18. ご近所転生! side???
◆
世の中には、自分で思っているよりもずっと不思議なことがある。
転生、生まれ変わり、前世の記憶を持って生まれてくる……。
私は、昔からその手の類のものは信じていなかった。
……だったのだが、いざ自分が経験するとそれが本当にあるものだと信じざる得なくなる。
――私には前世の記憶がある。
幼馴染の彼と同じ大学を出て、地元の零細企業に就職。
その後、その彼と結婚し一児の子供を授かった。
子供の名前は“
私のお腹に子供がいると知った時の夫の喜びようは本当にすさまじかった。
夫は、毎日毎日、いくつも名前の候補を持ってきて、私と一緒に子供の名前を考えてくれた。その時間がとても幸せだったし、そのことは今でも私のとても大切な思い出の一つだ。
部屋も狭いアパートだったし、経済的にも決して余裕があるとは言えなかった。
それでも私は幸せだった。
最愛の夫と、最愛の子供がいてくれる――私は充分すぎるほど満たされてしまっていた。
●●●
これが今の私の名前だ。
幼いころから、前世の記憶があったわけではない。前世のことを思い出したのは高校に入学してからだった。
思い出すキッカケは間違いなくこの子だった。
「
高校の出席番号は五十音順でつけられる。
私の最愛の娘だ!
どういうわけか私は娘の同級生に転生してしまっていたのだ!
――可愛くなったなぁ。
目は前の私に少し似てるかな?
鼻筋と髪質はお父さんに似ているような気がする。
何よりも笑った時の表情が夫にそっくりだ!
亡き夫を今の娘と重ねてしまって、思わず涙ぐんでしまう。
私はそれから
今どこで暮らしているのか。今までどうしていたのか。
同性だったのですぐに
お母さんがいなくて寂しかったこと。
お父さんがいなくて寂しかったこと。
――お父さんのことが本当に本当に大好きだったこと。
お父さんの好きだったものを今でも探してしまっていること。
この子にとって、父親の存在というものは相当大きかったようだ。
子供のときからお父さんが大好きで、お父さんからずっと離れないような子だったもんなぁ。
母が娘に嫉妬することがあるとは聞いたときがあるが、私は
だって、私が大好きな彼を娘も大好きになってくれているんだもの。
こんなに幸せなことってないと思う。
私が
夫の分まで
私はそんなことを心に深く誓っていた。
※※※
“お手柄! 地元高校生が不審者を撃退”
ある日の地方紙の記事だった。
なんと
悔しかった。
「
それから
私も女だから分かるが、どうみても
ま、まぁ……
「えへへへ。
似てるかーーーーーー!
昼休み、
夫の方がイケメンだったし、夫の方がもっと賢そうな顔してたし!
よりにもよって、高校生のクソガキに私の夫が似ているなんて!
あんたの目は節穴か!
そんな心の叫びを抑えて、私は
●●●
「こ、
私がッ!?
年下の子供に!?
しかも未亡人とはいえ結婚しているのに!?
「そ、そそそんなわけあるかーーーーーー!」
「本当……? 嘘ついてない?」
「馬鹿なことを言わないで! どうして私が
「本当に? 私の
「取るわけないでしょう! なんでそうなるの!?」
何で、私が娘の彼氏候補を寝取るような真似しなければならないのか!
っていうか無理! 年下は絶対に無理!
私はあの人と添い遂げるって決めたのだから、馬鹿なことは言わないでほしい!
「本当に?
「するする! そんなの絶ッッッ対にありえないから!」
「良かったぁ……」
そ、そんなに
ふふっ、ものすごく変な顔しそうだなぁ。
「じゃあ
「え゛ぇえ!?」
うぅ……あまりにも無邪気に
あなた、天国で見てる?
私たちの
「
娘が恋している同級生が
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