第24話 2階層へ


今日は2階層まで降りてきた。


いよいよ今日はオーガを狩る。


「ご主人様、緊張しているのですか?2階層はオーガが現れますが、ご主人様の力なら余裕です!ご安心下さい」


確かにそうなのかも知れない…だが僕は一度死にかけたからなのか安心が出来ない。


あの時は一方的にやられてしまった。


一度、死んだ…そう言っても可笑しくない。


「僕は一度オーガ相手に死にかけてね…少し苦手なんだ」


「そうですか? それじゃ直ぐに慣れないといけませんね…あっ早速ですが、前方から魔物が、オーガです」


「よーし、やるかーーっ」


気合を入れてオーガに接近戦を挑んだ。


オーガはこん棒を振るってきたが、これなら余裕で避ける事が出来る。


レベルが上がったからか、ジョブがあるからか、はたまたマヤさんが作ってくれた武器のせいか、余裕で戦える。


あれ程怖かったオーガが最早オークと変わらない。


こん棒を数回避けたあと、短剣をお腹に斬りつける。


流石に1度じゃ無理だ。


2回、3回斬りつけるとオーガは霧散して魔石になった。


「ねぇ、余裕だったでしょう?」


「確かにそうだね!一度殺され掛かったからオーガを過大評価をしていたみたいだ…」


「そうですよ!ご主人様なら4階層までなら余裕です、恐らく一対一ならミノタウルスでも倒せる筈です」


最早、オーガは強敵では無かった。


「まぁ無難が一番だから無理する必要は無いよ…オーガが狩れるなら暫くはそれで充分だし」


「ご主人様はお金は最低線で良いのですから、確かに無理する必要は無いですね!」


「その通りだよ」


別に勇者でも英雄でもないから、義務は何も無いし、なにかあった時に困らない、身が守れる力と最低線の収入があれば充分だ。


だが…これが難しい。


思った以上に稼げてしまう。


普通ならラッキーなのだろうが、僕の場合は、余りお金を稼ぐと不味いから…


随分な贅沢な悩みだよな。


「ご主人様、左からオーガ2体来ます!」


2体のオーガ…



あの時の僕はなすすべも無く勝てなかった。


だが、今の俺には全く問題が無い…


「そりやぁぁぁぁーーー」


2体のオーガのこん棒を躱しそのまま片方のオーガの足を斬る。


オーガの片足が宙に舞いそのまま崩れ落ちてきたので下がった首を斬り落とした。


「うがぁぁぁぁぁーーーっ」


もう一体のオーガがこん棒を振り回してくるが。


大ぶりな動きなので簡単に躱して懐に潜り込んで腹に短剣を突き刺し一気に引いた。


2体のオーガは霧散して魔石へと変わった。


気がつくと今日一日でオーガを9体狩っていた。


「そろそろ引き上げるか?」


「そうですね」


無難が一番な僕達は、まだ冒険者が多数いるダンジョンを後にした。


◆◆◆


「ステータス」


名前:クロキ ツバサ

職業:劣化勇者(器用貧乏)

状態:正常

レベル:20

HP:340/340 → 510/510

MP:200/200 → 360/360

守護神:黒闇天(雪乃)

永久従者:マヤ(廃棄不能)

スキル:翻訳、収納、無病息災(常時発動)、恋愛成就(常時発動)、心願成就(常時発動)、貧乏小(常時発動)

魔法:劣化聖魔法  劣化光魔法(器用貧乏により変化)

アイテム: ポーション×2 銀貨1枚 銅貨5枚


「ご主人様、レベルはどうですか?」


「レベル20に上がったよ」


「凄いですね、やはり異世界人なだけありますね」


異世界人は神から特殊な祝福を貰うから、この世界の人間よりレベルが上がりやすいそうだ。


今、僕はマヤさんと一緒に街をぶらついている。


雪乃様が僕に「とびっきりの仲間を用意してくれる」そう言った。


こうして、歩いていれば出会えるかも知れない。


「なかなか出会いが無いなぁ~」


「そうですね、ですが私はジークの民です!幾ら神である雪乃様でもそう簡単に、私とのパーティを受け入れてくれる仲間なんて見つからないと思いますが…」


普通に考えたらそうだ。


だけど、雪乃様の事だから、きっと見つけてくれる。


そう思えてならない。





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