第46話 アムリオンSIDE: 新天地へ
「豊穣の女神は此処ギルメドから去る事が決まった…もし、出て行きたくないのなら、悪いがクランを抜けて欲しい」
「あの、抜けた場合は、お金とか頂けるのでしょうか?」
「悪いな…皆も知っての通り、我がクランは、遠征に失敗して、さらに農場がイナゴに襲われ、お金が無いんだ、離団する者にもお金は払えない…その代りもし離団する道を選んでも、今もっている物、貸し出した装備や武器は手切れ金代わりに渡たす…それで勘弁して貰いたい」
「それは、スノードロップの為ですか…」
「ああっ、その通りだ! 正確にはそのスノードロップが崇める神の力によるものだ…殆どの者が痛感したはずだ、我々の想像を超える程の存在だったのだと」
「アムリオン様、僕は新参者ですが、死んだお父さんもお爺ちゃんも此処ギルメドで暮してきました…家も最近ようやく買ったんですよ、どうにかなりませんか?」
「そうだな、その場合は離団が良いかも知れないな、これでもエルフやドワーフには顔は効く、紹介状は書くから他のクランやパーティに移籍するのも良いかも知れない…悪いが、此処ギルメドは商業ギルドを含め、スノードロップを優遇するそうだ、もし残るならそれを横目に生活する必要がある」
「スノードロップが優遇されるのですか?」
「そうだ…」
「何故、此処迄されなくちゃいけないんだ…酷すぎるだろう」
「それは、自分達がスノードロップにしていた事を考えろ、これは私のせいでもあるが、同じ位酷い事をしていた…もし、スノードロップに神がついて無ければ、今の我々と同じになっていた、しかも、スノードロップは我々、それぞれの種族が嫌っているから、外の世界でも続くから…な、返されても仕方ないだろう」
「ですが…」
「やってしまった事は仕方ない…此処ギルメドで暮すなら事実上スノードロップが優遇された姿を見て暮らすしかない…それでも此処を離れたくない人には、私や幹部が付き合いがあるパーティやクランを紹介する…外に出る者は私達と来るのも良いし、他の場所で一からスタートするのも良いだろう…悪いが早目に決めてくれ」
「「「「「「「「「「はい」」」」」」」」」」
数百年の歴史を持つ『豊穣の女神』も実質終わりか…
いや、名前は残るが、ギルメドでのダンジョン走破の生活は終わる。
「アムリオン様はこれからどうなさるのですか?」
「女神パストル様の恩恵は自然で暮してこそ恩恵に預かれる、俺はエルフの本質森の民に戻り自給自足をするよ!幹部の1人アムは一緒に来てくれる、他の幹部ダイラたちは他の場所に移り冒険者を続けるそうだ、どちらも希望者を受け付けるからな…頼ってくれても構わない」
これで、もう終わりか…
◆◆◆
『豊穣の女神』の名前はダイラたちが受け継いでくれた。
「それじゃ行こうか」
「「「「「「「「「「はい、アムリオン様」」」」」」」」」」
俺についてきてくれたのは30人。
ダイラ達について行ったのは40人
残り30人ばかりはギルメドに家や財産があるから残るそうだ。
他のパーティやクランを紹介したからどうにか生活は出来るだろう。
『本当に馬鹿な事をした』
我々はただスノードロップを無視すれば良かったんだ。
それだけで幸せに生活が出来たのに…
迫害したから全てを失った。
『今更、もう遅いな』
「アムリオン様、どうかされましたか?」
「何でもない…さぁ行くぞ!新天地へ」
今の私に出来る事は、ついてきてくれた仲間を食わせて行く事だ。
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