20. 娘vs娘の友達
ゴールデンウィークが明けて、いつもの学校生活がスタートした。
「えー。それでは五月の中旬には中間テストがあるので皆さん気を抜かないように――」
担任のキタハラがホームルームの時間にそんなことを告げる。
そう! 学生の最大の敵、定期テストが間近に迫っていた!
高校生活二周目の俺は当然そんなの余裕……ではない!
高校の勉強って難しいんだよなぁ。
数学なんてさっぱりだ。
学校の勉強は社会に出るとあまり役に立たなくなるのを知っているので、尚更勉強に身が入らない。
だが――。
「
正直やりたくないし、気が進まない。
「分かった。一緒にやろう!」
しかし、娘が頑張ろうとしているものを、俺がサボるわけにはいかないのだ!
俺がお手本になれるよう、一生懸命に頑張らなければ……!
「じーーー」
そんな気合を自分に入れていたら、近くの席から熱い視線を感じる……。
「じーーー」
コハタコハルが なかまに なりたそうにこちらをみている!
「じゃあ行こう
しかし コトノは それをむしした!
余りにも無慈悲。
少しだけ我が娘に天然たらしの才能を感じてしまう。
「こ、
熱視線に負けて、俺は
どこかの民芸品にあんなのあったな。
「むー。何で
「ほ、ほら。
「今回のテストが初めてだよね。誰の頭が良いとかは分からなくない?」
た、確かに
この真偽は本人に聞いてみるしかない!
「
「ま、任せて! 昔は成績良かったんだから!」
今の話聞いてんだよ! 今の!
その歳で昔とか言ったら小学校とかの話になるだろ!
「じゃあ俺たちに勉強教えてくれない?」
「いいの!? 任せて!」
「むむむー」
一方、
※※※
校舎の二階にある図書館にやってきた。
三人でその図書館の中央テーブルに腰をおろした。
「
「わ、私の隣に来てくれるの!? ありがとう
何故か
しかも涙ぐんでいる。
あまりにも
「
「うん! 任せて!」
俺の質問に、
「じゃあここを教えてほしいんだけど……」
「そこ? そこはね!」
数学の教科書を取り出し、
「ちょっと待ってね。そこはね。うーんとね」
「……」
す、すぐさま不穏が空気が流れる。
「すぐにできるからもうちょっと待っててね」
「もうちょっと! もうちょっとで解けそうだから……!」
カキカキカキカキ
「あと少し! あと少しだから!」
「……」
ぜ、絶対にあかんやつだ。
なんだったんだこいつのさっきの自信は。
「なんで
痛いっ!
無理矢理、
「じゃ、じゃあ
今度は
「うん! そこはね。うーんとね、ちょっと待っててね!」
「……」
再び流れる不穏な空気……。
「も、もうちょっとで解けそうなんだけどなぁ……」
「……」
俺、知ってる。
これ二人ともダメなやつだわ。
「
「
(「あなた待っててね。今、
(「お母さんは邪魔しないでよ!
――あれ?
二人の張り合っている姿を見ていたら、ふとそんな昔の光景が脳裏をよぎってしまった。
そう言えば来月はもう父の日か……。
「もーー! 分かんない!
「ごめん
馬鹿が二人も揃いやがって!!
俺 も 分 か ら な い ん だ よ !
※※※
「
「な、なによ! いきなり呼び捨てにするわけ」
「もういいじゃん。馬鹿なんだから」
「ぐっ……」
俺の言葉に
「その
「む、昔はもうちょっとできたの! こんなの社会に出たら役に立たないんだから!」
お前、社会に出たことないだろう!?
ダサい。あまりにもダサすぎる。
小学校の頃に百点取ったのを、大人になってからずっと自慢しているようなものだ……。
「……」
「どうした
「多分、
「「ないない」」
「むぅ」
その様子を見て、
「――ほしい」
「ん?」
「ご褒美がほしい!」
「ご褒美?」
「今度のテストで私が
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