2024/05/03(金)_淡い人
本日も魔法陣の選定課題。雨季の討伐会〝トライ・ブルー〟で各団体に貸出す魔法陣を選ぶのだ。三人で情報を持ち寄った。各々がバサバサと机にメモを展開していく。私は魔物の生態と出現エリアについて調べた。そこそこ自信がある。フフフ、私の調査力を見るがいい。アンプは貸出魔法陣について、さらに調査を進めた。六種類の魔法陣は効果も燃費もバラバラなようだ。ランチュウは地図を頼りに、討伐会の対象エリアについて色々と調べていた。草原や丘など広いエリアが多いみたい。
ランチュウは私とアンプをジロリと睨んだ。
「これでは資料として使えない」
「え、どういう事?」
ランチュウは私のメモを指差した。
「これは冒険者ギルドの依頼リストから手に入れた情報だと言っただろ。それなら依頼リストを確認した時間帯や、依頼者の情報もメモしておくべきだ。情報の信頼度があまりに薄い」
ぐはぁっ。
ランチュウの調査には出典元が事細かに記載されていた。参考にした地図や魔法図鑑にも沢山の付箋が貼られている。私はそんなのしてない…。
「ご、ごめん…」
「情報の裏付けはちゃんとしてくれ」
「あ、はい…」
「一先ず今ある情報で進めるしかあるまい。出遅れてしまうからな」
な、なにさ。ねぎらいの一言くらいあってもいいのに。(ちなみに私は資料を手渡されたとき、「ありがとう」と言ったからな!」)
「ランチュウは…本当に負けず嫌いなんだね」
するとこの男は「フンッ」と鼻をならした。
「君のような淡い人間には分かるまい」
淡い人間!?
初めて言われるタイプの悪口?である。
「あ、淡い人って何?」
「会話の前に決まって『あっ』とか『えっと』と付ける人だ。芯の無さが身体にも現れている。僕の国ではそういう人を淡い人という」
思ったよりも解像度が高い攻撃である。くそ、何なんだこの男は。ていうか資料を用意して何故ここまで言われなきゃならんのだ。そりゃあ不備があった点は私が悪いのだが…。モヤモヤを抱えたまま、本日の業務は終わりとなった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます