第9話 ダンジョン都市 ギルメド


ダンジョン都市ギルメドまでは約2日間歩けば着くそうだ。


僕は、ジムナ村で保存食を買い、極力歩き詰めで向かう事にした。


道は街道沿いに真っすぐ歩くだけなのでまず迷う事はないそうだ。


しかし街がこんなに近いと思わなかったな。


たった2日間歩くだけで着くのか?


てっきり1週間以上歩くのは覚悟したんだけど…近いんだな。


途中、ゴブリンに数回遭遇するが、街道沿いなせいか向こうが逃げ出した。


そして、何も問題が起きることなくギルメドに着いた。



◆◆◆


でかいな…


てっきり小さな街かと思っていたが、ギルメドは凄く大きな街でまるで万里の長城の様に大きな壁に囲まれていた。


よく考えたら都市というのだから、それなりの規模でも可笑しくない。


多分、あそこに並べば良いんだろう…


行列が出来ている場所に並んだ。


しかし…この世界って神様が沢山居るんだな。


見た感じ何処もかしこも神様だらけな気がする。


「私の事を見つめてどうかしたのか?」


オリンポスの神々に似た服装の神様に声を掛けられてしまった。


「いえ、神様が並んでいるので驚きまして…つい…」


「成程、黒目、黒髪…異世界人だな! はははっ勘違いするのも無理もない!私はアポロニアクランに所属している冒険者ガイという者だ! この服装は、偉大なる神。アポロニア様を模した物なのだよ!此処に並んでいる者も皆、同じような者で自分の信仰する神様に合わせた服装をした者だ! 神様は基本的には滅多に人の世界には来ない」


「教えて頂いてありがとうございます」


「神に見えた!というのは我々には褒め言葉だよ、おっと順番が来たみたいだ、君、名前は!」


「ツバサと申します」


「そうか!アポロニア様は薬を司っている神だ!病や怪我で困ったらうちのクランを訪ねて来いよ!それじゃあな!」


そうか、神様だと思っていたのは神様から祝福を受けた人だったのか?


ある意味僕と同じだな。


順番がくると見た感じからして、衛兵という感じの男性が声を掛けてきた。


「身分証明書の掲示をお願い致します」


「冒険者証で良いですか?」


「大丈夫です」


冒険者証を見せるとすんなり門を通してくれる。


「大変だと思いますが、此処ブリエールも悪い世界じゃない!ギルメドはチャンスの街だ頑張れよ!」


何故、僕にだけこんな言葉を掛けるんだ…


あっ、そうか、『身なり』か?


うん? 確かに裕福そうな人間が多いが、僕より貧しそうな人も居た。


考えても仕方が無い!行くか。


◆◆◆


いや、凄いな!


外から見ても凄かったけど、大きな都市にしか見えない。


木ではなくレンガ造りの3~5階建ての建物が建っており、道路も場所によっては石畳になっている。


実際には行った事無いけど、良く漫画やライトノベルで見る、中世で開けた街並みに見える。


まずは、冒険者ギルドに顔を出して見るか…


ギルダーさんの話じゃ『まずは冒険者ギルド』それが鉄則らしいから…


◆◆◆


「ダンジョン都市ギルメドの冒険者ギルドへようこそ!今日はどういったご用件でしょうか?」


うん、異世界のギルドってライトノベルだとこんな感じだよね。


耳が長いし明らかにエルフって感じの美人だ。


「今迄、ジムナ村で冒険者をしていたのですが、此処での注意とか教えて貰えると助かります」


「はい、まずは、ギルメドで仕事をするには再度冒険者の登録が必要となります!此処での仕事の殆どはダンジョンでのお仕事で、魔物も強い物が多いのです!その為、神からの祝福を受けた存在以外は基本潜る事を禁止しています」


強い魔物?


まだ、ゴブリンとスライムしか倒した事が無い僕で大丈夫かな…


「そうなのですか?」


「はい、異世界人の方には解らないと思いますが神から祝福を貰える方はある意味選ばれた人です…この世界の6割の方は祝福は貰えていません!ですが、その選ばれた方ですら命を落とすのがダンジョンなのです!本当に無理は禁物です、気をつけて下さい」


「はい」


「それでは、冒険者証をお願い致します」


「はい」


なんで驚いているんだ?


「あの…Fランクなのですか? 異世界人なのに?」


「なにか不味いのでしょうか?」


「不味いも何も…討伐を殆どした事が無い…」


「討伐ならした事があります」


「魔石の換金がゴブリン2体となっていますが、間違いですか?」


「魔石の換金をしないといけないのですか?」


「魔石が討伐証明を兼ねますからね」


「そうだったのですか…スイマセン、それじゃ換金をまずお願いします」


「それじゃ、こちらに魔石をお願い致します」


「はい、それでは冒険者証をお願い致します!換金の方は金貨4枚に銀貨4枚銅貨4枚になります。あと冒険者のランクがEになりました」


「ありがとうございます」


「良いですか!魔石はこまめに提出して下さいね!そうしないと実力が解りませんので」


ギルダーさん…教えてくれよな。


「解りました」


「それじゃ、続きまして冒険者証の再登録をしますので今暫くお待ちください…はい出来ました…どうぞ確認お願いします」


「はい」


冒険者証には…


名前:クロキ ツバサ

冒険者ランク:E

レベル:6

守護神:黒闇天(雪乃)

と書かれていた。


「聞いた事無い神様ですが、祝福を受け守護神様がいらっしゃるのが解りましたので、ダンジョンへの入場が認められました!こちらの冒険者証で、お連れの方2名までの同行が許されます…ただEランクでレベルが6なら暫くは地下2階までにした方が良いかと思います!3階から先はベテランですら危ない場所になりますから」


「そうなんですね」


「冒険者の命は自己責任です…ですがダンジョンは他以上に危険。それだけは肝に銘じて下さい!ここギルメドでは新人冒険者の5割が1年以内に命を落とします…ご注意を」


かなりヤバい場所なのかも知れない。


「注意します!」


「それではご武運を!」


魔石は交換しないといけないのか…困ったな。


◆◆◆


冒険者ギルドを出て広場まできた。


「ステータス」


名前:クロキ ツバサ

状態:正常

レベル:6

HP:60/60

MP:30/30

守護神:黒闇天(雪乃)

スキル:翻訳、収納、無病息災(常時発動)、恋愛成就(常時発動)、心願成就(常時発動)、貧乏小(常時発動)、器用貧乏

魔法:

アイテム:金貨入りの小袋(金貨4枚)金貨4枚 銀貨4枚 銅貨4枚 ポーション×2


前の世界で言う84万4千円も溜まってしまった。


此処迄の金額を持ったことは前の世界ではない。


雪乃様は貧乏神でもある。


お金を持つのは良くない気がする。


早目にどうにかしないと不味いかも知れない。




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