第33夜

 「はじめまして、自分は川村です。今日は、よろしくお願いします」


 「こちらこそはじめまして、佐藤神奈と申します。今日は、平井くんだけじゃないのね。川村くんっておっしゃるの。随分とお若そうね。お幾つぐらいなのかしら?」


 「自分は25歳になります」


 「まあ25歳なの、平井くんが28歳で若いと思ってたけど、まだ若い方がいらっしゃるのね。川村くんも平井くんと同じで警視庁のエリートさんなんでしょ」


 「いや自分は頭が悪いんでエリートなんかじゃないです」


 祓い屋で49歳と聞いていたので、老けた暗い感じの女性を勝手にイメージしていたが、実際はまだ30代に見える色白で美しい女性である。


 真正面から大きな瞳で見つめられ、正太郎はどっと吹き出した汗を慌てて取り出したハンカチで拭った。


 聴き取りの記録担当として平井班長に同行してきたが、神奈の華やいだ雰囲気にすっかり調子を狂わされてしまっていた。

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