第三話みっつめ、しるすこと 「銭金の工面に悩む内、行事催事多き夏を企てるに就いて記す事」  其の三 仏道数千年の話を聞かされそうになり祥之助の腰が引けるに就いて記す事

第三話みっつめ、しるすこと

「銭金の工面に悩む内、行事催事多き夏を企てるに就いて記す事」

 「其の三 仏道数千年の話を聞かされそうになり祥之助の腰が引けるに就いて記す事」


 力士長屋から十五分程歩き、祥之助は照応寺へとやって来た。

 覚証寺の夏祭りの後も、春乃渦部屋の者達はそのまま照応寺に間借りを続け、相撲の稽古に励む日々が続いていた。

「こんちわー。」

 古びて少し崩れかけた寺門を潜り祥之助が声を掛けると、敷地の奥の方で四股や摺り足の稽古をしていた力士達が祥之助の姿に気付いて顔を上げた。

「ああ、祥之助様~。」

 がっしりとした筋肉質な体に既に大汗を掻いていた垂れ目気味の青年――大坪明春が稽古の手を止め、手拭いで汗を拭きながら祥之助の所へとやって来た。

「祥之助様も呼ばれてたんですか?」

「ん?」

 明春の問いに思い当たる事が無く、祥之助は首をかしげた。

「今日は宗兵衛親方も、神社の宮司さん達も来てるんですよ。何かの話し合いみたいで。」

 休憩がてら近くにやって来た背の低い小太りの青年――三島春太郎が明春に続いて祥之助へと声を掛けた。

「そうだったのか。あんまり取り込んでいる様だったら出直した方がいいかな。――まあ、取り敢えず様子を見に行ってみる。」

 明春達にそう言い置いて、祥之助は和尚達が集まっているという寺の本堂の方へと足を向けた。

 休憩がてら祥之助と共に、和尚達の様子を見に行く――と言うのを言い訳に、明春や春太郎も祥之助の後に続き、それを一応見咎めた他の庄衛門や利春達も後を追い掛けて来た。

 寺の本堂は風が通る様にと扉や窓が開け放たれており、話し合いが一段落したのかはよく判らなかったが、照安和尚や広保親方達が茶を飲んで一息ついている様子が祥之助の目に入った。

「こんちわー。」

 本堂の入り口に立ち祥之助が声を掛けると、和尚達が軽く頭を下げた。

「これは武市様。」

「今日は室戸の爺さんも来てるんだな。膝が痛いのは大丈夫か?」

 祥之助は皆に挨拶しながら草履を脱いで本堂へと上がり、奥で胡坐をかいている禿げ掛けた白髪頭の男性――室戸宗兵衛親方へも声を掛けた。

 明春や春太郎、庄衛門の住んでいる長屋は、元杜佐藩お抱え力士でもあった室戸宗兵衛が所有している事により力士長屋と言う通称で呼ばれていた。

 他にも今日は覚証寺の潮地(しおじ)和尚、科矢輪(しなやわ)神社の昭文(しょうぶん)宮司、科葉(しなば)神社の園安(そのやす)宮司――と、先月の夏祭りを協力して行なった寺社の責任者達も集まっていた。

「神仏に仕える身としては申し訳無い話ではありますが、やはりなかなかに金銭的な苦しみが続いておりましてのう。何か手立てはないものかと皆で集まって考えておりました。」

 皆を代表して照安和尚が祥之助へと口を開いた。

 夏祭りの中で開いた相撲大会の優勝賞金は、春乃渦部屋の者達からの厚意で照安和尚へ借金の返済に充てる様にと贈られ、借金は無事返済し終えたものの。

 しかし四つの寺社のどれもが、先月の夏祭りで少々の儲けはあったものの、やはり慢性的に生活費が不足している状態が続いてた。

 ――日之許国では大名や豪商等の寄付による支援を受けている一部の大きな寺社を除き、小規模な寺社の収入は檀家や氏子による法事や神事に対する布施や、墓地の管理料といったものが主なものだった。

 照応寺を初めとする今回の四つの寺社は当然の事ながら檀家や氏子の数も、管理している墓の数も少なく、収入は慢性的に少ない状態だった。

「――また何か夏祭りみたいな催し物でもしないんですか?」

 稽古の途中という事もあり、和尚や親方達に遠慮して本堂の入り口で立っていた春太郎達が呑気な調子で疑問を口にした。

「これこれ、安易にその様な事を言うでない。寺社は催し物商売が本業ではないぞ。」

 春太郎の言葉に小言を言おうとした広保親方を宥める様に片手で制し、照安和尚が穏やかではありながらも厳しい口調で春太郎達を諌めた。

「神仏の教えを守り敬い、人々に広く知らしめる事こそが本業。祭りだの催しだのはあくまでその為の手段でしかないのじゃ。」

「は、はい……。すんません……。」

 照安和尚に窘められ、春太郎だけでなく似た様な気持ちで安易に考えていた明春達他の力士達も申し訳無さそうに頭を下げた。

「――それはまあ判ったけどよ。そもそも神仏の教えって何だ? それ守ってて和尚達が腹空かしてるのもどうかと思うぞ?」

 昭文宮司に麦茶を淹れてもらいながら、祥之助は素朴な疑問を口にした。

 祥之助初め、この場には照安和尚に広保親方、宗兵衛親方、明春や利春と言った杜佐出身者が多く居り――彼等杜佐の人間は、杜佐の土地神によって呪詛を掛けられている存在だった。

 その為、他藩の者から比べると神々との関わりは強いと言えなくもない身の上ではあったが。

 ――およそ、相撲の勝負に関しては公明正大、正々堂々と臨まなければならない。それを破ると本人や、場合によっては正々堂々の条件を破らせた者も苦しみ抜いて死ななければならないという強力な呪詛が杜佐の土地神から掛けられているのだった。

 しかし、相撲の勝負に関わりの無い殆どの杜佐の一般の人間にとっては、あって無い様な呪詛でもあった。祥之助達当の相撲取り達自身も、神事や試合として相撲を取る以外の場では神仏も呪詛も特には意識をする事も無かった。

「神々のお話については宮司殿達に譲りますが、御仏につきましてはですな――そもそもは! この日之許国から遥か遠く離れた西の大陸にあるヒヌドウ国、数千年前に彼の国の支配下にあった部族・サキヤ族の王子としてお生まれになったゴオタマ・シツダルータ様がですな……。」

 講談師を思わせる様な勢いで膝を打ちながら話し始めた照安和尚の様子に、祥之助は思わず逃げ腰になってしまっていた。

「す、すまん。数千年分の話を聞くのはまた次の機会にでも……。」

 そんな祥之助の様子に苦笑しつつ、覚証寺の潮地和尚が横から口添えをしてくれた。

「まあ武市様につきましては一先ずは、引き続き長屋の子供達を初め他人には親切に振舞い思い遣りを持ち、真面目に相撲に取り組む事を続ける――それが御仏の教えに沿う事になりましょう。」

「――何だ。そんな事でいいのか。それならば続けられそうだ。」

 照安和尚の方は話しが途中で終わらされた事に少し不満気だったが、潮地和尚の教えにほっとして頷いている祥之助の答えに一先ずは納得した様だった。

「そうですな――。まあ、いきなり一遍に多くの話を浴びせ掛けても身にはなりませんか……。機縁が熟せばもっと深い教えに接する事もありましょうか……。」

 そう言って照安和尚は仕方無さそうに溜息をつき、手元の湯呑に麦茶を注いで口にした。

「ちなみに彼の国の言葉を日之許の言葉に訳すと、ゴオタマ・シツダルータ王子という御名前のゴオタマは一番優れた牛、シツダルータは全ての願いが叶ったという様な意味らしいですぞ。そして王子の父であるスドゥーダナ王は清らかな白米――下世話に申せば美味い飯とか。」

 一応は仏に関しての知識も修めている園安宮司が祥之助へと笑いながら補足した。

「へええ、優れた牛の王子に美味い飯の王様っすか。」

 話を聞いていた利春が、王や王子の意外な名前の意味に感心した様に声を上げた。

「サキヤ族も日之許と同じく農耕、稲作を主体とした社会だったらしい。ヒヌドウ国の支配下ではあったがヒヌドウの大部分の人種と違い、サキヤ族は髪の毛や瞳は黒く、肌も我々の様に黄ばんだ色の人種だと仏典に伝わっておる。」

「へえええ。」

 照安和尚の更なる補足に、とっつきにくそうに思っていた仏に関する話も、祥之助達は何処か面白そうに思えてきていたのだった。

「まあ――さて。それはそれとして、話を戻しますが。」

 麦茶を飲み干し、照安和尚は再び真面目な表情で祥之助や明春達を見た。

「――実際問題として、今からの時期は塔京各地で夏祭りが多く開かれます。今更また似た様な事をしても埋もれてしまい、集客や金儲けには繋がりにくいのです。」

「成程……。」

 照安和尚からの世知辛い説明に、祥之助達も渋い顔をして頷いた。

「正式な相撲大会を開けばもっと客は集まるでしょうが、そんなものを開くだけの金もツテも我々には無いですからのう……。」

 照安和尚の言葉に続き、白髪頭を掻きながら園安宮司がそう言って大きな溜息をついた。

 国が――帝が認めている大きな相撲大会は年に何回か開かれ、相撲部屋同士で試合をするものや藩同士で試合をするもの、それらを問わないもの等、何種類か定められていた。

 それ以外にも豪商達が合同で勧進元になって開く私的なものに近い大会――精介の世界で言うところのスポンサーの付いた小・中規模で開かれる大会等も年間を通して時々開催され、人々の楽しみとなっていた。

「規模の大小は兎も角、相撲大会も夏祭りと一緒に合わさったりして町や村のあちこちで開かれますからのう……。」

 広保親方が突き出た腹を揺らしながら溜息をついた。

「あー……そうだな……。――あぁ~……!」

 広保親方の言葉に、不意に祥之助は数日前に浅右衛門爺やの言っていた今夏の杜佐藩お抱え力士達の予定を思い出してしまい、思わずめんどくさそうな声を上げてしまった。

 今月の――七月下旬には、塔京の外れにある藤枝原(ふじえはら)村という村の夏祭りに、杜佐藩のお抱え力士達の内の何人かが出掛けなければならない事になっていた。

 藤枝原村には武市家の大爺様、大婆様と呼ばれる長老格の者が何人か、その村を気に入って杜佐には帰らずに隠居後に住み着いていた。

 彼等が村を気に入ったのは、村の近くの山から取れる土が土俵を作るのに大変適しているからだった。相撲を司る武市家らしいと言えばらしい理由で長老達は村に住み着き、塔京近辺の主だった藩の土俵への土の販売の仲立ちもして村を潤わせていた。

 村では二~三年に一度、土俵の土の恵みをもたらしてくれる山神への大きな祭礼が執り行われていた。その神事の一環と村の夏祭りを兼ねて、杜佐藩のお抱え力士達の内の何人かが浅右衛門爺やと共に村祭で相撲を取る為に出掛けていたのだった。

 他にも牟津(むつ)藩藩邸のお抱え力士達といった、杜佐藩以外にも長老達と交流のあった藩の力士達も祭には呼ばれていた。

 祥之助も一応は武市家に籍を置いている為に、今年は武市家の人間として、また杜佐藩お抱え力士の一人として藤枝原村へと出掛けなければならない事になっていた。

「――そう言えば今年はそうでしたのう。大爺様達はお変わり無いですかのう……。」

 祥之助のめんどくさそうな声の理由を聞いて、広保親方と宗兵衛親方は武市家の長老格の面々を思い出し、懐かしそうに目を細めた。

 二人共現役時代は杜佐藩のお抱え力士として彼等の世話になる事も多かった。

 広保親方達が昔を懐かしがっている横で、祥之助はまためんどくさそうに溜息をついた。

 今までであれば杜佐藩邸から離れて余所の村へと泊りがけで出掛けるという行事は、旅行の様で楽しみでもあったのだが――結三郎を強く慕わしく想ってしまっている今は、例え数日の旅であっても結三郎の居る場所から離れるというのは憂鬱な出来事となってしまっていた。

 結三郎――の姿を思い起こしたところで、高縄屋敷で入場券を渡してきた結三郎の姿を思い出し、祥之助は照応寺の皆にも活動写真の入場券を預かってきていた事を思い出した。

「あー、更に話が逸れてすまんが、島津結三郎殿から春乃渦部屋のみんなに活動写真の入場券を預かってたんだった。宮司殿達が来てるとは思ってなかったので少ししか今日は持って来てないんだが……。」

 宮司達が来ているとは思っていなかったのでそんな言い訳をしながら、祥之助は袂から券を取り出した。

「ほほう、活動写真ですか。」

 照安和尚が代表して祥之助から券を受け取り、広保親方や明春達へと渡していった。

 和尚や明春達もまた、小松波之助の姿が色鮮やかに印刷された券面を興味深そうに覗き込んでいた。

「ここに来る前に力士長屋にも寄って、長屋の皆に入場券を渡してきたんだ。おかみさん達が、近い内にみんなで麻久佐に出掛けたいって盛り上がってしまっていてな……。」

 おかみさん達や子供達が嬉しそうに盛り上がっていた様子を思い出し、祥之助は微笑まし気に顔を綻ばせた。

「あ~。竹雄とか太一郎達が絵本に夢中になってたヤツだな~。」

 「お野菜剣士」という題名を見て、明春が長屋の子供達が楽しそうに読んでいた絵本を思い出した。

「そうか。長屋の皆もか……。――どうせならば長屋の者達と日を合わせて稽古を休んで出掛けるとするか。」

 広保親方の言葉に利春や春太郎達が嬉しそうに声を上げた。

「やったー! 休みだ!」

「麻久佐行くなんて何年振りだろうな。」

 そう言ってはしゃぐ利春達の様子を、潮地和尚達も微笑まし気に頷きながら眺めていた。

「ああ、子供と言えば……武市様、もし差し支えなければ「科ヶ輪地域神社子供会」の子供達の為にも入場券を融通してもらえぬでしょうか?」

 明春達の話している力士長屋の子供達の様子に、園安宮司が神社の子供会に所属する者達の事を思い出し、申し訳無さそうに祥之助へと頭を下げてきた。

「子供会の管理自体は科ヶ輪神社が行なってはいますが、それはそれとして子供会や科ヶ輪神社の関係者にもこの様な楽しみを体験して欲しいと思いまして……。」

 宮司達としては、神社同士の交流の中で関わる事も多い子供会に所属する子供達やその保護者達にも活動写真の様な頒明解化による進んだ娯楽も楽しんでもらいたいと思っていた。

 園安宮司の言葉に続き昭文宮司も言い添えた。

「券の代金は幸い高価ではない様ですし、何とか科ヶ輪神社から支払う様に掛け合いますので……。」

「ああ判った。――あ、代金は要らんだろ。今日持って来た券もタダで貰ったもんだしな。結三郎――あ、いや島津殿が、何か今回の活動写真は儲けよりもコクミンへのケイモウがどうとかこうとか帝が言っていたとか何とか……。だから足りなかったらまたタダでくれるって今朝も言ってたしな。」

 祥之助の鷹揚で大雑把な言葉に宮司達も和尚達もいまいち理解し切れないところもあり、少し首をかしげながら聞いていた。

 和尚達の疑問に思っている様子に気付き、祥之助は慌てて言葉を足して説明し直した。

「あーすまんすまん。えーと、同時上映の図書館の使い方を教える活動写真の方を帝は国民の多くに見せたいらしくてな。「お野菜剣士」は何と言うか客寄せの為の方便で。兎に角、そういう活動写真を皆に見てもらいたいというのが一番の帝の考えだと言う事で、入場券はタダで配ってもいい位に思ってるみたいなんだ。だからさっきの力士長屋の連中の分についても、足りなかったら遠慮無く言ってくれていいと島津殿も言ってたしな。」

「成程、そうだったのですか……。」

 園安宮司達がやっと納得したという様子で祥之助の言葉に頷いた。

「それはそれは何とも帝の広い御心でございますな。有難い事です。」

 潮地和尚や昭文宮司達も、帝の国民への心遣いにしみじみと感じ入った様子で頷いていた。

「まあまた明日か明後日にでも三十枚か――いや五十枚位、博物苑で貰ってくる。それだけあれば子供会の子供とか保護者とかにも充分行き渡るだろ……っ、あっ!そうだ。」

 祥之助は照安和尚達に言いながら――博物苑の事を口にしたところで、先月の覚証寺の夏祭りの時に結三郎が言っていた事を思い出した。

「?」

 祥之助の様子に皆が訝し気な目を向けたが、祥之助は今思い出した事を皆に説明した。

「あー、えーと、島津殿が言ってたんだけど。出張博物苑って言って、博物苑から珍しい動植物を持って来て、それを照応寺とかに展示したり、後何か動物に芸をさせたり、薬草を販売するとか何とか……。そんな催し物を島津の前の殿様が寺とか神社への手助けの一つとしてやってみたいって言ってたんだった。こないだの夏祭りの相撲大会の時に。」

「何と! 島津様が!?」

 和尚達は祥之助の話を聞いて驚いた。

 島津茂日出が帝と学問研究の遣り取りを親しく行ない、博物苑と言う研究施設を高縄の町に構えている事は広く知られてはいた。

 だが、博物苑の動植物を広く一般の人々にも見せて、それを寺社の支援に繋げようという心遣いがあった事を和尚達は初めて知ったのだった。

「――まあ、帝も学問に熱中しつつ、その成果を娯楽の楽しみに応用される御気性。その帝と親しく関わりをお持ちであれば、出張博物苑とやらを思い付かれるのも当然と言えば当然かもしれませぬなあ……。」

 茂日出公の寺社への思い遣りの気持ちに昭文宮司は笑みを浮かべ、感じ入っていた様子だった。

 ――例えば頒明解化以前にも火薬の一応の知識はあり、簡易的な鉄砲を製作する技術もあった。しかし様々な物質を組み合わせた火薬の配合の知識や、遠距離に到達させ大きな爆発を実現させる為の知識は、銃火器類の発展ではなく、それまでにもあった花火をより人々が楽しめる様にする為に活用された。

 或いは新しくもたらされた、人の顔や景色を色鮮やかに本物の様に再現して印刷する写真印刷技術――悪用の一例として、王侯貴族等の顔を暗殺者が確実に情報共有して暗殺に役立てたり、敵国の軍隊や基地の地形の様子等についての精度の高い情報収集に役立てる事も出来たが、それらは芝居の俳優の格好良い姿や景勝地の風景を楽しむ為のものとして使用されていた――。

 当然、活動写真――人物や風景を記録した動画についての技術や知識も、帝のそうした意向を強く反映し、人々の娯楽の為に供されていた。

「まあ、そんな感じで出張博物苑については、茂日出公も賑やかな事が好きだとか言ってたし、前向きに考えてくれるんじゃねえかな。」

 祥之助は麦茶を飲みながら楽天的な考えを口にした。

「俺から結三郎に少し訊いてみるから。もしホントにやってもいいという感触だったら、和尚達が改めて相談にいったらどうだ?」

 祥之助の言葉に照安和尚達も前向きに考え始めた様だった。

 寺社の本分は催し物商売ではないが、門前市や縁日等を提供する場としての役割も昔から少なからず担ってきていたので、人々が寺社で楽しむ催し物の全てを和尚達も否定するものではなかった。

「そうですな。大丈夫そうであれば私達からきちんと島津様に相談にあがる事としましょう。」

 照安和尚の返事に祥之助も満足気に頷いた。

 またこれで結三郎に会う口実が出来たと、内心に喜びが湧いていた。

「よし、明日にでもまた高縄屋敷に行って結三郎に相談してみよう。」

「有難うございます。」

 和尚達に礼を言われ頼られて満更でもない様子で、祥之助はその日は機嫌良く杜佐藩邸へと帰っていった。



 精介の方は、放課後になると部室での自主勉強会に顔を出し、部の皆と一緒に試験勉強に毎日真面目に励んでいた。 

 しかし――学期末試験まで後三日となったところで、今一つ勉強に集中し切れなくなり、何となく気力が湧かないと感じ始めていた。

 今日の授業も終わり、生徒達は幾らかの解放的な気持ちを感じながら帰り支度を始めていた。

 精介も軽く伸びをすると、机の上を片付けて帰り支度をし始めた。

「ん? 今日はもう帰んのか?」

 隣のクラスの上西が廊下を通り掛かり、スポーツバッグを背負った精介に声を掛けてきた。

 上西の方は今日も、これから部室に行って自主勉強会に参加する予定だった。

「ああ。今日は家で勉強するから、部室の方は行かないって監督に言っといてくれ。」

「ん。判った。」

 精介に伝言を頼まれ、上西は苦笑しながらも引き受けた。

 この前の相撲大会で三年生達の部活は一応引退という事になっていた。

 ただ大学の付属高校と言う特性もあり、夏の引退後も部活へは自由参加と言う事で好きに顔を出せばいいという緩やかな扱いになっていた。

 部室を使っての自主勉強会も出たければ出ればいいし、用事があったり自分で勉強したければ無理に出て来なくてもいい――そんな風になっていたので、精介の様に義理堅く一々連絡しなくても本来は良かったのだったが。

 後は――そうしたちょっとした連絡事項は通信アプリを使用して、一言書き込めば事足りるのだが、精介はまだまだそうしたものを使いこなす事は出来ていなかった。

 自転車に跨り、さっさと学校を後にして帰路を急ぐ今日の精介の頭の中には結三郎の事しか無かった。

 「門」を部屋の中に設置して以降、日之許から用件を書かれた手紙が時々「門」から押し出されて届き、また逆に精介からも特に結三郎に宛てて短い手紙を送り出したりしてごく簡単な遣り取りが続けられていた。

 だが――。

「結三郎さん成分が俺には不足している……。」

 きりっと凛々しい太眉で整った目鼻立ちの男らしい顔立ちではありながらも、優しさと愛嬌を感じさせる丸顔に、日々の鍛錬で作られたがっしりとした筋肉と薄くまろやかな脂肪で形作られた体躯――。

 そんな結三郎の姿をきちんと目で見て感じ、声を聴き、体を触り――触れ合いたい。

 試験勉強をきちんと頑張る様にと言う結三郎の手紙による励ましもあり、ここ暫くは精介も日之許に行くのは自粛していたが。

 しかし精介の場合は却って能率が落ち、今一つ試験勉強は捗っていなかった。

 結三郎に会って結三郎成分を補給すれば、きっと勉強も捗るに違いない――。

 精介はそう言い訳して、今日は高縄屋敷の方に出掛ける事にしたのだった。

 帰宅するとすぐに精介は制服をベッドの上に脱ぎ散らかし、Tシャツとハーフパンツに素早く着替えた。

 教科書やノートを詰めたままのスポーツバッグを再び背負い直すと、台所の隅の壁に設置されている「門」へと身を屈めて潜り込み高縄屋敷へと向かったのだった。



「こ、こんにちは~。あ、こんばんは…?」

 まだ少し慣れない感じのする薄青い光の揺らぐ幕をおっかなびっくりで通り抜け、精介は向こう側――高縄屋敷博物苑奥苑の研究室にやって来た。

 「門」から出て精介が立ち上がると、時空の穴の制御を行なっている装置の表示を監視していた中別府が少し驚き、戸惑った目を精介へと向けてきた。

 今日は中別府が「門」を設置した研究室に詰める当番の日だった。

「こんにちは……。今日は来られるご予定でしたか? 申し訳ありません。特には今日は申し送り事項には何も無かったので……。」

 戸惑いながら頭を下げてくる中別府に精介は慌てて謝った。

「いやいや、こっちこそすんません。ちょっと急に思い付いただけです。試験勉強を場所を変えてやろうかと思って……。」

 大きく手を振って頭を下げつつも、ちらちらと辺りを何か探している様に視線を散らしている精介の様子に、中別府は思わず苦笑した。

「ああ……。確かに結三郎様がいらっしゃれば捗りそうですね。」

「ええっ! いやいやいやそんな。」

 すらりと背の高い中別府の苦笑混じりではありながらも、微笑ましそうに精介を見下ろす様子に、精介は焦って頭を横に大きく振った。

「今日は結三郎様は表苑の通常業務になっています。しかしまあもうすぐ終業の時刻ですし、奥苑の仕事が入ったと言う事でお呼びしましょう。」

 時刻はもう夕方になっており博物苑の仕事は終業が迫っていた。

 精介の世界を観測し易い様にという理由等から、「門」を繋げた後日に精介の世界と日之許の世界の流れる時間を改めて更に細かく同調させ、どちらの世界でも時刻の移り変わりは同じ様になる様に調整されていた。

「あ、仕事の邪魔しちゃ悪いんで、きちんと仕事が終わってからでいいっす。」

 結三郎を気遣い精介が断ったが、中別府は精介を安心させる様に微笑んだ。

「御気を遣われなくとも大丈夫ですよ。迷い人――ああ、もう迷い人ではありませんでしたね。異世界からの御客人との関わりは、充分に博物苑の仕事ですから。」

「そ、そうっすか……?」

 申し訳無さそうに精介は中別府を見上げた。

 中別府は手元の銀板のキーボードを叩いて結三郎へと呼び出しの連絡を行なった。

「結三郎様が来られるまで少し時間が掛かる様ですので、ここで御待ち頂けますか。」

 モニターの隅に結三郎からの返事が表示されたのを見て、中別府は鳥居の形をした「門」に立ったままの精介を促し、少し離れた作業台の前へと誘導した。

 簡素な木製の椅子に精介は腰を下ろすと、背負っていたスポーツバッグも床の上に下ろした。       

 取り敢えず、時間潰しも兼ねて真面目に試験勉強をする事にしてバッグの中から教科書を取り出した。

 何かの機器や、精介の世界と余り変わらない雰囲気のモニターやキーボードを避けて、何冊か教科書を机の上に置くと試験範囲のページを読み始めた。

「――……。」

 精介から少し離れた場所に座りながら中別府はモニターの表示を色々と確認していたが――何処か落ち着かない様子で精介の前に積まれた教科書をちらちらと盗み見していた。

「あ……。よかったら読みますか?」

 精介は中別府の挙動に気が付き、苦笑しながら声を掛けた。

 奥苑の鳥飼部達が学問研究に熱心なのは精介も既に知っていた。

 そんな彼等にとっては、精介には退屈でつまらない学校の教科書も異世界の知識を記した興味深い書物になるのだと――今更ながら気が付いた。

「あ、よかったらどれでも好きなのをどうぞ……。」

 今机の上に出していたのは古文、漢文、現国の三冊だった。精介は中別府の方へとそれらを差し出した。

「山尻様の世界の古典文学ですか……。今喋っている言語は日之許と同じなのに、古い時代の言葉は少し違っているのですね……。」

 古文の教科書を中別府は手に取り、軽く捲りながら感心した様に頷いていた。

 精介よりも中別府の方が熱心に読み始めたので、精介は邪魔しない様にしながら現国の教科書の試験範囲の部分のページを開いた。

 精介と中別府がそれぞれ教科書を読み始めてから然程時間が経たない内に、足早に結三郎が研究室へと入ってきた。

「すまない。少し遅くなったか。」

 急いで来た様で、僅かに息を切らしながら結三郎は精介に軽く頭を下げた。

「何か急用でもあったのか?」

 心配気に尋ねながら結三郎は精介と中別府の腰掛けている作業机の方へとやって来た。

 結三郎の様子に精介も申し訳無さそうに謝った。

「す、すんません……。特に急ぎの用事があった訳じゃなくて。――その、ちょっと場所変えて気分転換しながら試験勉強しようと思って……。」

 結三郎さんの顔も見たくて……と小声で言い足した言葉は結三郎には聞こえていなかった様だったが。

「何だ、そうだったのか。それなら静かで落ち着いた所の方が勉強し易いだろう――まあ、奥苑の建物は大体何処も静かだが……。」

 精介が急用でなかったと聞いて結三郎は安心し微笑んだ。 

「ここの廊下の向こうの端の小会議室なら窓も大きくて眺めもいいし、夜も照明があって庭園も見えるし、そこがいいんじゃないか?」

「は、はい!」

 結三郎の提案に精介は嬉しそうに立ち上がった。

 バッグに教科書を戻そうとすると、中別府が実に残念そうに肩を落とした。

「ああ……燕の子安貝が……。」

 竹取物語を読んでいた様で、中別府は名残惜しそうにそんな事を言いながら精介へと古文の教科書を返した。 

「す、すんません……。今度コピーして持って来ます。」

 中別府の様子に苦笑しながら精介が古文の教科書もバッグへと仕舞い込むと、精介の言葉に中別府は閃くものがあった様だった。

「そうか、複写と言う手がありましたな! ――山尻様が一つの教科書を読んでいる間に、他の教科書を複写させていただきたいです。」

 コピーという外来語は日之許にもある様で、中別府は教科書の複写を提案してきた。

「それは山尻殿に迷惑なのではないか? 余り無理を言うものでは……。」

 中別府の提案を結三郎は困惑しながら咎めた。

 中別府も精介に迷惑が掛かりはしないかと気遣いつつも、しかし異世界の学生の教科書への興味は抑え切れない様だった。

「結三郎様、しかし異世界の書物ですよ! 幸運にも日之許と同じ言語で書かれている! 読みたくはないのですか?」

「――それは是非とも読んでみたいものよのう。」

 いつの間に来ていたのか、結三郎達の背後から中別府と同様の興味深げな声が聞こえてきた。

「殿!」

「義父上……!」

 中別府と結三郎が振り向くと、筋骨隆々とした大柄な初老の男の姿があった。

 島津茂日出――佐津摩藩前藩主で結三郎の義父であり、佐津摩藩別邸・高縄屋敷の主だった。

「今日は見田の本邸にお出掛けだったのでは?」

 佐津摩藩藩邸は見田の町にあり、佐津摩藩の塔京での帝や大臣達との政治業務の遣り取りは

そちらで行なわれていた。

 茂日出は佐津摩藩の政治業務に関しては既に引退しており、見田の藩邸にはそこで働く者達への学問の講義や藩邸で飼育している動物達の管理業務に関する事で出掛ける事が主な用事となっていた。

「ああ、予定より早く終わったのでな。たまには結三郎と夕食でもと思ったら奥苑に呼び出されたと聞いたのでな。」

 そう言って茂日出は、椅子から腰を浮かし掛けたままの体勢で固まっている精介を一瞥した。

「何の用事かと思えば此奴が来ていたのか。」

「――こっ、ここ、こここんばんはでございますっ。」

 茂日出自身は威圧するつもりは無かったものの、その心身から放たれる圧力に精介は竦み上がってしまっていた。

「うむ。」

 茂日出は精介に頷き返し、バッグに仕舞い掛けていた教科書を指差した。

「夕食を摂っている間にその書物を複写して、希望者に配ればよかろう。何、さして時間は掛かるまい。」

「は、はははい。ど、どうぞ。」

 茂日出に乞われるまま精介は強張った動作で教科書を差し出した。

「うむ。――中別府よ。」

「有難うございます。では早速複写して参ります。」

 茂日出の言葉に中別府が代わりに教科書を受け取った。

「ああ、食事は結三郎の言っていた小会議室に。三人分。」

「かしこまりました。」

 茂日出からの指示に頭を下げ、中別府は教科書を抱えて研究室を出ていった。

「え? 三人?」

 精介が思わず疑問の声を上げたが、むしろ茂日出から疑問の声を返された。

「息子とその友人と夕食を取るのに何か?」

「い、いえ! 何でもないでございますっ。」

 決して茂日出は威圧や恫喝をしているという訳ではなかったが、頭上の大柄な影から声を掛けられると精介は無意識の内に身を竦ませてしまっていた。

 精介にとっては少し連行されていく様な気分を感じてしまいながら、茂日出に先導されて結三郎と共に廊下の向こうにある小会議室へと向かった。



 小会議室は「紅羊歯(べにしだ)の間」と小さな表札が入口の引き戸の横に掲げられていた。

 この前の精介が元の世界に帰る日に使用した「睡蓮の間」とは違って、こちらは板張りの作りで白木の木製の長机と椅子とが置かれた如何にも会議室らしい印象の部屋になっていた。

 精介達が椅子に腰を下ろしてから然程時を置かず、夕食の盆が三人の鳥飼部達によって運ばれてきた。

「では頂くとするか。」

 鳥飼部達が去っていき、茂日出は箸へと手を伸ばした。

「は、はい。頂きます……。」

 どうにも居心地の悪い様な思いをしながらも精介も箸を取り食事を始めた。

 丼大盛りの白米に、大皿に盛られた揚げ鶏と酢・薬味野菜の和え物の大盛り――精介の世界での油淋鶏に近い料理の様だった――、豆腐とわかめの味噌汁、そして白菜の漬物も小皿ではなく中皿に盛られていた。

 大柄な茂日出やお抱え力士でもある結三郎に合わせた食事の量は、相撲部員である精介の胃袋にとっても丁度良い多さではあったものの――。

「……。」

 会議用の長机を挟んで目の前に茂日出が座っている中では、精介は緊張してしまい食事の進みも遅くなってしまっていた。

 恐らくは美味な筈の揚げ鶏の味も、薄ぼやけたものの様になってしまっていた。

「遠慮せず食べてくれよ。お代わりもあるし。」

 そんな精介に少し気の毒そうな目を向けつつ、結三郎はなるべく緊張を解そうと声を掛けた。

 茂日出に悪気が無くとも、知らず放たれる気迫や圧力の様なものは慣れていない人間にはきついものがあった。

「ああ、そう言えば力士長屋や春乃渦部屋の皆とは私も暫く会っていなかったな。試験が終われば一緒に遊びに行きたいものだな。」

「は、はい! 是非! ――みんな変わり無いっすかね?」

 結三郎の言葉に精介も大きく頷いた。

 精介が日之許の世界に転移事故でやって来て――男色で悩んでいた精介の心も助けてくれた人達の温かさは、精介にとっては決して忘れる事の出来ないものだった。

「あ、祥之助さんも変わり……無さそうっすね、あの人は、何か。」

 結三郎程ではないが祥之助に対しても精介は憧れや慕わしい思いを抱いていた。やんちゃ坊主の様な明るさや朗らかさと、結三郎と相撲を取っていた時の真剣に集中し切った様子は精介の心を掴んで離さないものがあった。

「そうだな。祥之助殿は今日も相変わらずだったな。」

 高縄屋敷の会計係の所で出くわした時の祥之助の様子を思い出しながら、結三郎は苦笑を浮かべつつも――それには温かなものも混じっていた。

 結三郎からの話し掛けで多少緊張も解れ、精介の食事も進んでいった。

「――試験が終わったらホントは毎日でもこっちに来たいんすけどね……。」

 多めに盛り付けられた白菜の漬物を齧りながら、精介は軽く溜息をついた。

 三日後に期末試験が始まり――二~三科目ずつ四日間行なわれ、それから夏休みに入る。

 二年生までの部員は試験後は毎日の様に部活があり、八月に入ってすぐの時期に四日間程の合宿があるというのが例年の流れだった。そして秋――九月下旬にはまた県大会がある。八月の夏休みはそれに備えての稽古に気が抜けないものとなっていた。

 ただ、精介達三年生は引退してしまっているので、夏休み中の合宿参加も部活参加も完全に本人の都合というか気分に任せるという緩い扱いとなっていた。

「成程、その様な予定となっているのか。」

 期末試験後の予定等について精介から聞きながら結三郎はふむふむと頷いた。

「今年は去年程には必死こいて部活に参加しなきゃならない訳でもないんで――バイトとかもしたいかな……とか。」

 日之許に毎日の様に来て結三郎と過ごしたいというのが精介の一番の本音ではあったが、テレビやビデオカメラの購入や、自分の世界の結三郎とのデート――いや探検調査の為の費用も用意する為には、やはりバイトにも励まなければならない。

 そんな事を考え、精介はそっと溜息をついた。

「成程。――まあ何にしても早く試験は終わって欲しいものよのう。」

 息子と友人のお喋りを傍らで見守っていた茂日出が、食事を終えて箸を置いた。

 それからなるべく威圧感を与えない様にと精介を直視しない様に心がけつつ、茂日出は精介へと話し掛けた。

「学生の身分故、そちらの世界ではお主も色々と制限多き身の上だとは承知しておる。お主の懐事情についても察するものはある。」

「は、はい……。」

 突然の茂日出からの言葉に精介は返事をしつつも、意図が読めず軽く首をかしげた。

「まあ、それを踏まえた上でお主に提案したり相談したい事があるのだ。」


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メモ書き


 多くの地域で梅雨明けになり命の危機を感じる暑さが始まりましたが皆様如何お過ごしでございましょう。

 ヲカマのオッサンは何とか新型コロナから回復し、仕事にも復帰しましたが、どうやらごく軽度ではありますが後遺症の様なものがだらだら続いています。

 まず嗅覚が損なわれたままで、匂いや味が判る物と判らない物があって、好きな紅茶に関しては判らなくなってしまい苦いだけの湯水となってしまい気持ち的に大ダメージですワヨ。味噌汁とか野菜炒めとかは大体は判るのですけども。おやつのビスケットとかも全然味がしなかったし。

 で、後は例えていうなら、風邪の引き始めの初期症状の様な、何か変だとか何かふらふらしてしんどいかな眩暈かな、というようなごく微量のしんどさ――これがずっと続いている様な状態です。御蔭でパソコンのモニターを見続けたり紙の書類を見続けたりするのがすぐにしんどくなって仕事の能率の悪いことこの上も無しです。


 さて本編本文のメモ書き的なアレですが。本文内の仏道についての描写、数千年は小説内の設定ですが、お釈迦様に関する事柄は現実世界で調べた事を参考にしております。美味い飯はちょっと飛躍的意訳ですが、お釈迦様の父であるスッドーダナ王はほんとに「清らかな白米」という意味で、中国経典等での表示はそのまま「浄飯王」なんですね。お釈迦様の本名ゴータマもホントに牛の意味であります。稲作の際に牛を利用して田畑の耕耘を行なっていたというような、昔の日本に近い様なイメージなのでしょうかね。

 

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