第55話 アイラSIDE 勘違い
「流石に皆がいる場所じゃ許して欲しいの」
「あの……そう言う相手ならちゃんとするから、他の人の前は止めてくれないか……頼むから……」
「駄目だから、とりあえず裸になってお風呂場に行って、さぁ早く」
「わかりました……どうしても許して貰えないのですね……」
「奴隷だから仕方がない……仕方がないよな」
私とアウラは朝からツバサ様……いえ鬼畜な人間にこんな命令をされました。
昨日は美味しい食事をくれたし、優しい言葉もかけて貰ったから、良い人なんだ。
そう思ったら大間違いでした。
風呂場につくといきなり辱めの言葉を言われました。
「エルフも、ダークエルフも本当に汚いんだな、もう少し綺麗に」
「私が薄汚い、そう言うのですか?」
「幾らなんでも聞き捨てならないな……何処まで私達を……」
裸になった私達にツバサはそう言うのです。
そして、マヤもターニャもエナもニヤニヤと気持ち悪い視線でこちらを見てきます。
私もアウラも300歳越えのエルフ。
もう老婆です。
沢山の子供を産んだ経産婦。
経験がないわけじゃありませんが……もう歳だからそう言う事はしたく無いのです。
ですが……奴隷です。
仕方ありません。
「好きにすれば……」
「好きにすればいいさ……」
アウラも私も泣きたい気持ちを抑えながらただ浴室で裸のままいるしかありません。
そんな私達をツバサが笑いながら触ってきて
◆◆◆
「垢すりっていうんですか? 痛かったけど終わってみたら気持ち良いですね」
「この髪も艶やかで凄く綺麗になったな」
「アイラさんは色白で金髪美人だし、アウラさんは綺麗な褐色の肌にシルバーブロンドなんだから、汚くしていたら勿体ないですよ。ほらお湯がドロドロ」
ハァ~薄汚いってそう言う事ですか?
昨日、お風呂には入りましたが、その後もツバサ様は私達の汚れが気になったそうです。
それで、貴重な洗髪料やシャボンを使い綺麗にしてくれた。
そう言う訳でした。
まぁ、この後はきっと私達を抱くのでしょうが、体を綺麗にして貰い、手入れまで優しくしてくれたのですから……仕方ないですね。
乱暴にされるよりマシです。
その誠意に応えてあげるとしますか。
私もアウラもお婆ちゃんですが、人間には綺麗に見えるそうですから仕方がありませんね。
アウラも顔が赤いからきっと同じ事を考えているのでしょう。
浴室から出た私達を大切そうにタオルで拭きあげ顔を赤くする少年。
本当に仕方ないですね。
「マヤさん、ターニャさん悪いけど二人の髪を乾かしてあげて」
「はいツバサ様」
「はい、ご主人様」
「それでは、ドライヤーで乾かしますね」
「待って、それなに?」
「ツバサ様が考えて私が作った髪を乾かす機械です」
そう言うとマヤの持っていた機械から風が出てきました。
その風を髪にあてながら器用に私の髪をマヤが梳かしてくれます。
アウラの方はターニャが同じようにしています。
これが、凄く気持ち良いのです。
昨日は美味しいご馳走を頂きました。
ベッドで寝かせて貰って、今日の朝はこれです。
この様な待遇を私は知っています。
『愛人』ですね。
性的な相手をする代わりに優しくして貰える。
奴隷としては高待遇です。
「アウラ、此処までしてくれたんだから良いよね」
「奴隷だから無理やりも出来たろうに、誠意は尽くしてもらった。なぁにこれでも16人は子供産んだ体だ。いいさぁ」
と考えていたのですが……
「さぁ、朝食が出来たよ。皆で一緒に食べよう!」
髪を乾かして貰い、新しい服に着替えていた時に、どうやらツバサ様は食事の準備をしてくれていたみたいです。
「さぁ、立っていないで早く座って下さい」
「そうですよ」
「僕、早くご飯が食べたいから座って、はやく」
「え~と、またツバサ様が作られたのですか?」
聞けば、三人も奴隷みたいなものらしいのに……
「そうだよ、口にあうかわからないけど……」
「アイラ、座って食べよう」
「ええっ、そうね」
ツバサ様ってなんなんでしょう……
◆◆◆
食事が終わって暫くすると、どうやらツバサ様は討伐の仕事に行かれるみたいです。
多分、戦闘には使われる筈です。
「アイラさん、アウラさん」
ほうらね……多分、盾代わりですね。
「はい」
手に銀貨が3枚おかれました。
「これ、なんですか?」
「どういう事ですか?」
「お小遣い。お金ないと不便でしょう? 門限は夕方5時。それまで好きにしていていいから、必要な物とか欲しい物でも買ってきな……それじゃあ行ってきます」
「「「いってらっしゃい」」」
「「……行ってらっしゃい」」
なんでしょうか?
これ……わかりません。
◆◆◆
「あの、すみませんマヤさん、私達は基本どうすれば良いのですか?」
「良かったら教えて」
「自由にして良いです。夕方5時の門限まで寝ていても良いし、買い物に行っても良いですよ」
「ご主人様の手伝いはしなくて良いんですか?」
「基本、自由です! 偶に討伐に一緒にいきますが……後ろから応援しているだけです」
「戦いに参加しないですか?」
「エナちゃんは参加しますが……私とターニャさんは参加しません」
「「そうなの?」」
奴隷ですし、仕方ありませんね。
奴隷相手に此処までして下さったんですから、夜伽は頑張るしかありませんね。
「はい」
スノードロップに男はツバサ様1人。
ハーレムパーティしかあり得ません。
「アウラ、愛情とかはわかりませんが、此処までしてくれたなら」
「夜の相手は義理としても相手するしかないよ」
もう百年近くしていませんが……ヤルしかないでしょうね。
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