第三話みっつめ、しるすこと 「銭金の工面に悩む内、行事催事多き夏を企てるに就いて記す事」其の九 夏祭り等々の企画を長々と話し合うに就いて記す事
第三話みっつめ、しるすこと
「銭金の工面に悩む内、行事催事多き夏を企てるに就いて記す事」
「其の九 夏祭り等々の企画を長々と話し合うに就いて記す事」
「――ちょっと厠に行ってくる。」
きっぱりと決意を皆に告げたものの、やはり照れ臭くなってしまい祥之助はそう言って本堂を出ていった。
「いいね~。青春ですな~。」
「惚れた男の為に強くなろうっての、イイじゃねえかー。」
明春や利春がこそこそと囁き合い、ニヤニヤと笑いながら頷き合っている様子が結三郎の視界の端に映った。
何となく明春達からの、見守ってくれてはいても何処か生温かい様な、そんな視線を注がれている事に結三郎は気が付き、結三郎もまた照れ臭く居心地が悪い様な気持ちになってしまっていた。
それからさして時間を置かずに、祥之助は本堂へと戻ってきた。
「おーい、丁度、皆来たぞー。」
祥之助がそう言う後ろには、作務衣姿の潮地和尚や昭文宮司、園安宮司や、力士長屋の良子、梅子、安子のいつもの三人のおかみさん達が居た。
「こんにちはー。」
良子達が祥之助の後ろから声を掛けてきた。
祥之助が厠に行った帰りに寺門の所へと皆が来たのを見掛けて連れて来たのだった。
「照安殿、先程はどうも。」
そして一番後ろに居た薄灰色の作務衣を纏った背の高い大柄な老僧――島津法晃良和尚が照安和尚へと頭を下げた。
「こちらこそ。ようこそおいで下さいました。ささ、皆様もお上がり下さい。」
照安和尚と親方が急いで入口へとやって来て挨拶を返した。島津の殿様の親戚のお偉い和尚様だと言う事は先程親方から聞いていたので、明春達弟子達も親方の後ろに付いて軽く頭を下げていた。
「では失礼致しますよ。」
皆に譲られて少し申し訳無さそうにしながら、法晃良和尚が初めに本堂へと上がり、潮地和尚達やおかみさん達がその後に続いた。
島津公の親戚の法晃良和尚を初め、小さくはあっても科ヶ輪の町の寺社を預かっている和尚や宮司達と言った面子に、流石のお喋り好きのおかみさん達も今のところは大人しくしていた。
大勢が本堂の中へと入ってきたが、古寺ではあっても一応は建物は広く作られていたので銘々がゆっくり腰を下ろしても窮屈さを感じる事は無かった。
幸い今日は風も程々に吹いており、それ程には蒸し暑いと言う事も無かった。
皆が腰を下ろし終えたところで、話し合いを始めるべく一応は会場の主の照安和尚が口を開いた。
「島津和尚殿もお忙しい身でしょうし、先に出張博物苑の話を――。」
法晃良和尚の予定を気遣って照安和尚がそう言い掛けたが、法晃良和尚は微笑みながら頭を横に振った。
「いやいや、拙僧の事はどうか御気遣い無く。おかみさん達の方がお忙しかろう。先にそちらの話をどうぞ。」
「そ、そうですか……。」
法晃良和尚の言葉に照安和尚が答えると、おかみさん達は恐縮しながら大きく頭を下げた。
「も、申し訳無いですっ。あたしらなんかに気を使って下さって……。」
「いやいや。子供の世話に亭主の世話。食事の支度やら洗濯掃除。内職だってありましょう。体が幾つあっても足りぬ中、時間を作ってきておるのでしょう。」
おかみさん達を気遣う法晃良和尚の微笑みに、彼女等の緊張も解れた様だった。
「――あ、そうだ。忘れねえ内に、追加の入場券渡しとくぜ。」
祥之助が不意に声を上げて袂から入場券の束を取り出すと、近くに座っていた昭文宮司へと手渡した。
「おお、早速、こんなにも沢山有難うございます。子供会の者達も喜びましょう。」
薄くなりかけた白髪頭を下げ、昭文宮司は祥之助と結三郎へと礼を言った。
「ああ、科ヶ輪神社のところが主催しておる子供会ですな。うちの近所の子供達も大勢お世話になっております。」
昭文宮司の受け取った入場券を見ながら、法晃良和尚が蓑師摩寺の境内でいつも遊んでいる子供達の様子を思い出し微笑みを浮かべた。
「活動写真の「お野菜剣士」、絵本とはまた違ってなかなかに迫力がありましたからな。主役もさる事ながら敵役の山賊達もなかなかに侮れぬ剣捌きや体の動きで、流石佐津摩の――。あ、いや、チャンバラ好きな子供ならば楽しめる事でしょう。」
既に活動写真を見ていたらしい法晃良和尚が意外と饒舌に感想を述べた。
「へええ、島津の和尚様も活動写真見たんですか? 意外だわー。」
「和尚様がこうまで仰るんだから、よっぽど面白いんでしょうねえ。楽しみだわ。」
緊張も解けてきて段々と、おかみさん達がいつもの調子でお喋りをし始めた。
「――あ、それで、その活動写真だけど……。麻久佐まで出掛けるのに、やっぱり男連中は毎日の仕事があるんで一緒に出掛けるのは難しくて。」
良子が恰幅の良い体を揺らして溜息をついた。
「まあ、のんびり休んでちゃ、おまんまの食い上げだしね。」
良子の横で安子が小柄な肩を竦めてみせた。
そんな次第で出掛ける者達はおかみさん達や子供達、そして政吉爺さんといった女子供年寄だけとなっていた。それなりに治安が良いとは言われている麻久佐の町ではあったが、そうした面子だけではやはり不安はあった。
午前に政吉爺さんが軽く話を持ってきた様に、出掛ける日程を合わせて春乃渦部屋の者達に女子供達への付き添いも兼ねてもらいたいという事だった。
「うむ。儂等はおかみさん達に都合を合わせるのは大丈夫じゃ。毎日根を詰めて稽古すれば良いというものでもないしな。――本当は宗兵衛も出掛けたいと言っておったが、あいつはまたこの間から膝が痛いとか言っておったから麻久佐まで歩くのは無理じゃしな。」
おかみさん達の希望を親方は快く承諾した。
相撲は大きな体をぶつけ合って戦う競技である為、現役の時には怪我や故障に苦労する者が数多く居り、また現役を引退後に今までの無理が一遍に現われる事もまた珍しい事ではなかった。
幸い広保親方は引退後にまで苦労する様な後遺症は無かったが、宗兵衛は膝関節を傷めてしまっていたのだった。
「出掛けた先であの年頃の子供達の面倒を見るのはなかなかに骨が折れるでしょう。ちょっと目を離した隙にあちこち走り出す。――部屋の者達も子供等を知っておるし、皆で分担して見ておれば何とかなるじゃろう。」
宗兵衛の膝の痛みを気遣いながらも、照安和尚はおかみさん達を安心させる様に笑い掛けた。
「そう言ってもらえると助かります。有難うございます。」
良子が嬉しそうに礼を言った。
「それで、四日後辺りが、あたしら長屋の女連中の休みが揃え易くて。学校に行ってる子供達もその日は休みなので丁度いいんです。」
良子よりは小柄だったがやはり同じ様に恰幅のいい体を揺らしながら、梅子が照安和尚達に長屋の皆の都合を告げた。
「判りました。では四日後に皆で出掛けましょう。」
「有難うございます!」
親方が即答し、おかみさん達は嬉しそうに礼を言った。話を聞いていた明春達も休日と遊びに出掛ける事が確定して笑顔になっていた。
「沢山お弁当作らなきゃね。あ、武市様も島津様もよろしくお願いしますよ!」
良子の嬉しそうな言葉が自分に向けられ、祥之助と結三郎は少し困惑しつつも頷いた。
おかみさん達は二人の事も出掛ける人数の内に入れていた様だった。
「まあ……いいけどよ。」
四日後ならば杜佐藩邸の藤枝原村行きには問題は無かったし、結三郎との二人きりのデエトはまた後日に改めればいいかと、祥之助は麻久佐行きを承諾した。
「えーと、四日後……四日後は……。」
祥之助の横で結三郎は頭の中でさっと自分の予定表を思い返していた。
博物苑の勤務自体は当分は今のまま変わりは無く、午前が表苑、午後は奥苑や相撲の稽古という内容の繰り返しになっていた。
そして精介の方の予定が明日から四日間期末試験で、五日後が精介の夏休み初日であり義父上と自分とが精介の世界へと探検に行く予定になっており――。
「はい。私も予定は大丈夫です。よろしくお願い致します。」
予定に問題が無い事を確認し、結三郎はおかみさん達に軽く頭を下げた。
大人数での外出ではあったが、結三郎と共に出掛けられると言う事で、祥之助も笑顔で結三郎を見ていた。
「では四日後の朝の九時頃に力士長屋に集まって出発と言う事にしましょう。」
和尚が締め括り、おかみさん達や明春達も頷いていた。
「じゃあ、次は出張博物苑の話だな。」
祭や催し物の話を楽しみにしていた祥之助がそう言って隣の結三郎の肩を叩いた。
用事が済んだので帰ろうかと腰を浮かし掛けたおかみさん達を、結三郎が呼び止めた。
「あ、皆さんも、もしまだお時間に余裕があれば聞いていって下さい。色々な人から意見があると有難いので……。」
結三郎の言葉におかみさん達は再び腰を落ち着けた。
「あたしらはまだ時間大丈夫だけど……。」
「あたしらなんかで何か役に立てるのかい?」
そう言うおかみさん達に結三郎は取り敢えず背嚢から企画の書類を引っ張り出して、大雑把に出張博物苑の企画について説明した。
「博物苑の事をもっと人々に知らしめたいのと、入場者から集めたお金を寺社等への寄付とするのが主な目的なのですが――。」
「まあ、要は博物苑の連中が開く変わった趣向の夏祭りと言うか、そんな感じの企画なんだろ?」
祥之助のかなり端折った物言いではあったが、想定する主たる客層であるおかみさん達や明春達はすんなりと納得出来た様だった。
「開催時期は八月末から九月初めにかけての一週間位です。他の寺社等の夏祭りを妨げる意図はありませんので――。」
「塔京の夏祭りの締め括りで開くとか、他の祭の客足を取らない様にとか、あの殿様そんなコト言ってたけどよ、中々の自信だよなー。そんだけ面白い祭にする自信があるってコトだろ?」
説明を続ける結三郎の横で、祥之助は決して嫌味ではなく茂日出公の企画に感心していた。
祥之助の茶々に一瞥を送りながら、結三郎はなるべく皆に見える様に食卓の上にばらばらと企画の覚書を広げていった。
いつもの和綴じ本の端末機にはプロジェクターの機能もあったが、流石にこの場で使う訳にはいかなかった。
「蓑師摩寺を含めた今日お集まり下さった五カ所の寺社で、一つずつ違った催し物を行なっていきます。後日、敷地の広さや客の動く流れ等を確認して案を仕上げる事にはなりますが、おおよその、何の催し物をどの寺や神社で行なうのかをこれに書いています。」
皆に説明しながら結三郎はまず蓑師摩寺について書いたものを取り上げた。
「えーと、蓑師摩寺では相撲大会や相撲に関する展示ですね。一週間、毎日違う大会――例えば初日は子供達とか町の人達の誰もが参加できる大会とか、二日目は佐津摩藩有志による見世物相撲、三日目は本格的な藩対抗とか部屋対抗の勝ち抜き戦とか――。」
「儂等も希望すれば参加出来るという事ですかな?」
結三郎へと親方が尋ねると、結三郎はしっかりと頷いた。
「はい。是非お願い致します。」
「はいはい! 賞金とか出るんすか?」
そこに利春が手を上げて質問してきた。
「これ、いきなり金の話なぞ……。」
「いえ、報奨はやる気に大きく関わりますし。」
親方が軽く窘めたが、結三郎は気にした様子も無く別の覚書の紙を手に取って答えた。
「ええと――寄付金を集める催し物の性質上、賞金は出しにくいのですが、賞品とか景品は色々案が出てます。米半年分とか、酒――ああ、佐津摩から取り寄せた酒とか、外国からの酒とか。博物苑で育てている外国の珍しい果物とか野菜とかも大きな荷車一つ分と書いてますね。他にも頒明解化でもたらされた少し便利だったり軽くて頑丈だったりする生活用品とか……。」
野菜や果物、生活用品と聞いて明春達だけでなくおかみさん達も心惹かれた様子で身を乗り出してきた。
「へええ!! そりゃあいいねえ。是非とも部屋の皆には優勝してもらわないと!」
「いっそあたしらが参加してもいいわねえ! 女相撲の大会は無いのかい?」
言葉通りに参加しても良子達ならば優勝しそうだと気圧されながら、結三郎は苦笑した。
「そ、そうですね……。男女平等は帝も頒明解化の中で標榜しておられますし。女相撲の提案もしておきます……。」
それから次の紙を皆に示し、説明を続けた。
「後は、えーと……大会以外にも相撲の歴史の説明の展示とか、大昔の横綱達の遺品とか、あ、帝からの御厚意で、帝居で保管されていた有名な昔の力士達の実際の試合の記録を活動写真で観られる様にするとか何とか……。」
覚書を読み上げながら、内心で結三郎は疑問に首を捻っていた。
一体いつの間に義父上と帝はこんな打ち合わせを済ませていたのだろうか。
「――何と! あの名勝負が活動写真に!?」
結三郎が覚書に書かれていた昔の何人かの力士の試合を読み上げると、照安和尚だけでなく昭文宮司や潮地和尚、園安宮司も腰を浮かして身を乗り出していた。
記録物と言えば絵巻物や書物が主なものである日之許の世界では、本物の様な実在感を以って目の前に示される活動写真に対する驚きや喜びは、動画視聴が広く普及している精介の世界とは違って大変大きなものだった。
「何と素晴らしい! 私が神社に入ったばかりの頃に皆で見に行った覚えがあります。」
「ああ、儂も見に行った! あれは凄かったのう!」
「あれが活動写真で観られるとなると、塔京中の相撲好きの年寄達が詰め掛けるぞ!」
余程感銘を受けた試合と人々に愛された力士達だったのか、和尚や宮司達の楽しそうに熱心に語り合う様子に、少なくとも蓑師摩寺での催し物は成功しそうだと結三郎は安心した。
昔の思い出話に熱くなっている和尚達には申し訳無いとは思いながら、更に結三郎は覚書の説明を続けた。
覚書の内容を見ると、茂日出はある程度は今回の会場に使う寺社の敷地内の様子を調べていた様で、まとまった空間を必要とする動物達の展示や、植物の鉢植等を設置し易いのはどの寺や神社なのか、既に検討し終わっていた。
照応寺や覚証寺は主に動物達の展示や気性の大人しい動物との触れ合い、一部の動物達(精霊も混じってはいたが)による芸を見せるものとなっており、科葉神社や科矢輪神社は外国の珍しい植物の鉢植を組み合わせた庭園や、博物苑で研究中の品種改良をしている農作物の試食や栽培の様子の展示といった内容になっていた。
「いやはや、蓑師摩寺の相撲大会だけでも大層な内容というのに、我々の寺社では動物や植物の見世物や庭園ですか……。」
「一週間で全部回り切れますかのう……。」
「我々も寺社の管理を順番に交代していきますか。」
「それは良い考えですのう。」
自分達の預かる寺や神社で開かれるという催し物の内容を、和尚や宮司達は童心に帰ったかの様な笑顔で語り合っていた。
おかみさん達や明春も、覚書の文章の説明だけでは催し物の詳細は今一つ判りにくかったものの、物珍しい動植物の話や、何より様々な農作物の試食が出来るという話に盛り上がっていた。
「長屋の子供達や、後、神社の子供会の子供達も喜ぶんじゃねえか? 博物苑は色々と珍しい色や姿の動物や鳥なんか居るから。」
祥之助の話に良子も大きく頷いた。
「ああ、そうよねえ。ウチの娘や長太郎さんトコの娘さん達も移動図書館で何だか綺麗な色の小鳥の絵本を何冊か借りてたし。」
暫く皆が出張博物苑への期待に話し込んでいたが、流石にそろそろ帰らなければならない時間になり、おかみさん達がお喋りを打ち切った。
「今日は色々と楽しい話が聞けて良かったよ。」
「島津の若様、楽しみにしてますからね。」
「今年の夏は楽しみが沢山でいいわねえ。今から小遣い銭貯めとかないとね。」
心から楽しそうに、期待の込められた言葉を結三郎へと掛けておかみさん達は立ち上がり、本堂の出入り口へと向かった。
「それではわたくしもお暇させて頂きます。」
次の予定があるとの事で、法晃良和尚もおかみさん達の後に続いて腰を上げた。
「今日はおいで頂き真に有難うございました。また何度か打ち合わせもあろうかと思いますが、またよろしくお願い致します。」
「はい。是非とも。」
照安和尚達が法晃良和尚へと礼を述べ、法晃良和尚もにこやかに頷いた。
それから寺門まで結三郎達も含めた皆が法晃良和尚とおかみさん達を見送りに出ていった。
帰っていく法晃良和尚とおかみさん達を見送った後、照安和尚達は結三郎にも深く頭を下げて礼を述べた。
「島津様、此の度は真に有難うございます。この様に素晴らしい催し物の話を持ってきて頂き、何とお礼を……。」
「いえ、礼には及びません……。」
頭を下げてくる和尚達に結三郎は慌てて手を横に振った。
「――と言うか、長引いて申し訳ありませんが……。まだ、今日は和尚様方にはお話がありまして……。」
「まだ何か話す事あんのか? 祭りの話はもう今日のとこは済んだんじゃねえのか?」
祥之助が不思議そうに首をかしげ結三郎に尋ねた。
「ああ。祭りの話もだが、これはこれで大事な話だと義父上からは言われている。」
「そうでしたか。では続きはまた本堂で。」
結三郎の話に照安和尚は皆を促した。
明春達についてはもうそろそろ午後の稽古を始めろと、親方は土俵の方へと向かわせた。
「えー。何かまた面白そうな話だったら、後で教えて下さいよー。」
春太郎が少し不満そうに言うのを宥めながら明春達は土俵の方へと戻っていった。
◆
和尚や宮司達と祥之助、結三郎だけになった本堂はさっきと比べて急に広く静かになった様に感じられた。
食卓の上に広げられたままの覚書の前に結三郎は再び腰を下ろすと、覚書をざっと隅に寄せて次の書類や小冊子等を背嚢の中から引っ張り出した。
数ページの薄い小冊子は四冊あり、それぞれ寺の本堂や神社の拝殿の写真が表紙となっていた。それらは和尚や宮司達にはとてもよく見慣れた自分達の寺社の写真だった。
他にも子供向けと思われる様なデフォルメされた絵柄で描かれた神仏の絵本や、大きな字で書かれた経典の簡易な解説書等もあった。
それらの印刷の質は敢えて低価格になる様に抑えられており、精介の世界で言うところの薄めのインクによるカラーコピーといったところだった。
「島津様、この本は一体……?」
照安和尚が照応寺の本尊の仏像の写真が表紙になっている冊子を覗き込んだ。
「あ、どうぞ手に取ってご覧下さい。」
結三郎はそれぞれの寺社の冊子を潮地和尚達にも手渡した。
「先程の出張博物苑の様な祭も確かに楽しく賑やかで、人々も集まりはするでしょうが……。あくまでその日限りの事でしかありません。寺社の本分に関わりのある様な事で継続的な取り組みが何か無いだろうかと、博物苑だけでなく、帝の証宮離宮殿の図書館側からこの様な提案がありまして……。」
いずれは塔京だけでなく、日之許各地の寺社へも広げていく予定ではあるらしいが、一先ずは試験的に今回関わった寺社で取り組んでみようという帝の考えの様だった。
各寺社の由来に関する写真入りの解説を書いた小冊子や、そこで祀られている神仏に関する解説を書いた小冊子、その地域の歴史や昔話を書いた物等――そうしたものを離宮殿図書館や証宮新報社からの委託販売と言う形で寺社に置いてもらい、委託料や、冊子の売り上げの何パーセントを寺社に支払うと言う様な事で収入の助けにならないか――。
「他には、出張博物苑と少し繋がる話ですが、参拝者を定期的に呼び込む一環として、寺社の手付かずの敷地の一部を恒常的な庭園なり花畑なりに整備する案も出ています。神仏に関わりのある樹木や草花を植えるとか。例えばヒヌドウ国やサキヤ族領の花や薬草等で、日之許の気候でも育つものを博物苑から提供するとか……。勿論、それらとは別に和尚様達のお好きな草木や花を植えるお手伝いも出来ます。牡丹や芍薬、菖蒲等の有名な寺社は既に各地にある事ですし。」
庭園の日常的な手入れは一先ずは社会貢献の奉仕活動の一環として博物苑の鳥飼部達が定期的に関わり、やがては地元の庭園業者等に寺社がお金を払って来てもらう様な形に持って行ければと帝や茂日出は考えている様だった。
「何と、まあ……。」
「帝や島津公は、そこまでお考えでしたか……。」
園安宮司や潮地和尚が感心や感謝の思いに何度も頷いていた。
照安和尚や昭文宮司も同様に感心しており、軽く手を合わせてから食卓の上の冊子を手に取った。
「ああ、これは御仏の――シツダルータ王子の物語ですな。先代の和尚様が檀家の人達への法話の時に話しておった。懐かしいのう……。」
「絵物語になると、これはこれで判り易く面白いですなあ。」
照安和尚が冊子をめくっていくのを横から覗きながら、昭文宮司も感心していた。
「――まあ、そんな次第でして、地味かも知れませんがこの様な支援の提案もあると言う事で。出張博物苑の事がありますので、それが終わってからゆっくりお考えになって下さい。」
今日持ってきた冊子類は見本と言う事で、全て置いて帰るのでまた後でゆっくり読んで下さいと結三郎は和尚達へと手渡した。
「島津公や――もし叶う様でしたら帝にも御礼を御伝え下さい。この様に弱小の寺社の運営にも色々と御心を砕いて下さり、何と感謝して良いやら……。」
「そう言えば過日は、寺社に何かしらの文化財等が無いか調査する為の補助金も御出し下さった。流用はもっての外じゃが、余った分は寺社の運営に役立てて構わないとの由、真に助かりました。」
照安和尚や潮地和尚がそう言って結三郎へと深く頭を下げた。昭文宮司や園安宮司も思いは同じ様で、二人に続いて礼を述べた。
「帝や島津様、皆様方の御厚意を胸に、我々も引き続き町の人々の為に神社での仕事を頑張っていこうと思います。」
自分よりも遥かに高齢で目上の者である和尚や宮司達からの礼の言葉に恐縮しつつも、結三郎はしっかりと頷いた。
「はい。皆様の御言葉は義父上だけでなく帝にもしっかりと伝えます。まずは来月末の出張博物苑を皆で頑張っていきましょう。」
結三郎の言葉に皆も大きく頷いた。
◆
結三郎が祥之助、親方と共に照応寺を後にしたのは夕方も近い時刻だった。
夏の太陽はまだ高く、日の光もぎらぎらとあちこちを照らしていたので夕方であるという実感は全く無かったが。
「ま、おかみさん達じゃねえけど、夏祭りや花火大会は塔京のあちこちであるし、四日後は活動写真だし、そんで出張博物苑だろ。今年は色々と催し物が多くて楽しみだなあ。」
結三郎の隣を歩く祥之助は、暑さに薄く汗を掻きながらも楽しそうに笑っていた。
「蓑師摩寺の相撲大会は杜佐藩も参加する様に後で爺やにも話しとかないとな。お前んトコの殿様にもいいところを見せて――いや、優勝して少しでも認めてもらわないとなー。」
祭りの日程の全ての試合が余興の様な緩い雰囲気のものばかりではないと、祥之助は結三郎が例に挙げていた藩対抗の試合に意気込んだ様子だった。
「そうか……。」
拳を握り、やる気に満ちた目で自分を見る祥之助へと顔を向けながらも、結三郎は何処か申し訳無さそうにしていた。
「すまん……。お前の意気込みは買うが、いいところを見せるのは一部難しいと思う……。」
祥之助へと真面目に向き合っているが故に、結三郎は水を差す様な事も真面目に一々口にした。
「何でだよ。」
結三郎からの言葉に、祥之助は不快よりも疑問の方が強く出た表情で首をかしげた。
「藩対抗の試合とか見世物相撲とか、幾つかの試合は俺も出るからなー。藩対抗の本気の試合も、俺だって負けるつもりは無いからな……。」
申し訳無さそうにしてはいたが、話している内に結三郎もお抱え力士としての血が騒いだのか、楽しそうではありながらも気合の入った顔付になっていた。
「あー……。あー、そう言えばそうだったな。」
結三郎の話を聞いて祥之助は納得しつつも、残念そうに溜息をついて肩を竦めた。
観客である結三郎や茂日出公にいいところを見せてやるという様に思い込んでいたが、確かにそもそも結三郎も佐津摩藩のお抱え力士だったので、相撲大会と言う企画の内容からすると出場するのは当然と言えば当然だった。
そして結三郎が決して弱くはなく、また、相撲で戦う事について優し気で穏やかな普段の雰囲気に似合わず、意外と好戦的で貪欲に勝利を目指す気性だったと――今までの大会での対戦や先日の照応寺での真剣勝負から祥之助もよく判っていた。
祥之助は結三郎の傍らを歩きながら微笑み、そのどっしりとした尻をぱんと叩いた。
「まあ、誰が相手だろうが勝つだけだ!」
「だから尻を触るな! 尻を!」
祥之助の手を払いのけ、結三郎は軽く睨み付けた。
二人の後ろを歩きながら、親方はそうした様子を微笑ましそうに眺めていた。
暫くはそんな調子で出張博物苑の催し物の話をしながら三人は歩いていたが――高縄の町に入り、高縄屋敷や杜佐藩邸が近付くにつれて、親方の表情が緊張に強張り始めていた。
親方の足取りも表情も重くなっている事に祥之助も気が付き、軽く溜息をついた。
「こないだ爺やには挨拶をしに来たんじゃなかったのか?」
先月の覚証寺の夏祭りの終わった翌々日――精介が元の世界へと送り返された次の日に、親方は浅右衛門に春乃渦部屋の今回の事を詫び、また礼を言う為に杜佐藩邸を訪問したのだった。
「あー、その。この前のはワシからの詫びや礼が主たる話でしたので……。勿論、あの日もそれなりに叱られはしましたが……。多分、今日はお叱りの方が多いと思います。」
まだ初老とは言え結三郎と祥之助からすれば遥かに高齢の親方が、伯父に叱られる事に緊張し青褪めている様子にはいたたまれない気持ちが湧いてしまっていた。
「……相撲に関しては厳しい事が多いもんなあ、爺やは……。」
普段から小言や雷を落とされる事に慣れている祥之助も、浅右衛門爺やの稽古の時の本気の叱責には身が縮む思いがしていた。
そう話をしている内にも、三人はついに高縄屋敷の敷地の端に差し掛かってしまった。
長く連なる高い塀に沿ってこのまま歩けば、高縄屋敷の南正門へと至る筈だった。
「し、島津様! お願いがあります。」
冷や汗を掻きながら親方は立ち止まり、何事かと振り向いた結三郎へと頭を下げた。
「いい歳をして、と、笑われるでしょうが、お願いでございます。伯父上との面会に付き添いをお願い致します!」
「えぇ……?」
勢いよく深く頭を下げてくる親方の白髪頭の頭頂を、結三郎は困惑しながら見つめてしまった。
「ええと……。祥之助殿も居る事ですし、下手に余所の藩の者が居ると却ってややこしくならないですか……?」
結三郎は浅右衛門の人となりは全く知らなかったが、下手な小細工を弄すると却って怒らせてしまうのではないかと親方の事を心配した。
「祥之助様ではこの場合は頼りになりませぬ故……。何卒……。」
「何だと。」
親方の言い草に祥之助がむっとした表情を浮かべた。
最早、伯父に叱られるのを嫌がる子供に戻ってしまったかの様な親方の様子に、どうしたものかと結三郎は大きな溜息をついて立ち尽くしていた。
「島津茂日出様の御子息が同席しておれば、伯父上もそう無体な事は仰いますまい。」
手の甲で額の汗を拭いながら親方は結三郎に言い募った。
「いや別にそもそも無体な事を言う訳じゃねえだろ。普通に親方の至らなかった事を叱って終わりだろ?」
親方の情けない様子を祥之助は呆れながら眺めていた。ここだけは祥之助の言う事が尤もな事だった。
「――まあ、今日の出張博物苑の藩対抗の相撲大会の話、この際だから親方の付き添いついでに爺やに直接結三郎から話を持ってったらどうだ?」
それでも親方の助けにならないものかと、祥之助は結三郎の一応の付き添いの理由を捻り出した。
「そう……だな……。」
このまま親方を放って屋敷には帰りにくかったので、結三郎はまた溜息をつきながらも祥之助の提案に乗る事にした。
「真に有難うございます! この御恩は一生忘れませぬ!」
親方はそう言ってまた深く結三郎へと頭を下げた。
◆
「――すまないが、少し杜佐藩邸に寄ってから帰ると義父上に言伝を頼む。」
高縄屋敷南正門へと差し掛かると、結三郎は門番の所へと近寄って伝言を頼んだ。
「畏まりました。御気を付けて。」
門番に見送られ結三郎は再び祥之助と親方と合流すると、杜佐藩邸へと歩き出した。
結三郎が付き添ってくれる事で幾らかは緊張が解れてはいたが、それでも親方の歩みはぎこちなく強張っていた。
南正門から十分も歩かない内に、結三郎達は杜佐藩邸の正門へとやって来た。
藩邸の正門は何処も基本的な作りは似た様なもので、頑丈な鉄枠と錨とで補強された大きな板で出来た扉と、その横にある小さな通用口で構成されていた。
通用口の前に立つ二人の大柄な門番は、帰宅した祥之助の姿に気が付くと軽く黙礼をした。
「えーと、浅右衛門殿への客人を連れてきた。」
いつもの調子で爺やと言いそうになったのを押さえ、祥之助は後ろに立つ結三郎と親方を門番に紹介した。
「はい。伺っております。」
門番によって通用口が開けられると、祥之助を先頭にして中へと入っていった。
杜佐藩邸の中に入るのは結三郎は初めてだったが、藩邸の作りもまた何処の藩も似た様なもので、両脇に植木が並ぶ玉砂利を敷き詰めた道が、真っ直ぐに主屋敷へと続いていた。
祥之助も親方も勝手知ったる杜佐藩邸の敷地を迷わず進んでいき、途中で横道へと入ると相撲道場へと向かった。
太い柱を幾つも組み合わせて作られた大きく立派な建物の玄関には「杜佐藩邸相撲道場」と書かれた看板が掲げられていた。
開け放たれた玄関からは、稽古に励んでいた男達の汗と土埃の混じった匂いが風に乗って流れていた。
お抱え力士としての条件反射で、結三郎は稽古場の気配を感じるとすぐに身が引き締まり、軽い緊張感と共に背筋が伸びていた。
だが夕方となった今は稽古も終わりの時刻となり、後片付けや帰りの挨拶を交わす力士達の様子が結三郎の目に入った。
「あ、祥之助様、お疲れ様っスー。」
「御先ですっ。」
何人かの若い力士達が汗まみれ土まみれのまま、祥之助に挨拶しながら道場の横にある行水所へと向かっていた。
余り相撲に力を入れていない藩であれば稽古後の汗は近くの井戸でざっと流して済ませる事が多いが、杜佐藩の場合は簡易的な浴槽や洗い場を備えた小屋――精介の世界でのシャワールームの様なものが道場の横に整備されていた。
稽古が終わった後の少し緊張の緩んだ道場の雰囲気を心地良く感じながら、結三郎は祥之助と親方の後に続いて中へと足を踏み入れた。
中では今日の掃除当番の者が、土と汗で汚れたマワシを着けたまま土俵やその周囲を掃き清めていた。
出入りする力士の数はかなり多い様で、広い稽古場には六つも土俵があり、一つの壁面の前には等間隔に九つの鉄砲柱が立てられていた。他にも鍛錬用の重石が多数置いてあったり、筋力訓練の遣り方を書いた紙を貼っていたりと、相撲に熱心と言われる佐津摩藩の藩邸や高縄屋敷よりも設備の面では充実している様だった。
流石は杜佐藩だと結三郎が感心しながら稽古場の奥へと進んでいくと、神棚を構えた小さな板の間への上り口に腰掛けている痩身の老人の姿があった。
朝渦浅右衛門――塔京杜佐藩邸の方の相撲に関する総元締め――総指南役であり、広保親方の伯父であった。
いつもは赤いジャージの上下を身に着けているが、夏場は上着は使わずにTシャツを身に着けている事が多かった。
今日も白地に大きな筆文字で「只管相撲人(ひたすら すもうびと)」と書かれたTシャツを着て、睨み付ける様な視線をやって来た親方へと向けていた。
「待たせたな。連れて来たぞ。」
祥之助が浅右衛門の前まで来ると軽く横にずれ、後ろに付き従っていた親方へと場所を譲った。
浅右衛門は軽く睨みながらも親方の横に結三郎が居る事に気付き、一先ず立ち上がり会釈をした。
「これは島津様。先月は色々とお世話になりました。此度も甥がお手を煩わせた様で。高縄屋敷から言伝が届いた時には何事かと驚きましたぞ。」
「いえ……。その、すみません……。」
浅右衛門にどう挨拶をしたものかと曖昧に微笑みながら、結三郎も取り敢えず頭を下げた。
しかしそれはそれとして、日之許では見慣れない衣服であるTシャツを浅右衛門はどうやって入手したのか、結三郎はついそうした疑問に気持ちが逸れてしまった。
一体何処で売っていたのだろうか……。
ちらちらとTシャツを見る結三郎の様子に気が付き、浅右衛門は自慢気に笑いながらシャツの裾を軽く引っ張って皆に見せた。
「ああ、気になりますか。日之許ではまだ殆ど出回っておらんですからなあ。これは先日麻久佐に活動写真を見に行った時に、離宮殿の図書館で販売していた物を買ったのです。これは何と! 帝の筆跡を複写したものだそうです。」
他にも幾つか違う文句の書かれたTシャツが売られており、相撲に関するものが書かれたシャツを購入してきたのだと浅右衛門は結三郎達に説明した。
「へえ……。」
「何と、帝が……!」
祥之助は大して関心が無い様だったが、親方は帝の筆による品物が売られていた事に驚いていた。
彼等の横で結三郎は、内心、戸惑っていいのか呆れていいのか――無意識の内に眉が寄ってしまっていた。
いつの間に帝は観光地の外国人向け土産の様なこんなTシャツを製作して販売していたのだろうか。
義父上との出張博物苑の打ち合わせが済んでいた事と言い、本当に政務をきちんと行なっているのか――日之許国民として結三郎は少し不安になってしまっていた。
「まあ、それで、このTシャツとかいう衣服は脱ぎ着もし易いし動き易いので重宝しております。今の季節はついこれで済ませてしまいまして。」
「まあ、そうですね……。動き易いでしょうねえ……。」
浅右衛門の言葉に結三郎は先月の、精介の世界での相撲大会の応援に行った時に借りた精介のTシャツを思い出していた。
「と言うか、「お野菜剣士」、爺やはもう見に行ってたのかよ。」
新しい物好きの浅右衛門らしいと祥之助は感心していた。
「お抱え力士の子供等が何かの福引の景品で入場券を貰いましてな。余ったからと誘われて行ってきたのです。」
浅右衛門は結三郎にも顔を向けながら答えた。
杜佐藩邸のお抱え力士達の中には所帯を持って子供も居る者も居て、相撲の指導とは関わりの無いところで子供達と浅右衛門が交流する事もあった。
「子供向けと侮っておりましたがなかなかに面白く迫力もあり、また見に行きたいと思いますぞ。」
剣や体術で主人公や精霊達が戦う様子を思い出しながら浅右衛門は楽し気な表情をしていた。
「――して。わざわざ稽古場までおいで下さるとは、島津様は今日はどの様な御用が……?」
溜息を軽く一つついた後、浅右衛門は少しだけ厳しい表情になり結三郎に問い掛けてきた。
何となく親方――甥の広保が付き添いを頼んだ事を察してはいた様だった。
「えーと、その。親方殿が杜佐藩邸に用事があって出掛けられるとの事で、ついでに……来月末に博物苑が主催する夏祭りの事で相談をお願いしたいと思いまして。」
結三郎の方も、浅右衛門が察している事を理解しながらも、用件そのものは本当の事だったので取り敢えず正直に告げた。
「そうでしたか……。」
結三郎の言葉を聞きながら、浅右衛門はいつの間にか祥之助と結三郎の後ろに下がって小さくなっていた広保親方を睨み付けた。
「――まあ、上がれ。……御二人もどうぞ御上がり下され。」
不出来な甥へと顎でしゃくって示し、結三郎と祥之助に先に板の間へと上がる様に浅右衛門は体をずらして道を開けた。
結三郎と祥之助の後に続いて歩きながら、親方は緊張した面持ちで浅右衛門の皺だらけの顔を見つめていた。
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