第47話 二者二様
「エナちゃん、好きな物を好きなだけ食べて良いからな!マヤさんもターニャさんも気にしないでじゃんじゃん食べて!」
「ツバサの旦那、勘弁して下さいよ!」
「わ~い!ツバサお兄さんありがとう! 僕、オークステーキ取り敢えず10人前に、そうだなホロホロ鳥を同じく10人前…あとは、取り敢えず食べてから考える!」
「私は、オークステーキ2人前で」
「私は、香草サラダ3人前お願い致します」
「それじゃ、俺はオークステーキ2人前で…文句ないよね」
「ハァ~ありません!」
俺達は、食堂に来ている。
豊穣の女神のせいでお金はあるけど買えない、食べられない…そんな状態が続いていたんだ、少し位は贅沢しても良いだろう。
と言いながら、もう3日目なんだけどね。
「まぁ半額で無料ではないんだから良いでしょう?」
「そうですね…その代り『商売繁盛』それを神様に祈ってくれませんか?」
「了解…ただ、僕の神様は『不幸が起きにくく』なるだけ…それも本当に危ない時にしか助けてくれないから『繁盛』は難しいかな? その代わり、この間みたいな恐ろしい事は起きにくくなる…それだけだけど良い?」
「それで充分です…」
雪乃様は貧乏神だから、相手を貧乏にする事は出来ても『金持ち』には出来ない。
だが、僕が手を出さなければ、あそこ迄の貧乏になる事は無い。
これはマッチポンプかも知れないが、僕が敵にならない保険みたいな物だ。
「それじゃ、何時でも半額セールありがとうね…エナちゃん、皆、今日は死ぬ程食べよう!」
「モグモグ…あっ、ミノタウルスのお肉もある!ミノタウルス10人前、モグモグッ」
「私はもう、お腹いっぱい」
「私も」
「僕もだ、それじゃエナちゃんがお腹一杯になったら、行こうか?」
「おい、まだ、その子食うのかい?」
「ああっ、大食いなんだ」
「ツバサお兄さん、モグモグ、もう少し食べても良い?」
「良いよ…」
半額だから、半分は出すんだぞ…
あと1週間位は遊んで暮らそうと思っていたけど、こりゃ3日間位にして、しっかり働かないと不味いな。
◆◆◆
「なんで、俺達がこんな思いしないといけないんだよ!」
「スノードロップを敵に回したからだろう?」
「はぁ~アムリオン様のおかげで他のパーティに入れて貰ったけどこの齢で雑用からスタートだぜ!」
「家買ったから此処から出て行けないけど、収入が半分以下だよ…どうしよう?」
「なぁ…不本意だけど、スノードロップのツバサに相談しに行かないか?」
「なんでだ?」
「スノードロップの神は『商売関係』だ! 実際に和解した雑貨屋や食堂は経営が持ち直して、大繁盛だ…この際、下るのも有りじゃ無いか?」
「おい…本気で言っているのか? 我々は神の祝福を受けている身だぞ…信仰を変えるのかよ」
「よく考えて! 我々が信仰しているパストル様は農耕等、自然で暮す事に適しているけど、ギルメドで暮すのに適した恩恵って無いんじゃないの? 今迄は農場があったけど、あの状態からまた収穫できるまでにするのは至難よ…農場が無い今、他の神様に…」
「やめて置け…下手にそんな事したら…全て失うぞ、ジョブもスキルも…」
「そうね…まして、相手はスノードロップ、パストル様が嫌う相手ばかりのパーティだもん!絶対に不味いわ」
「なぁ、だったらどうすれば良いんだ」
「皆、解っているだろう? どうする事も出来ないって…」
「そうね」
どうする事も出来ない。
だが、此処で暮すのは、凄く辛い。
『生きる事は辛い事』
そんな言葉が頭に浮かんだ。
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