第26話 耳長族のターニャ
「う~ん、此処は?」
「目を覚ましたね、僕はツバサと言います!こっちはマヤさん、倒れていて危なかったので此処に運んだんだ、どう大丈夫?」
「ご丁寧に、どうも有難うございます…ですが、私はこれからどうしたら良いのでしょうか?」
「どうしたら?」
「見ての通り、こんな状態で何もありません、命を助けて貰っても返す物もありません」
「ご主人様、この人、少し様子が変です…エルフなのに私を嫌っている様子がありません! それにハイエルフに多い傲慢な態度が全然ないです」
「うふふ…やはり勘違いして助けてくれたんですね…私エルフじゃないんです…ガッカリさせてゴメンなさい…解ってます…すぐに出ていきますから…」
「エルフじゃない?マヤさん」
「ご主人様、容姿はエルフに見えますが…やはり何処か違和感があります」
僕は彼女の手をとり引き止めた。
「良かったら、詳しく話をしてくれませんか?」
「そうですね、お話しますね…私は耳長族、通称偽エルフと呼ばれる種族です。外見はエルフに似ていますが、似て非なる者です」
「耳長族? マヤさん知っている?」
「私も初めて聞きました」
「今は殆ど居ませんし、元から数が少ないので知らないのは当然です! 私の祖先は異世界人によって造られた種族です…その為数も相当少ないと思います! あくまで伝承ですがエルフに憧れた異世界人が居たらしいのですが、エルフに馬鹿にされ相手にされなかったそうで、よく似た愛玩生命体を作ろうとして生まれたそうです」
「愛玩…」
「はい、元はですね!ですが、この通り私の一族は失敗作で、エルフに似せたのにスレンダーじゃないし、魔法もエルフと違って簡単な物しか使えません、寿命もエルフと違って人間と同じ位しかありません」
「え~とゴメン、それでなんで愛玩が元なの?」
この世界の人は解らないけど。
前の世界なら『巨乳お姉さんエルフ』エロ同人誌に居そうなキャラとしか思えない。
「え~と『折角のエルフ顔なのに、なんで体がオークみたいにポチャなんだ』そうです。私たちを作った異世界人は嘆いていたそうですよ…それに愛玩としては致命的な欠陥があるんです」
「欠陥?」
「はい、もし宜しければ抱きしめてくれませんか?」
「えっ良いの?」
「ご主人様、なんで鼻の下伸ばしているんですか?不潔です…まぁ冗談ですけど」
そう言いながらもマヤさんのジト目が少し怖い。
言われるまま抱きしめると大きな胸の感触がして…うん、これは生ごみの匂い?
「もしかして、この臭いの事?」
「はい、日常生活ではこう言う臭いは出ないのですが、性的な興奮をするとこの嫌な臭いのする汗がでるんです」
「確かに、少し臭うけど、そこ迄じゃ無いよ…」
「それは只抱きしめられただけだからです…性的な事をすれば、臭いは増していきます」
この人とエッチをすると言う事は浮浪者としているような臭いになれないといけない。
そういう事か?
雪乃様が引き合わせてくれた仲間だし。
そういう関係にならなければ関係ない。
「臭いは余り気にしなくて良いから、行く所が無いなら仲間にならない?」
「えっ良いんですか?それなら私と奴隷契約しませんか?」
「奴隷…どうしてそうなるの」
「ご主人様…」
マヤさんが説明してくれた。
奴隷になれば、主人は衣食住の保証をしなくてはならないそうだ。
だから、苦しむ生活を送る人達は自ら奴隷になりたがる人物が多いのだと。
「いま、そちらの方が説明された通りです生活の保障のある奴隷にして頂けませんか…一生懸命尽くしますから」
「それが良いと言うなら構わないけど…そう言えば名前も聞いてなかったですね」
「はい、ターニャと申します」
「それじゃ宜しくねターニャ」
何か引っかかるけど良いか…
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