41. このすれ違いに決着を!
運命の体育祭から一週間が経った。
あんなに劇的なことがあったのに、学校に登校するといつもの日常が流れていくから不思議なものだ。
俺たちは、自分の正体を最愛の娘に明かした。
――これでまた俺たちの関係性も変わっていくだろう。
変わることは怖いけど、俺たちならきっと乗り越えられると思う。
だって俺たちは家族なのだから!
「
お昼休みになると、いつも通り
まだ教室にいるのに、
(……)
全然変わってなくないか!?
「
「食べるぅ!」
「
「今までも普通に食ってただろうが!」
「分かってないわねぇ、自分が母親だと言うのとそうじゃないのとは全然違うでしょう」
「それは分かるけど……」
泣き真似がものすごくわざとくさい。
この大根役者め。
「まったく、折角の再会に水を差された気分だわ」
「このやり取りを一週間も連続でしていれば飽きるっつーの!」
「いいじゃん、私たちには空白期間があるんだから」
「悲しくなるからそれを言うのはやめろ」
前世の記憶が蘇る……。
前世の妻
子供の頃から、俺はこいつに振り回されてばっかりだ。
「
俺が父親だと分かっているはずなのだが、びっくりするくらい
「
「いいじゃん別に!」
変わらぬ妻、変わらぬ娘。
それが嬉しくもあるが、やはり変えないといけないこともあると思う。
「……
「え? 告白?」
「そうじゃない!」
今までは浮ついたぐいぐいだったが、今は地に足がついたぐいぐいになった気がする。
……。
いや、自分でも何を言ってるか分からないけどさ!
「いいから! いいから! 早く行こうよ!」
「うん……」
※※※
屋上の長いベンチに三人並んで腰を下ろす。
「
俺は、食べいたオフクロの弁当を一度下に置いた。
「ふぁい?」
俺の異様な空気を察してか、
「……」
「どうしたの
「しない」
「じゃあ、私にあーんする?」
「したいけどしない」
「じゃあどうしたいの?」
きょとんと
くっ……!
やっぱり
頑張れ俺……! 気を確かに持つんだ……!
俺は親バカかもしれないが、バカ親になりたいわけではない!
「
「うん。
「じゃあ、俺が何を言いたいかは分かるよね?」
「全然分かんない」
隣にいる
「
「うん、お父さん大好き!」
「
「このアホッ!」
ぎぃいいい
痛い痛い!
罵倒とともに
しまった! 大好きという言葉に気持ちが緩んでしまった。
「だ、だからさ……」
「うん」
うーん、この微妙に察しの悪い所は
……その
「
「ふーん」
即答された! 反応が薄い!
「
「良くない」
「へえ」
「でも
「そ、それは……」
「
(……)
ここでちゃんと言わないとダメような気がする。
俺が
俺たちがまた家族になるために、やっぱりこのすれ違いに決着をつけないとダメだと思った。
「俺が女性として愛しているのはお前のお母さんなんだ。俺、今も昔も
「……そっか」
ふと、
「で、でも、俺は!」
「……ちょっと、トイレに行ってくるね」
「わ、分かった……」
「あなた……」
「つらいけど、ちゃんと言わなきゃダメだから……」
仕方ない……。
仕方ないんだ。
俺はちゃんと言うべきことは言えたと思う。
――でも
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