2024/05/01(水)_フレンチフライ

 今日も今日とて魔法陣の選定課題に取り組む。昨日、アセロラをギャフンと言わせてやろう隊が発足。ランチュウ、アンプと協力して地元民(アセロラに、スワロー)を倒すのである。この課題の目的は討伐会で貸し出す魔法陣を決める事だ。その為に必要な情報を洗い出す。まず対象の魔法陣についてはもっと知る必要がある。それから討伐する魔物や、イントの土地の事も知る必要がありそうだ。

 私達は手分けして調査を行うことにした。私は魔物の生態調査を志願した。私は少し前に冒険者ギルドで魔物の生態を確認した事がある。その時のメモはきっと役に立つ! ランチュウはイントの地形調査。アンプは魔法陣についてさらに深く調査する事になった。調査内容と場所をミラー伝えれば、業務中に外出するのもオッケーらしい。

 私は早速、冒険者ギルドに顔を出した。二週間ぶりくらいだろうか。相変わらずイカツイおっさん達がたむろしている。

「そこの嬢ちゃん、見ない顔だな」

「うわ、ポーチだ」

 振り返ると後ろには見知った女がいた。シルバーのウルフカット、前に私からお金を巻き上げようとしたあのポーチである。モデル顔負けの身長で美人さんなのに。眠そうな声と気だるげな態度が色々と邪魔をしている。

「私の名前はポーチじゃない…」

「は?」

「前のアレは偽名…本名はフリュウポーチだ」


 ええ、何で偽名を…。


「呼びにくいからポーチって呼ぶよ」

「それで、何をしに来た? やはり壺が欲しくなったか?」

「壺はいらん。情報を売って欲しい」

 討伐会の対象のモンスターについてポーチから聞くことにした。癪だけど私の知ってる冒険者は彼女しかいない。

「そんな事か…なら百万レムで手を打とう」

「あ、それなら結構でーす」

 速攻で席を立つ。やはりコイツには頼れないか。

「冗談だ、フレンチフライでも奢ってくれれば、それでいい」

「え、それだけでいいの…?」

 どういう風の吹き回しだろうか。もっとゴリゴリにぼったくられると思ってた。逆に怖いんだが。後から訴えたりしない? これ大丈夫なやつ? フリュウポーチことポーチはソワソワと周囲を見渡す。そして私と目が合うとボソリと告げた。

「この間は沢山の嘘をついた…が、嘘をついてないところもあった…そういう事だ…」

 もしかして友達が欲しかったってところだろうか。

「ま、まあそう言う事なら…」

 私は冒険者ギルドのお姉さんにフレンチフライとジンジャーエール二杯を注文した。冒険者の御用達、山もりフレンチフライが運ばれてくる。私はモリモリとポテトを頬張る彼女を眺めていた。まあ、我儘だけど不器用なヤツなのかもしれない。この間の事は水に流してやるかあ…。私より身長も高いし、多分同い年だけど…妹がいたらこんな感じかもしれない。


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