第16話 マヤさんと買い物
今、マヤさんと一緒に街を歩いている。
思った以上にこの街は大きい。
「しかし、この街の皆は神様が好きなんだな」
かなりの人数が神様のコスプレをしている様に見える。
何も知らないで見たら、10人中3人が神様みたいだ。
「この世界はご主人様が居た世界と違って神様が身近な世界ですからね、それに祝福を受けた人は恩恵に預かっていますから、当たり前です」
「確かにその通りかも...」
雪乃様の存在を身近に感じるからこそ解る気がする。
「その反面、神から祝福を受けない人間には辛い世界でもあります…どんなに体を鍛え上げても神から祝福を受けていない人間は受けている人間には基本的に勝てません…」
「そこ迄差が出るんだ」
「はい、私達ジークの民はその良い例です」
ほぼ、サイボーグのマヤさんでもそうなのかな。
「機械の体は通常の人より丈夫なんじゃないの?」
「そうでも無いですよ? 人は努力次第で幾らでも強くなれます…特に神から祝福を受けた人間は限界を超えまるで超人みたいになれます! それに対して機械の体は性能が決まっていて、それ以上の性能は出せません、私は人のそれが羨ましく思う時があるのです」
機械の体だから性能以上の力は出せない...そう言う事か?
「それじゃ、マヤさんは…その」
「戦闘用の体じゃ無いので、初心者冒険者に劣ります!アタッチメントを付け替えれば、多少は強くなりますが、費用対効果が悪いので、このままポーターとして手元に置いた方が良いと思います」
マヤさんがそう言うならその方が良いんだろう。
「了解」
「ご主人様つきました!」
「へぇ~此処でメンテナンスに必要な素材は此処で手に入るんだ」
「はい、此処は神ヘルトス様のクランの経営する店で、物つくりに必要な素材を中心に売っているんです…勿論、雑貨屋、薬屋などでも手に入りますが、私に必要な物は此処で殆ど揃うので、良く来ます」
「へ~成程ね」
ドアを開け中に入った。
雰囲気は小さなホームセンターみたいな感じだ。
「いらっしゃいませ!」
「それにこのお店は私に普通に接してくれる数少ないクランのお店なんです」
「そうなんだ…」
「自然と余り関係ないクラウンなんで、安心して買い物が出きるんですよ」
そう言えばエルフとか自然に由来する存在から嫌われて居るんだったな。
「その話だと、嫌われている店やクランもあるのかな?」
「風を司る神様のシルフィ様や大地の神様ノール様関係からは嫌われています…基本、自然を司る神様のクランが関わるお店からは嫌われています」
「マヤさんも大変なんだな」
「ええっ、もう慣れました…それじゃ私は必要な物を揃えてきますがご主人様はどうしますか?」
「そうだな…僕も少し見て回るかな」
「それじゃ、全部揃ったら声を掛けますね」
適当に見て回っているけど、正直何がなんだか解らない。
その辺に落ちてそうな石に高額な金額がついていたり、高級そうなナイフが安かったり…う~ん相場というのが解らないな。
異世界恐るべし。
これだと、前の世界にある物以外の価値がさっぱり解らないな。
「ご主人様、必要な物が全部揃いました」
レジの近くでマヤさんが手を振っている。
片端から商品を見ながら端末に打ち込んでいく。
「全部で金貨3枚と銀貨8枚、銅貨8枚になります」
「それじゃ冒険者証で会計お願い致します」
聞いた話ではデビットカードみたいに冒険者証は使えるようだったので試してみる事にした。
「それじゃ冒険者証をお願い致します」
冒険者証を差し出すと店員のお姉さんが端末を通した。
見栄えは違うけど本当にレジみたいだな。
「はい、会計が済みました、お買い上げ頂き有難うございました」
冒険者証とレシートが返ってきた。
サインはどうやら要らないようだ。
「これで全部揃ったの?」
「はい、これで私の張替え用の人工皮膚、ご主人様の防具と武器の材料が揃いました…これから作業しますので明日には完成します」
「いや、そんな徹夜なんてしなくて良いからね…ゆっくりで構わないよ」
「そうですか…解りました?」
なんで驚いたような顔しているんだろう?
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