第8夜
仕事が忙しい両親は、夢人と接する時間は少なかった。父親は教師で毎日の帰宅が夢人の就寝後であり、母親も看護師で不規則勤務のため、夢人は4歳に至るまで、1日の半分以上の時間を祖母と叔母である母親の妹と過ごしてきた。
叔母と言ってもまだ20歳の若さて、夢人を出生時からまるで年が離れた弟のように可愛がっていた。
夢人自身も実の母親よりむしろ叔母になついており、喫茶店に通う常連客からもお似合いの母子とからかわれていたほどである。
両親を突然失った時も、まだ4歳の夢人にとっては悲しみよりも、たまに顔を見る優しい男性と、よく面倒を見てくれる女性が一人がいなくなった程度の記憶しかなかったのかもしれのい。
夢人は事件後も、祖母と叔母と3人でほとんど変わりがない生活を続けていた。いやむしろ自宅と祖母宅との行き来がない落ち着いた毎日を過ごしていた。
「ねえ浅子、最近テレビで騒いでいる『風船人形事件』、どう思う?」
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