。案件によってはもっと時間かかるよ」との事。
「君らも立派なエンジニアだね~」とアキニレ。
まあ今回はアキニレが作った魔法陣を数か所変更しただけだし…。てか私はアセロラに手伝ってもらっている。そう考えると道のりは長いぜ。
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