40. 琴乃の欲しかったもの
「えっ? 何?
「あなたは黙ってて!」
えぇえ!? 何故か怒られてしまった!
「俺!
「あなたはどの口で言ってるのよー!」
「痛い痛い痛い!」
なんなんだこいつは!?
別におかしなことは言ってないだろう!
「
「うん、でも
「もぉー! 誰よ! この子をこんな風に育てた人は!?」
「私です」
後ろにいるオフクロが
「あっ……! いえ! これは……その……」
嫁と姑に流れる微妙な空気。
なにやってんだあいつは。
「なぁ、今日はもういいだろう」
「あ、あなたって人は……! 事の重大さに気がついてないようで!」
「大袈裟すぎない?
「黙れー!」
「痛い痛い! 目が回る! さっきからなんなのお前!?」
「
「ごめん、全然分からない」
その様子だと
むぅ、悔しいな……。
こいつに分かって、俺が分からないなんて!
「仕方ないなぁ、
「うん、知りたい」
「それはね! それはね!」
「お父さんっ!」
「そっか、そっか」
嬉しいなぁ、大きくなった
「二人とももっと真面目に考えなさいーー!」
俺たちがそうしていると、
※※※
「そんなに怒らなくていいじゃん」
「ごめん、それはちょっと反省してる」
遅い時間になってしまったので、俺と
でも、きっと大丈夫。
これから俺たちはずっと一緒にいられるのだから。
「あーあー、荷物とか全部学校に置いてきちゃった」
「それ気にするところ? 昔からあなたは能天気なところあるよね」
「そ、それを言うならお前も相当だと思うけどな」
前世の妻とそんな話をしながら、夜道を歩く。
懐かしいな、こうしていると本当に昔に戻ったみたいだ。
俺の心はなんとも言えない充足感に満たされていた。
心のつっかえが取れたのかもしれない。
これから考えなきゃいけないことは沢山あるけど、俺は間違いなく世界で一番の幸せ者だ。
だって、もう会えないと思っていた最愛の二人に会えたのだから!
「俺、お前のこと見つけられて良かった。また三人で会えて本当に良かった」
「それは私もだけど……」
だが、何故か
歩きながら、コンっと地面に落ちている石ころを蹴っ飛ばしている。
「
「どうするって、これから二人で支えていけばいいじゃん」
「あなたねぇ……」
「分かる?
「うん」
「あーー! 分かってない顔をしてる!」
「いや、分かってるって……」
今の一言で、おおよその
「分かってるよ、
「そ、そうだけど……」
「ちゃんと言うよ。でも、今はただ再会を喜びたいんだ」
「あなた……」
「私、
「俺もだよ。成長した
「……私、異性として一番好きなのは今も昔もあなただけだよ。でも一番大切なのは――」
「分かってるよ。全部、言わなくても大丈夫だって。俺も一番大切なのは
「うん、そこがブレたらぶっ飛ばすからね」
今日、
俺たちは、これから父と母だと明かした上で、また
だから……。
このすれ違いから始まった関係に、決着をつけないといけないときがきていた。
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