第36話 スノードロップと変わる日常


「そろそろ、パーティ名の名前をつけては如何でしょうか?」


冒険者ギルドの受付で呼びとめられた。


「え~と、パーティ名ですか?」


「そうですよ!ツバサ様の所も今や仲間が3人、合計4人なんですから、そろそろ如何でしょうか?」


「パーティ名ですか…そうですね…」


確かにそうだ。


パーティ名か…どうするかな?


「皆!どうしようか?」


「ご主人様にお任せします」


「ツバサ様のお好きな様に」


「ツバサお兄さんに任せるよ」


なら、簡単だ。


「スノードロップで!」


「スノードロップ?随分変わった名前ですね」


『雪の雫』雪乃様に何となく似合うし女性ばかりのパーティだからこちらも、似合う気がする。


「女性ばかりのパーティですから…」


「畏まりました!それではスノードロップで登録させて頂きます」


こうして僕たちのパーティはスノードロップと言う名前に決まった。


◆◆◆


なんだか様子が可笑しい気がする。


何時もの様にダンジョンでの討伐が終わり、酒場で4人で食事をしようと思ったのだが…


「悪いが、食事はよそでしてくれないか!」


混んでいるのか…一瞬そう思ったが、どう見ても店は空いている。


いや1/3も埋まっていない。


三人は当たり前の様に席を立とうとしたが…


「何故ですか?どう考えてもすいているし、昨日までは普通に食事させてくれ…」


「あのな…今迄はお情けで普通に接してきたが、お前等が居ると他の客が嫌がるんだ…ほら!」


確かに以前からチラチラとこちらを見る目はあった。


忌々しい顔で睨む存在も居た。


だが…いや、マヤさんが言っていたじゃないか?


◆◆◆


『それにこのお店は私に普通に接してくれる数少ないクランのお店なんです』


『自然と余り関係ないクランなんで、安心して買い物が出きるんですよ』


『風を司る神様のシルフィ様や大地の神様ノール様関係からは嫌われています…基本、自然を司る神様のクランが関わるお店からは嫌われています』


◆◆◆


そうだよな。


マヤさんだけでも結構嫌われていたんだ。


それが今や3人、当たり前だ。


良く回りを見れば、この店にはエルフもドワーフも居る。


「そうか…解った!もう二度と此処には来ない!だけど、この世界の神様やそれを信仰する者って随分と器量が狭いんですね…あ~あ、本当に嫌だな、マヤさんの一族なんて許されているのに、まだ根に持って…」


「お前」


「うるせーな!こんな店二度と来ねーよ…じゃぁな」


此処迄言う気は無かった。


この店の主だって『仕方ないのだろう』


商売をしている以上『客は大事だ』


他の客が俺達が居て嫌な思いするなら排除したくなるのは当たり前だ。


だが、三人の悲しそうな目がつい僕にこの暴言を言わせた。


「そうかい?! そじゃもう来ないでくれよ」


『何かが変わって来た』


そう感じるのは僕の気のせいだろうか…


「それじゃ他の店に行こうか…」


僕たちは酒場を後にした。





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