23. 前世の実家とゆかりの三人! 前編
「
「え?」
「な、何でもない! 私の聞き間違いだったかも」
人生最大のやらかしを前にして、
(どうする……! あれは勘違いだと言うしかない! でも――)
それを言ってしまうと、必ず
今までつらい思いをしてきた
(どうすれば、どうすればいい?)
亡き妻にそんな問いかけをするが、当然答えが返ってくるわけがない。
こんなところをあいつに見られたらお説教どころではないはずだ!
「さっきも言ったけど、そんなに悩まないで付き合っちゃえばいいのよ! 悔しいけど私があなたに色々教えてあげるから!」
う、うぜぇ……!
亡き妻に問いかけたはずなのに、
「
「前に
「むー」
「おやおや、みんなで来てたのかい」
オフクロが登場した。
ニマニマと嫌な笑みをこちらに浮かべている。
「じゃあみんなに入ってもらいなさい。お菓子でも食べていってね」
「は、はい!!」
何故か
※※※
「お茶でいいかい? コーヒーにするかい?」
「あっ、お義母さん! 私も手伝います!」
「?」
お母さんと呼ばれ、オフクロから飛びっきりのクエスチョンマークがでていた。
年上の人を呼ぶときに、全員がお母さんとかお父さんになってしまうあの現象だろうか……。
あまり高校生が年上の人をそういう呼び方をすることはないと思うのだが。
「えへへへ~。
体と体がピッタリと密着してしまうような距離感だ!
「あそこにお父さんとお母さんがいるんだよ」
いやお前のオトンは、今まさに隣にいるんだけどね……。
「お父さん、お母さん、私にも彼氏ができたよ」
い、今以上に時空の歪みを感じたときはない……!
「おばあちゃんがよく言うんだ。他の人に起きたことは自分にも起きるかもしれないって」
「ふーん……」
「えへへへ。幸せな家庭を作ろうね」
「どういうこと!? ってか早いって! めちゃくちゃ早いって!」
文脈が意味不明すぎる!
確かに俺はお前と幸せな家庭を作りたいけど、意味があまりにも違いすぎる!
「あらあらラブラブだねぇ」
うちのオフクロと
ラブラブとか余計なことを口走りやがって……。
「
「はい! 昔、色々教えてもらったので!」
(……?)
どうしたんだろう。
心なしか
「仏壇の話をしてたのかい?」
「え、えぇ……」
オフクロが俺たちが話していた仏壇に視線を向けた。
「私、お線香をあげてもいいですか?」
「どうぞ、どうぞ。ありがとうね」
チーン
「……」
目を閉じて、しばらくそうしていた。
こんなに真剣な表情の
「本当にね。こんな可愛い子を残して逝っちまうなんて二人とも本当に大馬鹿ものだよ」
「「ぐっ……!」」
オフクロの言葉に、何故か
「折角、娘が初めて彼氏を連れてきたというのに!」
あ゛ぁああああああああああああああ!
オフクロに言われると、尚ダメージででかい!
頼むオフクロ! 前世の絆でも何でもいいから俺のことを助けてくれ!
「これで
既にお前の息子なんだわーーーー!
寝ぼけてんじゃねぇぞクソババアぁあああ!
「わ、私も
「あらあら
「はい! お義母さん!」
わ、わけが分からん!
「それにしても
「えへへへ。
「
「うーん、うちの息子の方が賢そうな顔してた気がするねぇ」
も、
「はい! 私もそう思います!」
何故か
だからお前はなんなんだ!
「えへへへ~」
「……」
「おやおや、何だか浮かない顔をしているねぇ」
オフクロが真剣な眼差しで俺を見つめてきた。
「い、いえ……」
「心配なのかい?」
「えっ」
お、オフクロぉ……。
俺の気持ちを分かってくれたのか? さすが前世の俺の母親……。
そうなんだよ、娘と付き合うわけにはいかな――。
「お金がないときは必ず言うんだよ。アレを買う時に困っちゃうからね」
前言撤回だ! クソババアーーー!
今すぐその口を縫い付けてやろうか!
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