第14話 初めてのダンジョン、その夜

安宿に戻ってきた。


最初、マヤさんは2人一緒で良いって言っていたけど、今日は別部屋にした。


これからは兎も角、今日は初日だし、どうしても雪乃様と話したい事があったからだ。


『また、考え事かい? 何時でも僕に相談して良いんだよ?』


頭の中に雪乃様の声が聞こえて来た。


「雪乃様、今日の僕、結構凄かったんですよ!」


『見ていたけど、この位、当たり前じゃないか!君は僕の唯一の信者なんだから!』


見られていたんだ…少し恥ずかしいな。


『ですが、雪乃様、今迄はこんな事は無かったです』


『いいかい?翼くん、今迄の君は正しい手順を踏まなかった…だから僕は君に力を貸せなかったんだよ!』


「正しい手順ですか?」


『僕は日本の神様なんだ、余り親切の押し売りは出来ないんだよ!日本の神や仏の多くは『願いを叶える』そこが主軸なんだ…だから願ってくれないと叶えられないんだよ、翼くんが病気の時思い出してご覧よ!』


「確かにそうですね」


『そうだよ! 僕のご利益の多くはスキルとして君に与えた!だが、肝心の願う気持ち…それが無いと本来の力は発揮されないんだ、今日の翼くんは『素敵な出会いがありますように、そして強くなれますように』しっかり、そう願った。だからこそだよ! それに出会いについては僕も直に約束したしね…僕は君の神様なんだ!絶対に叶えるとは約束は出来ないけど、困った事があったら何でも相談しておくれよ…チッまたテディスか…それじゃあね僕の翼くん、これからも頑張るんだ』


雪乃様の声が遮断されたのを感じた。


言われてみればその通りだ。


神様に何か頼む時には『願う』当たり前の事だった。


今日のあの動きはきっと願った結果かも知れない。


そうだ…


「ステータス」


名前:クロキ ツバサ

状態:正常

レベル:12

HP:180/180

MP:90/90

守護神:黒闇天(雪乃)

永久従者:マヤ(廃棄不能)

スキル:翻訳、収納、無病息災(常時発動)、恋愛成就(常時発動)、心願成就(常時発動)、貧乏小(常時発動)、器用貧乏

魔法:

アイテム: ポーション×2 銀貨3枚


HPやMPの伸び方を考えると今迄と全然違う気がする。


お金については自分で持っているよりはマシだと思い、冒険者証の口座に銀貨3枚残して移した。


だが、永久従者:マヤ(廃棄不能)


意味は解るが、ジークの民って神に嫌われているのが何となく解る。


なんだか表記に悪意を感じる。


◆◆◆


金貨8枚とちょっとこの金額でも正直言えばもっているのが怖い。


絶対に雪乃様の信者としたら金貨10枚(約100万円)を手にするのは怖いし避けたい。


マヤさんのメンテナンスにお金が掛かるなら。


そこである程度使ってしまうのが良いかも知れない。


明日にでもマヤさんに相談してみるかな…



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