43. どっちも幸せにしてあげる!
その後は色々あった。
オフクロが足を引きずりながら、
「君が本当に
「一応、そうみたいです」
「二人ともなんでもっと早く……」
兄さんはその場で泣き崩れてしまった……。
俺たちは自分が思っているよりもずっと色んな人に影響を与えていたらしい……。
普段通りにふるまうにはもう少し時間がかかると思うけど、きっとそれは時間が解決してくれると思う。
俺はこれから
――そして、それから半月ほどが経過した。
※※※
「
「う、うん」
一学期の終業式が終わり放課後になると、すぐに
「えへへへ、
「うん、俺も大好きだけど……」
変 わ っ て な い。
あれほどのことがあったのに
「……べたべたし過ぎじゃない?」
「
「私は恥ずかしいからできないの!」
言われている俺もかなり恥ずかしい。
クラスメイトたちは、俺たちのやり取りにもう慣れ始めていて、最近視線をあまり感じなくなった。
“あっ、また
なんて言葉が聞こえてくるくらいだ。
「じゃあ、
「なんでそうなるのよ!」
「子供の頃からライバルだって言ってたじゃんかー」
「何度言えば分かるのよ……。
「えへへへ、二度お得~」
「え?」
「
うぅ、娘にそんなこと言われると、涙腺にきてしまうものがあるなぁ……。
成長する方向が少し間違っているような気がするけどな!
「
「うん?」
「私、どっちも大好きだから!」
「
こんな
「どっちってどっちの話よ!」
あっ、
怒っているからこっちは可愛くないなぁ……。
「えへへへ! 二人ともだよっ!」
※※※
「はぁ……」
「なんだよ、ため息つくと幸せが逃げるぞ」
夜道を
「
「まだ言うのそれ」
「そりゃ言いたくもなるでしょう」
最近は、
俺たちはこうして二人で帰るのが、半分日課になっていた。
「私の
「振り出しに戻ってるぞ……」
「……俺も、お前も今の人生に目を向けないといけないだろう」
「え?」
「
優しい
「……じゃあ、今までの私の気持ちはどうなるのよ」
「今までの?」
「
「……」
「はぁ……」
「あ」
俺は
「どっちって選ばなくていいじゃん」
「どういうこと?」
「二回も人生やってるんだからどっちも選べばいいじゃん」
「欲深……」
「少し痩せたか?」
「違う体だもん」
「そっか……」
……
どっちの人生も精一杯生きよう。
ずっと、前世のことばかりを考えていたけど今を頑張っていきよう。
この子たちとの未来を真剣に考えよう。
俺は、胸にそのことを深く誓った。
※※※
ピンポーン
「
朝一で玄関の呼び鈴が鳴る。
玄関からは
「早くない?」
目を擦りながら、急いで玄関に向かう。
「えへへへ、待ちきれなくなっちゃって!」
「な、夏休みなんだから、もうちょっと寝かせてくれても」
「いいじゃん、少しくらい! あっ、私も一緒に寝ようか?」
「くんくん、
「に、匂いを判別できるの!?」
「あ、あんたたちは……」
開けっ放しの玄関から、また聞き慣れた声が聞こえてきた……。
「……お前も来るの早くない?」
「
「嘘だ!
「ぬ、抜け駆けって……」
「
「はぁああああ!?」
あ、頭が痛くなってきた。
こういう変なところで前向きなのは母親にそっくりだ。
……でも、今ある状況に感謝しないとな。
「
「好きだから仕方ないもんね~」
「だ、誰が隙だらけですって!」
こうして、また二人の親子喧嘩が見られるのだから。
家族とこうしてまた笑っていられるのだから。
ドタバタした日はまだまだ続きそうだけど、俺はとても幸せ者だ。
「えへへへ、お父さんの匂いがするぅ~」
「だから勝手に匂いを嗅ぐな!」
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