2024/04/22(日)_デッサン
休日だが特に予定はなし。※暇人って言うな
久しぶりに絵を描いて過ごす。窓から見えるイント城の景色を木炭でデッサンした。といってもここから城までは一キロ近く離れている。なので城はかなり小さくて、山や雲をひたすら描画していた。門や柱の細かい装飾が好きだが、勿論ここからは見えない。今度は城の前でデッサンするのもいいかもしれない。(外で絵を描くのは割と恥ずかしい質だが)
気が付くと夕方になっていた。いつの間にか昼食は消しゴム用に買った食パンになっていた。
肩が、凝ったなあ。
大きく伸びをする。絵を遠くに置いて俯瞰してみた。雲の影が弱い。空にもっと黒を乗せてよかったような気がする。木炭を手に取り作業を再開する。
雲を描くのが苦手だ。自由な雲を眺めていると、「どう形を捉えればいいのか」分からなくなる。私の優柔不断なところがそうさせるのだろうか。逆に姉はそういうものを描くのが得意だった。「自由に何でもしていいよ」って言うのが好きな人だ。私はあまりにヒントがないと、どうしていいか分からなくなる時がある。
五年前、姉は画家になると言ってイントに旅立った。
私はその背を見つめる事しかできなかった。人は物事を相対的にしか見ることができない。ともすると姉には才能があった。私には無かったし、覚悟も度胸も足りなかった。今も彼女はイントにいる筈だ。でもまだ会いに行くだけの心の準備ができていない。もう少し先でいい。
夕飯はアセロラを部屋に招いた。彼女が「ポトフを作ったから」とおすそ分けに来てくれたのだ。突然部屋に入ってくるものだからびっくりした。(鍵をかけてなかった私も悪いが)慌てて日記をベッドの下に放り投げる。私は思春期の男子学生だろうか。
実家を思い出すわ。
アセロラは鍋ごとポトフを持ってきてくれた。鍋の蓋を開けると湯気と一緒に真っ赤なポトフが顔を出した。一日中絵を描いて、誰かが作ってくれた夕飯を食べる。
やはり実家である。
ポトフはトマトの味がよく出ている。本人は「しょっぱいかも…」とうなだれていたが、私はそうは思わなかった。
「しょっぱかったら、無視しないでよ?」
「そんな事ないって、豆にもよく味が染みてるよ」
後はなんかまあ、ずっとだべっていた。昼食に「デッサン用の食パンを食べた」と言ったら怒られた。
「炭が付いてるでしょう!」
「確かに多少の木炭は付いていたかもしれない。が、炭は毒ではない」と主張。
だが「それ以前の問題だから!」と一蹴された。私からすると、アセロラは少し綺麗好き過ぎるように見える。都会の人って皆こうだろうか。文化圏の違いだろうか。
穏やかな一日だった。そのうち油絵の具も買いたいなあ。
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