29. 娘の同級生はアイツに似ている?
次の日のお昼休みの時間。
「
一人で黙々とお弁当を食べている
「はぁ? 何で梅干?」
「いや、俺苦手でさ」
「私も苦手なの。勘弁して」
ぷいっと
むむっ!
アイツも梅干が苦手だった。
似てる……。
まことに不服ではあるが、
「なんで
「えっ?」
「私が食べる!」
「もぐもぐ! うぇ! しょっぱい!」
「そりゃそんな勢いよく食べれば……」
「
「は、はぁ……?」
子供に言うようなことを娘に言われてなんだか複雑だ。
「自分の苦手なものを人にやろうとするのって人間的にどうなのよ」
「じゃあ
「蕎麦と団子」
「えっ……」
アイツと一緒だ……。
好きな食べ物も嫌いな食べ物も同じなんて……。
「なーーんで
「
「何で知ってるの!? そうだけど! そうだけど何か違う!」
きょ、今日の
感情を隠すことなく怒っている。
「ちょっとカップル同士で喧嘩やめてよね」
「カップルじゃ――」
……じゃないと言おうとしたが、
「ど、どうした
「……」
その日、
※※※
「おはよう
「そう……?」
いつもなら
いつもなら
気が気でなくなってしまい、いつもよりも早く登校してしまった!
「どうせ
「それすらも分からないんだけど……」
何故、
うぅ……思春期の娘に無視される親父ってこういう気持ちなのだろうか……。
「はっきりしないなぁ」
「分からないものは分からないから……」
「そういうときに、とりあえず謝っちゃえばいいっていうのは悪手だからやめたほうがいいわよ」
(とりあえず謝ればいいみたいな態度がムカつく!)
「……」
いつの日かのアイツの言葉とダブる。
「喧嘩するほどってやつかなぁ。大体、あなたたちベタベタし過ぎなのよ」
「それは
「自分も満更じゃないくせに」
「ぐぅうう……!」
そ、そりゃ最愛の娘がそういう態度取ってくるれるんだから嫌じゃないさ!
むしろ嬉しいくらいだ!
「そういう思わせぶりな態度、私の好きだった人に少し似てるわ~」
「……」
俺は今まで
ただ今の会話からだと、それが別の人物だということをなんとなく察することができる。
「
ついそんなことを聞いてしまっていた。
もう少し
「いきなり何?」
「なんとなく」
「ふーん?」
「向こうで幸せにやってるんじゃないかしら。じゃないとぶっ飛ばすわよって」
「向こう?」
「そう向こう」
そう言って、
他にも聞きたいことがあったが、
※※※
「おはよう」
いつもは余裕をもって登校する
「こ、
「……」
返事がない。
さすがにこんなあからさまに無視されるとお父さんショックなんだけど!
「
「うぅー」
「どうした具合悪いのか? それとも他に何かあったのか!?」
「
「えっ?」
「
「な、なんで!?」
「
「はぁあああああ!?」
この言葉に一番大きな反応をしたのが
「な、なんで私が
「女の勘!」
「そんなアテにならないものに頼って!」
「勘ったら勘! 二人とも波長があっているような気がする!」
「そ、そう見えるの?」
「はぁあああああああ!?」
めちゃくちゃ失礼だなこいつ!
年相応な男子高校生だったらショック受けるやつだからなそれ!
「じゃあ
「する」
「私のことが一番だって約束してくれるの?」
「する」
「えへへへ~」
こ、
「
「するから。大丈夫だから」
「好きにならないって言ってくれる?」
「もう何度言えばいいのよ……」
「心配なんだもん」
「私には好きな人がいるから大丈夫だって」
その言葉を聞いて、
「ちなみに
「天国。だから私は大丈夫だって」
「あっ……。ご、ごめん」
あっちゃー、
(天国……?)
このとき、脳裏にある言葉がよぎってしまった。
(おばあちゃんがよく言うんだ。他の人に起きたことは自分にも起きるかもしれないって)
(まさかな……)
俺はこの日から、ある大きな懸念を
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